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テレクラで出会ったバツイチのシングルマザー
目指すテレクラは駅からほど近い場所にあった。みすぼらしい外観から予想したとおり、個室はどこか小汚く、居心地も非常に悪い。今どき、こんな体たらくでよくツブれないものだと感心せずにはいられないが、その理由はすぐにわかった。電話の鳴りがやけにいいのだ。 

部屋に入ってものの5分で2本のコール。残念ながらその2本とも、こちらに車がないことを理由にアポには至れなかったものの、幸先のいい出だしである。そして数分後、またコールが。
「もっしもぉーし!こんにちはぁー!」
ずいぶん茨城訛りの強い、ハイテンションな声だ。低めの声質からして40代後半くらいか。
「こんにちは。なんだかお元気ですね。今日はお仕事お休みですか?」
「あれー、きれいな標準語。あなた地元の人じゃないでしょ?」
「あ、はい。東京から仕事で来てる35才です」
「あっらー、東京からぁ。東京の人は優しい人が多いから好きなんだわ」
「へえ、そうなんですか。東京にお知り合いでも?」
「茨城の人間はひどいのばっかりよ。会ってから平気で値切ってきたり、気に入らないと殴ってきたりする人もいるし!」 
はて?この人、なんでさっきからこっちの質問を無視するんだろう。わざとなのか?だったら殴りたくなる人もいるかもな。
「俺は殴ったり値切ったりもしないんで大丈夫ですよ」
「うんうん、やっぱり東京の人は違うわ」
「ところで俺、ワリキリで会える人を探してるんですけど」
「いいよ。いま駅の近くにいるんだけど遊ぶ? でも結構年上よ。それでもいい?」

45才、バツイチ子持ちのテレアポスタッフ。それが彼女の申告プロフィールだ。
「はい、問題ないですよ。ヨロシクお願いします」
「ほいじゃ、近くに公園があっからそこまで来てよ。あ、お金なんだけどホテル別1万でいい?」
「はい、大丈夫です」
店に入ってからここまでの所要時間わずか15分足らず。これほどトントン拍子にアポまでこぎ着けたのは初めてのことだ。
「おしゃぶりクラブで働いていたの」 
指定された公園のベンチには、全身黒ずくめの女が座っていた。どうやらアレがそうらしいが、メイクの最中でこちらの存在には気づいていない。
というわけで遠慮なくその姿を観察してみる。抱いた印象はまんま、女装した岸辺一徳だ。女性ホルモンが枯れ果ててしまったのか、面相が完全にオッサン化している。これで45才とはよくぞ言ったものだ。下手したら50代半ばでもおかしくない。 
ふと彼女と目があった。
「あっれぇ、ゴッメーン。全然気がつかなかった。若い人に会うから、ちゃんと化粧を直しておこうと思ってね」 
いちおう最低限のマナーはあるらしい。その化粧直しにいかほどの効果があるのかという問題はさておき。
「それにしても水戸は寒いですね。ずっと外にいたんですか?」
尋ねると同時に彼女は「ホテルこっちよ」と言って立ち上がり、スタスタと歩き出した。また無視ってか…。
「オニーサン、風俗とかよく行くの?」
「え?いやぁ、あんまり行かないですね」
「あそう。じゃテレクラの素人女とばっかり遊んでるわけだ?」
「まあ、はい」
「私、若いころはおしゃぶりクラブで働いてたの。だからフェラは期待していいわよ。自信あるし」
どうやらピンサロのことを言っているようだが、おしゃぶりクラブとはまたずいぶん時代がかった呼称だ。マジで何才なんだよ。
「あのころは良かったなー。チップくれるお客さんもたくさんいたし、本当イイ稼ぎになったぁ〜」
「そうなんですね。テレクラの方はどうです?」
「まあ、悪かないよ。お小遣い稼ぎにはちょうどいいよ。自分の好きなときに電話すればいいんだし気楽だね」
「そういえばテレアポのお仕事もやってるんですよね?そっちは長いんですか?」
「うーん、やっぱテレクラはいろんな人と会えるのが楽しいね。この間もさ……」
だんだん無視の傾向がつかめてきた。どうやらこの人、何か話したいことがあるときは、途中で何を聞かれようが、最後までしゃべり切らないと気が済まない性格らしい。

ホテルに入ると、彼女は俺の手を引いて、フロント近くのドリンクコーナーに向かった。
「ここでジュースを選んでから部屋に行きます。何になさいますか?」
「あ、じゃあ、コーラで」
「はい、かしこまりました。少々お待ちください」 
…また何か様子がおかしくなったぞ。急に敬語なんかしゃべりはじめちゃって。
「あの、飲み物くらい自分で持ちますよ」
「いえいえ。ホテルに入ったらもう私のお客様です。そういうことは全部おまかせください。私、プロですので」 
本人は〝できる売春婦〞を気取ってるつもりなんだろうけど、そうやって急に態度を豹変させて、客(俺)を困惑させているとの自覚はないようだ。ま、この人らしいっちゃらしいけど。 
部屋に入ってすぐ、今度はうやうやしく頭を下げてきた。
「前金制なので、まずはお金をお願いします」
「うん。はい、これ」
「ありがとうございます。では、準備をして参ります」
そう言ってプロ売春婦さんはせかせかと動き出した。歯ブラシを袋から出して洗面台に設置し、ポットのお湯を沸かし、さらには風呂にもお湯をためてと忙しい。 そんな様子を尻目にミヤネ屋をぼけっと観ていると、慌てて戻ってきた彼女が、自分のカバンをゴソゴソと漁りだした。

出てきたのは表面に何も描かれてない白面のDVDだ。しかし、セットしても、プレイヤーが故障しているようで画面には何も映らない。
「ごめんなさい。ちょっとダメみたいです」
「それって何のDVDなんですか?」
「常連のお客様にいただいた裏ビデオです。せっかく楽しんでいただこうかと思ったのに…」
「あのう、気持ちはうれしいんですけど、そんなに頑張らなくていいですよ」
「ダメです。私、お金をいただくからにはしっかりやらないと気が済まないタチで」 
そう言って彼女はシュンとしている。 
そうこうするうちに風呂が沸いた。んじゃ入りますか。でもちょっとその前に…。 
尿意を覚えたため、全裸になってトイレへ。
が、ドアを閉めようとすると、なぜかプロ売春婦さんまで中に入ってくる。
「お持ちしますね」 
言うが早いか、背後から両手をスッと回し、彼女の指がチンポを支えた。
「オチンポの角度はこれで合ってますか?」
「え?いやいや、自分でやりますから」
「大丈夫です。どうぞ」 
大丈夫かどうかの判断は俺がするんですけど。マジでうっとうしいんですけど。 しかたなくそのまましたものの、案の定、不安定な軌道のせいで、ションベンの一部が便器を外れて床に飛び散った。
あらら。プロ売春婦さんがニコリと口を開く。
「さ、お風呂に入りましょうか」
プロを自称して、あれだけ甲斐甲斐しく立ち回っているのに、ションベンの汚れは気にならないようで。
「精子を絞りだして育ててきたのに」
風呂でさっぱりした後(ご想像どおり、彼女が全身をくまなく洗ってくれた)、ベッドへ。
「じゃあ、うつぶせになって寝てください」
プレイ前にマッサージをしてくれるらしく、黒のセクシーランジェリー姿のプロ売春婦さんが腰にまたがってきた。言い忘れていたが、彼女のボディは特異なシルエットをしている。前方へ派手に膨張したアンコ腹、それに反して脚はほっそりとしており、ちょうどゆで卵にツマ楊枝を2本刺したような案配だ。醜悪というより、むしろ滑稽味に溢れている。

どこで覚えたのか、親指が的確にツボをとらえ、力加減もちょうどいい。
「はぁ〜〜〜」 
あお向けになって足を揉んでもらっている際、ふいにプロ売春婦さんがタメ息を吐いた。何だろうと思っていると今度は声まじりの大きなタメ息が。
「あ〜〜あ!」 
ふと目をやれば、彼女がジーッとこちらを眺めている。
明らかに「どうしたんですか?」と聞かれたがっている顔だ。
「どうしたんです?」
「いえね、最近、息子のことで悩んでるんです」 
彼女は、ずいぶん前に事故で旦那さんを亡くして以来、女手ひとつで一人息子を育てているという。
「息子は今年で23才になるんですけど、最近、付き合っているキャバクラ嬢と結婚するなんて言い出して」
「はあ、なるほど。ちなみに息子さんは何の仕事を?」
「その女ってのがまあ、ひどいあばずれなんですよ。首や腕にイレズミを入れてて、私と顔を合わせても挨拶もしないんです。おまけに覚せい剤にも手を出してるらしくて」
「マジっすか。なんで覚せい剤のことわかったんです?」
「たしかにバカ息子ですけど、やっぱり親としてはかわいいじゃないですか。なのに近々、婚約するとか言い出して。いままで必死に他人の精子を絞り出して育ててきたのに情けなくて」 
プロ売春婦モードでも、やっぱり無視するときは無視するのか。てか今のセリフ、当の息子が聞いたらどう思うだろう。俺ならガソリンかぶって炎上したくなるな。
「あっつ〜い、オチンポあっつ〜い」
「じゃ、おしゃぶりしますね」 
プロ売春婦さんが、股間にうずくまった。
舌を丁寧に動かしつつ、同時に頭を上下運動させる教科書どおりのテクではあるが、それだけにほどよい快感が下腹部を走り、チンコは徐々に勃起していく。
やがて完全にカチコチになると、彼女はそっと俺の上半身を後ろに倒し、騎乗位の体勢で挿入してきた。
「ふう〜〜〜〜、あっつ〜い、オチンポあっつ〜い。子宮にさきっぽが当たってジンジンしちゃう」
AV顔負けの三文芝居は萎え萎えものでも、マンコの締まりはハンパなかった。日ごろ、握力50キロの俺のオナニーに耐え抜いているチンコが、悲鳴を上げそうなほどだ。うわ、これは本気で気持ちいいかも! 
そのまま前後左右に激しく腰をグラインドさせるプロ売春婦さん。その鬼気迫る顔に、ようやく本物のプロ根性を見た気がした俺は、それから間もなく果てた。ホテルの前で彼女がぺこりと辞儀した。

「おつかれさんね。これ、私の連絡先。良かったらさ、また遊ぼうよ。東京の人は金払いもいいからまた会いたいわ」
すっかり元の口調に戻っているのは、仕事が完了したからだろう。いろいろと変な人だったけど、あのブレないおもてなしの姿勢は評価してやってもいいかも。ま、だからといって、もう1回遊べるかと聞かれれば、絶対にイヤだけど。
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