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p102.jpgp103.jpg ここから沖縄のゲストハウスに旅行した体験談2つ
1、バイトで稼いだ金を握りしめて、単身、沖縄へ飛んだ。目的はひとつ。女だ。セックスだ。沖縄県内には「ゲストハウス」と呼ばれる、ビンボー旅行者向けの安宿が数多く点在している。こうしたゲストハウスでは一人旅の男女がひしめき合い、毎晩のように開かれる宴会でたくさんの即席カップルが生まれるのだという。そんな話を聞けば当然、思う。ゲストハウスで一夏を過ごせば、俺にだってオイシイ出来事が巡ってくるのでは。普段はナンパなんぞ恐れ多くてとてもできない、地味でパッとしないこの俺にも。
しかし、彼の地で待ち受けていた物語は、想像していたものとはあまりにもかけ離れたものだった。今振り返ってもよくわからない。あの出来事は俺にとって喜ぶべきものなのか、悲しむべきものなのか…。期待に胸を膨らませた俺が背中のバックパックを下ろしたのは、沖縄市にあるゲストハウス「T」だ。かつて沖縄に住んでいた友人からプッシュされた古い安宿である。「あそこはいいよ。長期滞在の女が多いし、宿主が宴会好きで、宿泊客はほぼ強制で参加させられるから」友人の話はマジだった。初日の晩、ゆんたく部屋(宿泊客の共有スペース)で行われた宴会に顔を出してみれば、日に焼けた若い女たちがあちこちに居並んでいる。顔はみなそこそこのレベル。おそらくこの宿で知り合ったのだろうニーチャンたちと、えらく親しげに缶ビールを飲んでいるではないか。俺は内心ほくそ笑んだ。(うは、どいつもこいつもケツ軽そ〜。こりゃマジで期待していいかも)その期待は少しずつ現実のものになっていく。毎晩のバカ騒ぎに参加していると、やがて日中、個人的に遊びにでかける間柄の女友だちができたのだ。それも3人も(沖縄には各自別々にやってきた)。むろん、こんなことは人生初である。
1人は元OL23才。恥ずかしげもなく「沖縄には自分探しのためにきたの」などと言ってのけるイタい女だが、乳がやたらとデカイ。3人のなかでは一応、本命だ。残りの2人も歳は元OLと同じくらいで、ルックス的には彼女より2段分ほど落ちるものの、いかにもスケベそうな雰囲気を醸し出している。元看護師、元塾講師という肩書きも悪くない。この3人と、いやせめてそのうちの1人としめやかに結合できればバンバンザイなのだが…。 滞在5日目の晩、本命のOLを誘い出して、市内の居酒屋に行った。いつまで様子見していてもラチがあかん。今宵が勝負じゃ。2時間ほど飲んで公園のベンチへ。頃合いを見計らっておもむろにキスをしようとする俺の顔を、彼女はサラリとかわした。「ダメだよ、そんなの」「なんで? 好きなんだよ」
半ばマジで言ったセリフに、彼女は困った表情をみせる。
「ゴメンね。私、好きな人がいるの」「え、ウソ?誰?」「Kさん」
聞いた瞬間思った。ああ、やっぱりそうか。例のゲストハウスにはもう何年滞在しているかもわからない、ヌシのような4人組の男たちがいる。どいつもこいつもワイルドかつなかなかの男前で、いかにも女にモテそうな連中だ。Kという男もその1人である。歳は30手前といったところか。くそっ、結局イケメンばっかイイ思いするんじゃん。それから数日後、いつものように宿の宴会に顔を出すと、すでに俺の女友だちが3人揃って飲んでいた。ただし傍らにはKを含む4人のチャラいヌシがどっかりと陣取っている。ひとまず「どうも」と声をかけ、もぞもぞと腰を下ろす俺。
「コザにさ、イイ感じのクラブがあるんだけど明日みんなで行かね?」
チャラ男の1人が口を開くと、元看護師が食いついた。
「えー行く行く。どんな音楽かかってるの?」
「レゲェだよ」それに対し、素っ頓狂な声を上げたのは塾講師だ。
「いいじゃん。めちゃめちゃ楽しそう〜」
目の前でワイワイ盛り上がる男女の輪を、俺はひとり苦々しく眺めていた。全然話についていけねえんだけど。ち、何がクラブだよ。蚊帳の外状態はその後も延々と続き、やがてチャラ男たちが当然のように女たちの手を引き、それぞれの自室へ帰っていった。やけにイチャイチャしながら。ということは、そういうことなんだろう。俺が狙っていた女は、ことごとくヤツらの手に落ちたのだ。浮かれていた自分がバカに思えた。まもなく、予定より大幅に早く宿を引き払った俺は、泣く泣く機上の人となった。話はこれで終わりじゃない。あの屈辱のゲストハウス事件から1年が過ぎたころ、俺は再び沖縄へ向かった。友人と一緒にちょんの間を巡り、精子を垂れ流しまくってやろうという、実に地に足の着いた計画である。訪れたのは、当時、沖縄でナンバーワンと言われたちょんの間街「吉原」だ(元ナンバーワンの「真栄原」は警察の摘発により壊滅)。缶ビールを飲みながら、妖しげなネオン煌めくちょんの間を一軒一軒冷やかす。ほほお、結構レベルが高いですなー。さあて、どいつにしよっかな〜。そうやって目尻を下げて界隈を練り歩いていたところ、まもなく妙な光景が目に飛び込んできた。1軒のちょんの間の玄関口に、見覚えのある女が通りの客にくねくねと媚びを売っていたのだ。間違いない。昨年、ゲストハウスで知り合ったOLちゃんではないか!なんで彼女がこんなところに?驚きはまだ続く。そこから数軒離れた別の小屋で、今度は同じくゲストハウスで知り合った元塾講師が客を取っていたのだ。わけがわからん。しばし迷った挙げ句、俺はOLちゃんのいる小屋に足を踏み入れた。股間はもちろんギンギンである。
「久しぶり。覚えてる?ほら去年Tで知り合った…」
「あー松っちゃん!やだ、遊びに来たの?」
再会を懐かしむような笑顔で、彼女が中へ入るよう促す。狭いプレイルームで荷を下ろした俺はすぐさま尋ねた。「何でこんなところで働いてるの?実家って三重県だったよね?なんで?」「それがさ…」途端にしんみりして彼女が話すところでは、俺が東京へ戻ってすぐ、彼女はあのKという男と交際を始めたらしい。が、実はこの男がトンでもない野郎で、彼女の金で飲み食いや買い物をしまくり、あれよあれよという間に彼女の貯金は底をついてしまった。そして本土に帰る旅費もない彼女に男が「いいバイトがある」と紹介したのがこの吉原だったという。つまりKは女を風俗に落として収入を得るプロで、彼女はまんまと罠にはめられたのだ。ちなみに元塾講師も同様のやり口で、別のチャラ男にしてやられたらしい。恐ろしい話だ。
「でも旅費くらいはとっくにたまったんじゃないの? 地元帰った方がイイじゃん」
「でも、私、彼とまだ付き合ってるし…」
ダメだこりゃ。自分探しの旅に来たとか言ってたけど、いま彼女は、頭にタオルを乗せて地獄のお湯にどっぷり浸かってることに気づいてないらしい。重症だ。俺は「そっかー」と同情しつつもパンツを下ろし、ギンギンに硬直したチンコを彼女に握らせた。
「じゃ、舐めて」彼女の境遇を心底かわいそうとは思うが、それとこれとはまた別の話。料金分はしっかり楽しまんと。「うん、頑張るね」
旅先で知り合った女と、ブランクを経て、ちょんの間でセックスする。これがいかに興奮する出来事かくどくど説明する必要はないだろう。あの夜、続けざまに塾講師の女にも挑みかかったのだが、2発目にもかかわらずトンでもない量の精子が出たものだ。ふう〜、大満足である。ひとつ気がかりなのは、その後の彼女たちの安否だ。昨年秋、真栄原に続き吉原でも当局の摘発があって壊滅したのだ。元気でいてくれるといいのだが。
2、料理教室の山本梓似の先生に、授業後こっそり近づいて手紙を渡したが、返事はついに来なかった。せめて食事ぐらいはできると踏んでいた。先生という立場なら、大事な生徒に対し社交辞令でも送ってくれればいいのに、それすらないとは。モテない人生はいよいよ深みにはまってきた。休みを取って宮古島へ1人で遊びに行くことにした。友人が以前、ゲストハウス(集団生活する安宿)で 女の子と仲良くなり、そのまま付き合ったことがあると聞いたからだ。料理教室のショックもあり、もう東京砂漠でせこせこ行動するのはイヤになった。南の島での出会いならロマンチックだし、こんなオレのことも魅力的に見えるに違いない。そういうわけで10月、友人が彼女を作ったのと同じゲストハウスを予約し、単身乗り込んだ。三泊四日の予定だ。

島に到着し、一気に気分が盛り上がってきた。太陽はまぶしく、真っ青な海に、白い砂浜。まさに恋をするためのような島だ。昼間は何もすることなく部屋でゴロゴロし、夕方になって宿のメンバーがぞろぞろと戻ってきた。どうやら宿泊客は女6人、男はオレを含めて3人だけという願ってもない環境のようだ。「どうも。東京から来ました赤澤です」堅苦しいあいさつに、陽気な声が返ってくる。
「こんにちは〜」
「よろしくでーす」
みんなフレンドリーで、とても初対面とは思えない。東京では絶対にありえない雰囲気だ。オレ以外の全員、ダイビングが目的で各地から来てるらしい。
すぐに夕食の時間になり、みんなで近くの居酒屋に繰り出すことになった。合コンが強制的に行われるようなものだ。
軽い自己紹介のようなものを聞きながら、さっそく狙いを絞りにかかった。いちばん光り輝いているのは、埼玉から来ているフリーターのトシミちゃん(20代半ば)だ。他は容姿がイマイチだったり、地元が遠かったりで、恋愛になる気がしない。事実上、トシミちゃん一択のようなものか。他のメンバーの手前、初日から馴れ馴れしく接近するのもどうかと思い、その夜はおとなしいキャラになっておいた。ただ、気になることがひとつあった。男の1人が20代とまだ若くそこそこのイケメンで、しかも大手商社マンだというのだ。こいつが単細胞なダイビング野郎ならいいが、もし女狙いだとするとかなり手強いライバルとなる。気をつけないと。
翌日はみんながダイビングに出かけたので、日中はひとりぼっちで過ごし、夜はまたみんなにくっ付くようにして居酒屋へ。そろそろトシミちゃんに接近し始めないと。
居酒屋では、答えに窮する質問をぶつけられた。
「赤澤さん、海に潜らないで何してるの?」
「いや、のんびりしようと思って」
「珍しいよね。わざわざ東京から来て潜らないって」
「うん、まあ、魚にはあまり興味がないので」
ちょっとしたシラけムードが漂った。空気を読めてなかったか。
さらにこの夜の席上で、危惧していたことが起きた。商社でバイト経験のある女が、やたらと例の商社マン君を持ち上げるのだ。
「商社の人はほんっとにモテるよね」
「いや、そんなことないって」
「いやいや、モテるって。金持ちだし安定してるし」
「いや、そうでもないって」
持ち上げる女と、謙遜する商社マン。このやりとりを周りが聞くうちに、だんだん商社マンの株が上がっていく。
「へえ、じゃあ私、立候補しよっかなぁ」
「えー、じゃあ私も〜」
肝心のトシミちゃんまでその輪に加わっているのだからどうしようもない。
ここは強気に出ようと、隣の席へ移る。
「トシミちゃんは埼玉のどのへんなの?」
「大宮です」
「へえ、じゃあ今度、池袋の水族館とか行こうか」
「え、魚、興味ないんですよね?」
「いや、熱帯魚はどうでいいけど、池袋の魚はおもしろいかなと思って」
「何ですか、それ」
ちょっと笑ってるが、どちらかというと苦笑気味だ。マズイ。本当にキャラ設定を間違ってるのかも。
オレが東京に戻る前日の夜。飲んだ後に、みんなで近くの星空スポットへ出かけることになった。
もう勝負は今夜しかない。トシミちゃんと一緒に暗闇へ消え、そこで告白するのがベストだろう。
ところが、夜空をぶらぶら歩いてスポットへ向かう途中、とんでもないシーンを目撃してし まった。商社マンとトシミちゃんが仲良く手をつないでいるのだ。みんなの前でオープンにしてるだけに深い意味はなさそうだけど、先手を取られたようでモヤモヤする。オレも後で手を握ってやる!
そう意気込んでみたが、2人が離れる気配はなく、スポットに着いてからはぱらぱら離れて座り、オレは孤独に夜空の星を見上げるだけだった。
翌朝、ゲストハウスのラウンジに、トシミちゃんが1人で座っていた。
メアドを聞き出す最後のチャンスと近づくと、珍しく向こうから話しかけてくる。
「あ、赤澤さん、今日帰るんでしたね」
「そうそう」
「昨日見ました?」
ん?目が泳いでいる。はいはい、あの手つなぎのことね。見ましたとも。
「ああ、うん。手つないでたね」
「それだけ?」
「へ?」
「それだけだよね?」
どういう意味だ。それ以上もあったってことか?
手をつないだことが「それだけ」扱いということは、あの真っ暗な星空スポットで、こいつらはそれ以上のことをしたことになる。少なくともキスは確定だ。この狼狽ぶりからして、チュッみたいなのじゃなく、レロレロ舌をからませたんだろう。
「いや、他は見てないけど」
「ふーん、じゃあ良かった」
はぁ。宮古島くんだりまで来て、狙った女子をさらっとかっさらわれるなんて。オレはミスター・ミゼラブルか。
帰りの飛行機では、せつなすぎて目が潤んでしまった。
八方ふさがりのこの状況を、最後の手段で打破することにした。
みなさんは『恵比寿』という地名を知っているだろうか。『中目黒』
はどうだろう。どちらも東京随一のお洒落スポットで、芸能人なんかも数多く住んでいるエリアだ。
その地域に、このオレ、赤澤慎吾は引っ越したのだ。今までは新宿のはずれの貧乏学生だらけの町で、ワンルームを借りていた。内装や家具の類いもサエないため、女の子に
「ちょっと家に来なよ」とは言い出しにくい部屋だった。
しかしこれからは中目黒だ。渋谷や恵比寿あたりで飲んだ帰りに、軽く誘うのになんの困難さもない。むしろ向こうから「行きたい」と言い出すんじゃないか。
「え、マジで! ナカメ(中目黒)のマンションに住んでんの!」
これから出会うであろう美女の驚く顔が目に浮かぶようだ。そのまま同棲の流れだって考えられる。
駐車場代を含めて家賃は15万円。キツイ額だが、人生でこんなに贅沢できるのも独身のうちだけだと大奮発するとしよう。
作戦はもう考えてある。恵比寿あたりのバーに入り浸り、マスターと親しくなり、その流れで女性客とも仲良くなる。その後に、ナカメ住みを軽く打ち明け…。幸い、クリスマスも近く、恵比寿、中目黒界隈は盛り上がるシーズンだ。宮古島の借りはナカメで返してやる!

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