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バイトで稼いだ金を握りしめて、単身、沖縄へ飛んだ。目的はひとつ。女だ。セックスだ。沖縄県内には「ゲストハウス」と呼ばれる、ビンボー旅行者向けの安宿が数多く点在している。こうしたゲストハウスでは一人旅の男女がひしめき合い、毎晩のように開かれる宴会でたくさんの即席カップルが生まれるのだという。そんな話を聞けば当然、思う。ゲストハウスで一夏を過ごせば、俺にだってオイシイ出来事が巡ってくるのでは。普段はナンパなんぞ恐れ多くてとてもできない、地味でパッとしないこの俺にも。
しかし、彼の地で待ち受けていた物語は、想像していたものとはあまりにもかけ離れたものだった。今振り返ってもよくわからない。あの出来事は俺にとって喜ぶべきものなのか、悲しむべきものなのか…。期待に胸を膨らませた俺が背中のバックパックを下ろしたのは、沖縄市にあるゲストハウス「T」だ。かつて沖縄に住んでいた友人からプッシュされた古い安宿である。「あそこはいいよ。長期滞在の女が多いし、宿主が宴会好きで、宿泊客はほぼ強制で参加させられるから」友人の話はマジだった。初日の晩、ゆんたく部屋(宿泊客の共有スペース)で行われた宴会に顔を出してみれば、日に焼けた若い女たちがあちこちに居並んでいる。顔はみなそこそこのレベル。おそらくこの宿で知り合ったのだろうニーチャンたちと、えらく親しげに缶ビールを飲んでいるではないか。俺は内心ほくそ笑んだ。(うは、どいつもこいつもケツ軽そ〜。こりゃマジで期待していいかも)その期待は少しずつ現実のものになっていく。毎晩のバカ騒ぎに参加していると、やがて日中、個人的に遊びにでかける間柄の女友だちができたのだ。それも3人も(沖縄には各自別々にやってきた)。むろん、こんなことは人生初である。
1人は元OL23才。恥ずかしげもなく「沖縄には自分探しのためにきたの」などと言ってのけるイタい女だが、乳がやたらとデカイ。3人のなかでは一応、本命だ。残りの2人も歳は元OLと同じくらいで、ルックス的には彼女より2段分ほど落ちるものの、いかにもスケベそうな雰囲気を醸し出している。元看護師、元塾講師という肩書きも悪くない。この3人と、いやせめてそのうちの1人としめやかに結合できればバンバンザイなのだが…。 滞在5日目の晩、本命のOLを誘い出して、市内の居酒屋に行った。いつまで様子見していてもラチがあかん。今宵が勝負じゃ。2時間ほど飲んで公園のベンチへ。頃合いを見計らっておもむろにキスをしようとする俺の顔を、彼女はサラリとかわした。「ダメだよ、そんなの」「なんで? 好きなんだよ」
半ばマジで言ったセリフに、彼女は困った表情をみせる。
「ゴメンね。私、好きな人がいるの」「え、ウソ?誰?」「Kさん」
聞いた瞬間思った。ああ、やっぱりそうか。例のゲストハウスにはもう何年滞在しているかもわからない、ヌシのような4人組の男たちがいる。どいつもこいつもワイルドかつなかなかの男前で、いかにも女にモテそうな連中だ。Kという男もその1人である。歳は30手前といったところか。くそっ、結局イケメンばっかイイ思いするんじゃん。それから数日後、いつものように宿の宴会に顔を出すと、すでに俺の女友だちが3人揃って飲んでいた。ただし傍らにはKを含む4人のチャラいヌシがどっかりと陣取っている。ひとまず「どうも」と声をかけ、もぞもぞと腰を下ろす俺。
「コザにさ、イイ感じのクラブがあるんだけど明日みんなで行かね?」
チャラ男の1人が口を開くと、元看護師が食いついた。
「えー行く行く。どんな音楽かかってるの?」
「レゲェだよ」それに対し、素っ頓狂な声を上げたのは塾講師だ。
「いいじゃん。めちゃめちゃ楽しそう〜」
目の前でワイワイ盛り上がる男女の輪を、俺はひとり苦々しく眺めていた。全然話についていけねえんだけど。ち、何がクラブだよ。蚊帳の外状態はその後も延々と続き、やがてチャラ男たちが当然のように女たちの手を引き、それぞれの自室へ帰っていった。やけにイチャイチャしながら。ということは、そういうことなんだろう。俺が狙っていた女は、ことごとくヤツらの手に落ちたのだ。浮かれていた自分がバカに思えた。まもなく、予定より大幅に早く宿を引き払った俺は、泣く泣く機上の人となった。話はこれで終わりじゃない。あの屈辱のゲストハウス事件から1年が過ぎたころ、俺は再び沖縄へ向かった。友人と一緒にちょんの間を巡り、精子を垂れ流しまくってやろうという、実に地に足の着いた計画である。訪れたのは、当時、沖縄でナンバーワンと言われたちょんの間街「吉原」だ(元ナンバーワンの「真栄原」は警察の摘発により壊滅)。缶ビールを飲みながら、妖しげなネオン煌めくちょんの間を一軒一軒冷やかす。ほほお、結構レベルが高いですなー。さあて、どいつにしよっかな〜。そうやって目尻を下げて界隈を練り歩いていたところ、まもなく妙な光景が目に飛び込んできた。1軒のちょんの間の玄関口に、見覚えのある女が通りの客にくねくねと媚びを売っていたのだ。間違いない。昨年、ゲストハウスで知り合ったOLちゃんではないか!なんで彼女がこんなところに?驚きはまだ続く。そこから数軒離れた別の小屋で、今度は同じくゲストハウスで知り合った元塾講師が客を取っていたのだ。わけがわからん。しばし迷った挙げ句、俺はOLちゃんのいる小屋に足を踏み入れた。股間はもちろんギンギンである。
「久しぶり。覚えてる?ほら去年Tで知り合った…」
「あー松っちゃん!やだ、遊びに来たの?」
再会を懐かしむような笑顔で、彼女が中へ入るよう促す。狭いプレイルームで荷を下ろした俺はすぐさま尋ねた。「何でこんなところで働いてるの?実家って三重県だったよね?なんで?」「それがさ…」途端にしんみりして彼女が話すところでは、俺が東京へ戻ってすぐ、彼女はあのKという男と交際を始めたらしい。が、実はこの男がトンでもない野郎で、彼女の金で飲み食いや買い物をしまくり、あれよあれよという間に彼女の貯金は底をついてしまった。そして本土に帰る旅費もない彼女に男が「いいバイトがある」と紹介したのがこの吉原だったという。つまりKは女を風俗に落として収入を得るプロで、彼女はまんまと罠にはめられたのだ。ちなみに元塾講師も同様のやり口で、別のチャラ男にしてやられたらしい。恐ろしい話だ。
「でも旅費くらいはとっくにたまったんじゃないの? 地元帰った方がイイじゃん」
「でも、私、彼とまだ付き合ってるし…」
ダメだこりゃ。自分探しの旅に来たとか言ってたけど、いま彼女は、頭にタオルを乗せて地獄のお湯にどっぷり浸かってることに気づいてないらしい。重症だ。俺は「そっかー」と同情しつつもパンツを下ろし、ギンギンに硬直したチンコを彼女に握らせた。
「じゃ、舐めて」彼女の境遇を心底かわいそうとは思うが、それとこれとはまた別の話。料金分はしっかり楽しまんと。「うん、頑張るね」
旅先で知り合った女と、ブランクを経て、ちょんの間でセックスする。これがいかに興奮する出来事かくどくど説明する必要はないだろう。あの夜、続けざまに塾講師の女にも挑みかかったのだが、2発目にもかかわらずトンでもない量の精子が出たものだ。ふう〜、大満足である。ひとつ気がかりなのは、その後の彼女たちの安否だ。昨年秋、真栄原に続き吉原でも当局の摘発があって壊滅したのだ。元気でいてくれるといいのだが。
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