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キャバクラ店員と聞いて、みなさんはどんなイメージが浮かぶだろうか。茶髪に染めた若いアンチャンの腰掛け仕事、女と金のことしか頭にない男。中には関心すら覚えないという人も多いかもしれない。その想像はあながち外れてはいない。ただ一つ、彼らには共通した「夢」がある。キャバクラ店員の大半が、「店長」になりたいという夢を抱いているのだ。むろん、それは簡単に実現する夢じゃない。店員どうしの激しい競争を勝ち抜く実力、上に認められる如才なさ。むろん運も大きく左右する。そうして数十人に1人の店員が店長に上り詰める。と、途端にバラ色の世界が眼前に広がる。女はヤリ放題。金は使い放題。「オイシイ仕事」とは、まさにキャバクラ店長のために付けられたことばと言っていいだろう。

キャリア5年、そのウマミを味わい尽くしたオレが、キャバクラ店長の日常を紹介しよう。
副店長時代の手腕を買われ店長に抜羅されたのが5年前の夏。最初に任されたのは在籍女性70名、男性従業員20名、ポックスシート40席という、六本木の超大型店だった。1日の始まりはハッキリ言ってない。出勤するしないは本人の自由、いつでも気が向いたときに顔を出せばいい。
それでも一応、定時の昼2時に出勤したらこれまた何もやることがない。ようやく仕事らしい仕事ができるのが夕方5時。《朝礼》で、男子従業員一同を前に「オマエらいったいナニやってんだ?最近、女の子が全然働いてねえじゃねえか。わかってんのか!」「はい!」

「よし。じゃあ、今日も1日頑張るように」「はい」
キャバクラ業界は完全な体育会系。これぐらい大きく構えていた方が、むしろ人も付いてくるってもんだ。夕方6時、ホステスたちが全員揃ったところで、再び朝礼。従業員に一発芸を披露させ、彼女たちの士気を高めた後、「頑張ってね」とオレが優しくしめくくる。これでやっと開店だ。
ボッポッと客が入り出せばとうとう本当に仕事がなくなる。「何かあったら携帯に連絡くれ」と店からオサラバ。仲の良い系列店の店長と明け方まで遊び倒し、家で爆睡する。そんなので務まるのかョ、と言われても事実だから仕方ない。面倒くさい店の経理も、社の人間(売り上げを抜けないよう、レジ係が派遣されている)にすべてお任せ。ややこしい計算に頭を悩ませることもない。唯一大変なのは、月1回、本社で開かれる《店長会議》だろうか。オーナーの前で、全別店舗の店長が1カ月の収支を報告するのだが、成績が悪けりゃ、それこそ泣きが入るほどの突き上げを喰らう。
が、オレが仕切る店の利益は、系列店でもトップクラスの1カ月1500万。オーナーには毎度のように「キミみたいな社員を持ててワシも幸せだよ」と、こそばゆ〜いホメ言葉を頂戴していた。ちなみに当時の給料は80万十歩合150万(店舗利益の10%)。月収230万はどう考えてももらいすぎだ。店長の一番の役得は、何と言ってもホステスたちを喰いまくれることだろう。一般従業員にもチャンスがないわけじゃないが、なんせ「商品に手を出すのは御法度」だ。オキテを破れる唯一の人間が店長である。ならばどう口説くかというと、これがまたほとんど何も苦労はない。寿司や焼き肉にでも連れてきゃ、大半がすぐオチる。例えば、3年ほど前に在籍していた「ナンバーワン」。客はもちろん、店員連中にも決し’てなびかなかったこの女、ほんじゃいつちよオレ様が出ばってみるベーかと、仕事帰り寿司屋に誘い、「このあとどうする?」と耳元に噺きかけた。
「どうする、って?」
「いや、べつにどうでもいいんだけどさ」
「私もどうでもいいですけど」
「じゃ、ちょっと休めるとこ行こうか」
「ええ」
たったこれだけである。少々、《策》を弄するのは《新人》を喰うときだ。
「どう、仕事慣れた?」
「ええ」
「時給、2千円だったよね」
「はい」
「3千円にしてあげるよ」
「ホントですか」
「いや、4千円だっていいよ」
「え!」
「意味、わかるよね」
「。。・・・・」
「どう?」
「はい」
もちろん、ときには手こずることもある。例えば「彼氏がいる」と、やんわり拒否して
きた場合。こういう相手には《力》を見せつけるしかない。
「ふ-ん。なるほどねえ」
「すいません」
「店、いられなくなっていいんだ」
「。。・・。。」
「んじゃ、今日までご苦労さん」
「ちょっと待ってください」
これを卑怯と思いたいヤシは勝手に思うがいい。だが一度つかんだキャバクラ店長の椅子。そこに座ってる間は《権利》を使わにやもったいなくってオバケが出るってもんだ。実際、キャバクラの店長の言うことは絶対なのである。うっかり機嫌を損ねたら、確実に働けなくなる。稼ぎたければ店長と寝る。キャバクラじゃこれが常識なのだ。女と並んで、オイシイのが「経費」である。使用目的が死ぬほどいい加減でもOK、使用額の制限もなし(ただし、売り上げが悪いとストップが入る)、領収書のチェックもユルュル。よって会社の金が湯水のように使えるのだ。
具体的に言うと、☆引き抜き工作費「ホステスを引き抜く」との名目で、公然と余所のキャバクラで遊べる。
☆店服代(女の子の制服購入費)女の子に、ブランド物の服や時計をプレゼントできる。
☆ミーティング代
寿司、焼き肉など食い放題、カラオケ(ちなみに毎回VIPルーム)にも自由に行ける。とまあ、ここまではどの店長にも与えられた権限だが、オレはさらにこの経費を《抜く》方法も編み出した。主なものを記そう。

☆ビンゴ大会の景品購入費
キャバクラでは、顧客サービスのため、「浴衣デー」など、様々なイベントを開催する。ビンゴ大会もこの中の一つだ。店には、100万円ほど経費が降りるが、内、20万円程度なら私物を買うことも可能。さしあたって欲しいモノがないときは、パソコン、デジカメなどを購入、買い取り屋に流す。
☆DM代
キャバクラで遊んだ経験を持つ方なら、自宅や会社にDMが送られてくるのはご存知
のはず。この切手をパクリ(手紙は捨てる)金券ショップで換金する。1回あたりに撒
くDMは約4千通。
☆酒代
出入りの酒屋からビール券を購入(《品代》として領収書を切らせればいい)、金券シ
ョップに流すだけ。1回の儲けは30万
☆あらかじめ話を付けておいたホステスの時給をアップ、マージンを取る
3人の女と結託、2千円の時給を5千円に引き上げ、1時間ごとに1500円をバックさせた。

驚いてはいけない。本当のことを言うと、オレの月収はこれら副収入を併せると、多いときで500万にもなっちまう。まったく笑いが止まらない。
しかし一方で、オレの暮らしは極めて質素だ。住まいは家賃7万円の1DK、車もなし、スーツや時計も安物、食い物もコンビニ弁当ばかり。普通のサラリーマン以下である。では何に散財するのか。ズバリ、それはギャンブルだ。競馬、競輪、競艇、オートに始まり、丁半、地下カジノといった非合法の賭場まで。バクチと名のつくものは何でも大好物である。
中でも、いちばんハマってるのが野球賭博で、シーズン中は毎日のようにノミ屋に電話、1試合に百万単位を平気で突っ込む。そのハマリぶりは、ノミ屋が集金に訪れた際、持ち合わせがなく、慌ててサラ金に走ったこともあるぐらいだ。
さらにバクチ以外にもう一つだけ散財する先がある。キャバクラだ。
キャバクラ店長がなぜキャバクラ?なんて突っ込みは止めてくれ。自分の金で客として遊ぶ。これは店長の特権を利用して女を自由にするのと全く別の楽しみなのだ。
3年前、1人の女を口説いたことがあった。
しかしコイッが通い詰めても、アフターにすら持ち込めない。これに燃えたオレは、ロレックスやプラグのバッグなど、総額100万ほどをプレゼント(店服代の範囲はもちろんオーバー)。結局、それでも一発もできなかった。
でもオレは満足だった。理解できないかもしれないが、女に貢いでる自分に独特の快感を覚えるのだ。簡単にヤレてしまったら面白くも何ともないではないか。読んでてアホらしくなったらとっとと止めてもらってかまわない。ただ、ここから紹介するのはちよいとイイ体験だったりする。店長就任から2年目の春。マュミという名の女がオレの前に現れた。憂いのある瞳、抜群のスタイル。一目で気に入り、その日のうちに関係を持った。もちろんヤリ捨て、のつもりである。

ところが、オレはなぜか、このマユミにコロッとイカれてしまった。あまりの愛おしさに、店を辞めさせ、一緒に暮らし始めたぐらいだ。本当、どうかしてたとしか思えない。果たして、マユミはサイテーの女だった。メシは作らないわ、金はせびるわ、平気で外泊するわ、おまけに本当に浮気しやがるわ。まさに典型的な悪女タイプである。しかし、悲しいかな、オレはこのテのタイプに弱いのだ。携帯が繋がらなけりゃハラハラし、ケンカをしたらなだめすかす。かえってますますノメリ込んでしまった。一方マユミはそんなメメしいオレに嫌気がさしたのか、ついには別れの言葉を口にする。
「ごめん。私、出てくから」
ガーン!とうとう畏れてたことが起こってしまった。クッソー、この先オレはどうやって生きていきやあいいんだ。マユミー、帰ってきてくれよ〜。
我ながら情けないにもほどがあるが、そのときは大マジ。死ぬほど落ち込み、これに呼応するかのように、店の売り上げも見る見る落ちていった。そんなある日、オーナーに呼ばれた。
「今日から事務所に詰めろ」
「え?あの、おっしゃってることがよくわからないんですけど」
「いや、あの店は別のヤツにやらせることにしたから」
降格。ついにここまで来たか。オレの落ち込みはさらに激しさを増す。
事務所勤めは退屈だった。ときおり舞い込む書類を整理しながら、空き時間はテレビゲームでヒマを潰す。ったく、アクビとタメ息しか出やがらねえ。が、そのくだらない毎日を過ごすうち、オレはハタと冷静さを取り戻す。ヤバイー.このままじゃクビになっちまう。とっとと店に戻ろう。そしたら女なんかいくらでもいるじゃねえか!

そう思うが早いか、翌日から定時前に出社、バリバリ仕事もこなし、3カ月後には見事、店長に復帰してしまう。ヤルときやヤル。オレはそういう男なのだ。
ただし、復帰先は今までいた六本木店ではなく、新宿店だった。在籍女性およそ30名、男子従業員10名、売り上げもほとんど赤字という小さな店。つまり、オーナーはオレの力を試そうってわけだ。よ-し、そういうことなら腕前を見せたろうじゃねえか。
果たして、オレは紛れもなく腕利きだった。
わずか4ヵ月で、赤字店を月300万円の黒字にまで引き上げたのである。
自信満々、オーナーの元を訪れる。目的はもちろん経費の上乗せ。これだけの業績を上げたのだ。《ボーナス》があってしかるべきだろう。しかし、
「オマエ、何エラソーなこと言ってんだ」
「・・・」
「300万ぽっちじゃクソの足しにもなんねえよ。ったく、もうちつと見込みのあるヤツだと思ってたんだけどな」
「:。:。」
オーナーの意外なことばに、気持ちが醒めた。そうか。そういう態度で来るなら、コッチも好き勝手にやってやる。店に帰り、客の顔を眺めながら、一つのアイデアを思いついた。
(店の女を使って、デークラをやったらどうだろう)
ターゲットは当然、店の客。なんせ普段から女にソデにされてる連中である。金には糸目をつけないに違いない。女は声さえかけりやいくらでも集まるだろう。仮に店員連中に気付かれたところで、店長様をチクる勇気などあるまい。さっそくオレはキャバ嬢(六本木店の女も含む)を調達、信頼のおけそうな客に、入会金4万円、1回のデート料金3万円(内、1万5千円が女の取り分)で話をフってみた。狙いはまんまと当たった。間もなく顧客が集まり、月100万円以上の金が転がり込んできたのだ。現在、オレは別のキャバクラチェーンの店長として諌腕を振るっている。あの後オーナーと衝突、今の店に鞍替えしたのだ。オレが相変わらずの極楽生活を送っているのは言うまでもない。

キャバクラわらしべ長者口説き法

キャバクラに通うようになったのは、3年ほど前のこと。向こうから話しかけてくれて気を這わなくていいのが性に合っていたのだ。
その店はキャバクラとはいえ料金が安く、そのせいか、ちょっと君は…というレベルのコもちらほら働いていた。美人相手だと緊張して口説くことすらできない私だが、なぜかブスな子にはぺラペラ舌が回る。いつしか私は店で最も人気のないブサイク女、ミキの常連客となり、あれよあれよと体の関係を持つに至った。婆としても自分を気に入ってくれる数少ない男につい心を許してしまったのだろう。
その日を境に、これまでときどき横についてくれていた.たちが、私を敬遠するようになった。あなたはミキと寝たんでしよ、というわけか。内緒にしておけと言ったのに、モテないミキはうれしくて他の子たちに吹聴してしまったのだろう。
ところがそのミキとの関係もわずか数週でこじれてくる。いくらなんでも妻帯者に向かって「結婚しよう」はないだろう。
それをたまたま隣の席についた
ナオコに打ち明けた。
「最近、ミキとうまくいってないんだ」
「へえ、そうなんだ」
「もう無理かな」
「まだミキのこと好きなの?」
普段はうまくしゃべれないのがミキという共通の人間をダシにすることで、相談するされるという関係ができ、店外デートにも自然と誘えるのだからわからない。ひと月後、ナオコは私のものになった。そしてさらに同じことを繰り返して、3人目のカオリも。恋の相談ぐらいでキャバ嬢が落ちるなんて聞いたこともないが、女が双方を知っている場合は、親身になる度合いも変わってくるのだろうか。
安いキャバクラで、まずはいちばんブサイクな女を落とし、関係をこじらせてから他の子に相談する。今、私は新たな店の2人目に着手中だ。すべてが計画上の行動の上、刺されるんじゃないかとちょっと心配ではあるが。

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