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先月のキャンペーンガールに引き続き、ビラ配りでも成果はあげられなかった。ひょっとしてこの手紙ナンパ、働く女性たちの間でおかしな噂でも広まっているのだろうか。
しかし世の中には拾う神もいる。エステビラの彼女とメールの最中、携帯に着信があった。
先月お会いした子供服売り場の処女、佳奈さんだ。気が重いのであれ以来一切連絡を取っていなかったのに、まさか向こうから電話をかけてくるとは。
「こんにちは、覚えてますか」
「もちろん覚えてるよ一。電話ありがとね。連絡しようと思ってたけど、色々バタバタしてて」

「なんかすみません。大丈夫でしたか…」
「大丈夫も何もすごい嬉しいよ。また暇なときにでもご飯食べに行こぅよ」
「そぅですね。また近々お願いします」
ひょっとして、俺を初めての相手に選んでくれたのか。だとしたら嬉しいかも。
その日は一旦電話を切り、後日、メールで詳しい日程を決めることにした。彼女は実家住まいである。お泊まりは不可能だ„しかも都内から電車で2 時間の場所なので、夜の
11時には終電が来てしまう。なので彼女が休みの日を狙って、昼間のデートをセッテイングした。夕方までに部屋に連れ込めれば、どぅにかなるはずだ。平日の昼13時、待ち合わせ場所の渋谷へ向かった。「佳奈さん、お久しぶり」
「あお久しぶりです。仕事休んでくれたんですよね」
「大丈夫。天気のいい平日に休むと気持ちいいね」
「ですね一、でもす一っごい暑さですね」
前回はたどたどしい雰囲気だつたが、2 回目のデートなだけに、彼女もリラックスしているようだ。暑さを逃れ近くの店でランチを食べることに。
さて、どういう流れで部屋に招こぅ。警戒心の強い処女だけに作戦が難しい。が、あまりだらだら悩んでいては、また終電で逃げられてしまぅ。とりあえず数時間は彼女を楽しませることに専念するか。
「佳奈さん、服屋で働いてるだけあってオシャレだよね」
「そんなことないですよ。服は好きですけど」
ちょこと持ち上げたところで、東京随一のオサレスポット、代官山まで歩くことにした。恋愛に幻想を抱いている処女はドラマに出てくるようなデートを!
代官山では実に爽やかなものだった。服を合わせて「似合ってるね」なんてやり取りも交わした。
お洒落なガレット屋でお茶もした。こんな学生カップルのようなデートは10年以上振りだ。
ではそろそろ作戦2に移ろう。確か近くに洒落たビアホールがあったはず。若い女の子が昼間から飲んでもおかしくないよぅなスポットだ。処女を酔わせるにはここしかない!…なんか俺、処女にこだわりすぎてるだろぅか?

「そろそろビールでも飲まない?」
「私こんな時間からお酒なんて飲んだことないですよ」
「昼間から飲む酒はぅまいよ」
半ば強引に連れ込み、2人で2杯ずつ飲み終わるころには、彼女の顔は真っ赤になっていた。
「もう、こんなに飲むつもりじやなかったのに」
「でも美味しかったでしょ?」「まあそうだけど」
酒のおかげか彼女がときおりタメ口を使うようになった。悪くない。いかにも2 度目のデー卜、恋愛の始まりっぽい。
時間は午後5 時を過ぎた。そろそろ家に連れ込まないと。
「どこ行きます?」
「そうだね一、俺ん家来てみる?」
「え一なんでですか?」
「別に押し倒してどうこうしようってわけじやないよ。自分の暮らしぶりを見て欲しくてさ」
「ふ一ん。やっぱり公園に行きましようよ」
やはり処女の壁は厚い。ならばと自宅近くの公園へ誘い、途中で道を間違ぅフリなんぞをしながらマンション方面へ歩いて行った。
「どこ行くんですか?」
「まあまあ、いいじやんいいじゃん」
「よくないですよ〜」
文句を垂れながらも引き返そうとはしない彼女。よし、もらった。
「お邪魔しま一す」「どうぞどうぞ」
彼女はコンビニで買った飲み物をテーブルに置くと、洗面所へ向かった。
さあ、いよいよだ。血が出るだろうから、ベッドにバスタオルでも敷いておくか。でもあまり準備万端だと引かれるかもしんないし。むしろ汚れ覚悟でソファを使おうか。自然に流れやすそうだし。あれこれ考えるうち、彼女が洗面所から戻ってきた。なんだか表情が浮かない。
「あの…クレンジングが置いてありましたけど…お化粧とかするんですか」
「えっ?クレンジング!?」
やっちまった。以前連れ込んだ女が置いていった化粧落としか。気づかなかった!
「いや、あ一、だいぶん前の彼女のかな」
「でも見た感じすごい新しかったですけど」
「そう?」
「…どういうことですか?」

俺のキャラはあんな真摯な手紙を渡す男なのだから、遊び人であってはいけない。
「彼女が置いてったのかなぁ…」
「じやあ、ときどき来るってことですか?」
「いや、そういうわけじやなくて」
彼女は黙り込んだ。おそらくこれまでの流れを反芻しているのだろう。子供服売り場まで手紙を渡しにきて、しかもそいつは印刷のような文字で、会う度に部屋へ 連れ込もうとする男。
そして部屋には真新しいクレンジング…。出てきた答は明快だった。
「あの、そろそろ私帰りますね」

接客業の中でも最もハイレベルなく彼女らは、どれもこれも美人さんばかりだ。
女性が揃うのはキャンペーンガールだろう。家電量販店の前などで通行人に愛想を振りまく
しかし手紙を渡す夕ーゲットとしては厳しい。彼女らは日によつて別の場所に派遣されるので、今までのように
いつも見てという文面では辻棲が合わないのだ。
どうすればいいのか。熟考するまでもなく、答はひとつしかない。
『ついさっき店の前で見かけて、急いで便箋を買って手紙を書いた』と記すしかなかろう。
軟派な印象を与えてしまうだろうが、他にどうにもしようがない。今回はこれで行こう。
土砂降りの中、待ち合わせ場所に現れた佳奈さんはお店で見たときよりも地味な印象の女性だった。しかもかなり緊張した面持ちだ。
近くの居酒屋に入り、食事の注文を終える。と、彼女のロからいきなり質問が飛んできた。
「あの手紙って、本当に竹中さんが書いたんですか?なんか印刷した文字に見えるんですけど」
ドキリ。そう、あの手紙はバイト嬢に代箪してもらったうえ、大勢にバラ撒くため大日本印刷さんの最新技術で手書き風にプリントしたものなのだ。過去にも文字の女性っぽさに気づく子はいたけど、印刷まで見抜くとは。ごまかさねば。
「うん、あれはバイトの子に書いてもらって。でもちゃんと手書きだよ」
代筆だと聞いて笑ぅ彼女だが、まだ詰問は終わらない。
「手紙もらった日は平日でしたよね? 何してる人なのかな一って不思議で」
するどい。まさか手紙を渡すのが仕事だとは言えまい。
「ちょうど暇な時期だったんで、打ち合わせが終わるとああしてブラブラしたりするんですよ」
ようやく納得顔になった。ではこちらもプライベートを聞きだそう。
彼女、普段は会社と自宅の往復で、休みの日は女友達と買い物か、習い事に通ぅかの二択らしい。かなり地味な生活のようだ。
「実家に住んでるの?」
「実家です。駅から遠いんで毎日父親に迎えに来てもらってるんですよ。心配するので」
「こんな男もいるしね」
「そうですよ。警戒してますよ」
笑ってはいるが、たぶん本当に警戒されてるんだろぅ。「彼氏さんはいないの?」
「いないですょ」
「好きな人もいないの?」
「いないですね」
驚いたことに、彼女、24才になる現在まで男性とお付き合いしたことがないという。
「本当? じや男の人と色っぽい雰囲気になつたことないの?」
「いやいや、これ以上言うと驚かれるので言いません」
「え? キスとかも?」
「いや一、ちょつと酔っぱらって話しすぎちやいましたね。これ以上は言えません」
どうやら彼女、処女みたいでハードルぶち上がりまくりです。実家住まいで父親の監視の厳しい処女なんて、オトす方法あるんでしょうか?
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