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茨城県の水戸にやってきた。駅前には真冬を感じさせる北風が吹きすさみ、通行人はみな首を短くして足早に歩いている。俺の手足もまるで氷のようだ。 
ここまで寒いと気分まで滅入ってしまうが、そのうえでこれからテレクラへ入らねばならんというこの地獄。女と一発ヤッてホテルを出たあと、自殺したくなったりして。

水戸駅前のテレクラは昭和感に満ち溢れていた。個室の壁はタバコのヤニで黄ばみまくり、テレビ横にはアダルトチャンネル用の料金箱が。店内にかすかな精子臭が漂っているのもなかなか不快だ。エロ映画館かよ。おまけに鳴りも悪い。入店してから2時間、コールが1本もないとはどういうわけだ。ここが潰れちゃうのも時間の問題だな。ようやく待望のコールが鳴ったのは、それからさらに30分が過ぎてからのことだ。
「もしもし〜?」
耳ざわりな低音ボイスが受話器に響く。中年女確定だな。
「こんにちは。はじめまして」
「はいはい、こんにちは。オニーサン、今日の目的は?」
「ワリキリで会える人を探してまして」
「あ、私も同じ。市内の人?」
「いや、東京から来ました」「へえ、そうなんだ。私も昔、東京で働いてたよ」
東京と言った途端、茨城訛りのイントネーションが標準語のソレに切り替わった。方言で話すのが恥ずかしいようだ。

「それで今どちらに?」
「水戸駅ですよ」
「近いですね。あと年齢とか教えてもらえます?」
「いま39才です」
ふむ。となると実年齢は45ってとこか。こいつら絶対にサバ読んでくるし。
「体型は?」
「背は大きめだけど体型は…うーん、子供産んでるからちょっと下腹がポッチャリしてるかな」
はいはい、関取級のデブで決まりだな。はあ…。

「芸能人で例えると誰似です?」
「えー誰だろ。あ、この間子供に整形した大仁田厚に似てるって言われちゃったわ。さすがにひどくない? あはははは」
笑いごとでは済まされない。自己申告の段階で大仁田厚似だったら、実物はそのままシリアスにバケモンじゃないか!ショックを受けていることに気づいたのか、すかさず女がことばを継ぎ足す。
「てか、そんなこと言ってたら誰も会ってくれないよね。冗談、冗談。美人じゃないけど昔はフツーにモテてたよ。いまはさすがにオバチャンになったからアレだけど。まあ、それなりの外見ってことでよろしく」
「えっと、それでいくらくらいを希望ですか?」
「イチニーでも大丈夫?」
迷いどころだ。年増のリアルモンスターにイチニーは高すぎる。しかし、この鳴りの悪さを考えると…。うーん、仕方ない。
「わかりました。その条件でいいですよ」
さて、どんな女が来ることやら。心臓がドキドキしてきた。待ち合わせのビックカメラ前に到着してすぐ、背後から声がかかった。
「あのー、さっき話したオニーサンですよね?」
振り返った先に、やたらと背の高い女が立っていた。大仁田厚似の顔、39才という年齢、下腹ポッチャリ体型と、彼女が自己申告したとおりの見た目だ。いや、顔に関しては、大仁田ほど酷くもないレベルか。女がペコリと頭を下げる。

「ごめんね。外寒いし、まだ来ないだろうと思ってたからお店の中にいたの」
「あ、そうでしたか」
「オニーサン、若いね。テレクラだとサバ読んでくる男の人も結構多いからどうせ40過ぎのオッサンかと思ったよ」
互いに同じ事を考えていたとは笑える。そして、そこまで警戒してしまうくらいテレクラ経験値の高くなった男女というのも、なんだか切ない。思いにふけっていると、女が腕を回してきた。
「腕組んでいい? ほら、なんか変なことしてるって疑われないようにね」
いつもならテレクラ女と腕を組んでもいい気はしないが、それほどのデブスババアではないせいか、さほど拒絶感は覚えない。
「最近ちょっと仕事が忙しかったから、今日はひさしぶりの息抜きなの」
「へえ。普段どんな仕事をしてるんです?」
「んーと、ジャンルでいうと福祉関係かな」
彼女はバツイチのシングルマザーで、現在は高校の息子さんと2人暮らししているそうな。
「うちの息子、ジャニーズの山下智久に似てて、学校でもすごくモテるらしいのよ」
「はあ」
「で、最近、彼女ができてよく家に連れてくるのね」
「へえ。たしか17才でしたっけ。そんくらいの歳ごろだともうセックスしてますよね」
「そうなのっ! 部屋からかすかに、ヤッてる声とか聞こえてくるの。そういうときって必ずテレクラに電話しちゃうんだよねえ。ていうか、今日もそうだし」
息子のセックスにムラムラしてテレクラへ。言ってる内容がまんまAVの設定で泣けてくる。まったく、トンデモない母ちゃんもいたもんだ。チェックインを済ませ部屋に入った直後、女がぴたりと体を寄せてきた。
「ねぇ、触っていい?」
股間に伸びた手がすりすりと妖しい動きを見せる。どうやら本当にムラムラしているようだ。
「同世代の人とエッチするのチョー久しぶりなの。だから興奮してきちゃった〜」
やがて女は床にひざまずき、ズボンを脱がせにかかった。ここでおっ始めるつもりか?
「まだシャワーもしてないし、臭うかもしんないですよ」
「いいのいいの。私、臭いフェチだから」
チンコを指でつまみ、サオの側面で鼻を左右にスライドさせる女。スーハ、スーハと臭いを嗅いでウットリしている。つづいてタマと太ももの間にも鼻を押し付け、クンクンやりはじめた。
「ああ〜いいニオイ。オスのフェロモン、タマんな〜い」
こりゃ相当な変態さんだ。たっぷりニオイを堪能してからいよいよ咥えだした。
「ん! おいひぃ〜」
フェラテクは想像以上だ。ゆっくりと上下に顔をスライドさせ、チンコが口から抜ける瞬間、カリの部分を上下の唇でグッと圧迫してくる。これが気持ちいいのなんの。おかげでもうギンギンだ。しばしフェラに没頭したあと、ふいに彼女が動きを止めた。
「このままエッチしちゃう? それともシャワー浴びる?」
「シャワー浴びましょう」 
迷わず答えた。さすがに体も洗ってないテレクラ女とはセックスなどできない。これまで数々のマン臭事変で傷を負ってきたおかげで、トラウマになっているのだ。
風呂場の前までいくとまた彼女がぴたりとくっついてきた。
「服、脱がしてあげる」
「え、いいですって。自分でやりますから」
「いいじゃない、ほらバンザイ」
なかば強引にシャツを脱がせる際、彼女が顔を近づけてくる。
「ねえ、チューしよ」
「え、はあ」
薄々感じていたことだが、どうも恋人プレイが好きなようだ。俺も嫌いではない。しかしそういうのは見た目がまともな女とやるから楽しいのであって、相手が大仁田レベルではうっとうしいだけだ。
濃厚なディープキスが終わったと思ったら、今度は突然、こんなことを言い出す。
「ねぇ、ちょっと見てて」
「なんです?」
「ズズズズ! チャチャチャチャ!」
曲を口ずさみながら腰を激しく振り出した。
「何やってんですか?」
「ベリーダンス。むかし習ってたの。ほら、エロくない? パ〜ララララ、パラララ〜!」
ケツをクネクネさせながら、その合間に服を一枚、また一枚と脱いでいく。そしてときおり飛んでくるキメキメの流し目。ストリッパーのつもりなんだろうか。ウザい、いい加減ウザくなってきたよ、かまってちゃん!風呂場に入っても、かまってちゃんはピッタリくっついてきた。ボディソープを塗りつけた体で、俺の胸や背中をヌルヌルとこすってくる。
「気持ちいいでしょ」
「ええ。サービスがいいですね」
「そうそう。私、男の人に奉仕するのが好きなの」
その気持ちは買うし、このボディ洗いもたしかに気持ちいいが、何でもかんでも一方的に押し付けてくるのがこの女の欠点だ。空気が読めないんだろう。
先にシャワーを終えベッドで待っていると、かまってちゃんがバスタオルを巻いて現れた。そのままドスっとベッドに上がり、隣りににじり寄ってくる。耳元で甘ったるくささやかれた。
「気持ちいいことしようね。どんなことしてほしい?」
「うーん、お任せします」「いいよ」
ディープキスから始まった愛撫は、乳首舐め、ヘソ舐め、フェラタマ舐めと順々に移行していき、ついに舌先はアナルへ。俺をチングリ返しの体勢にさせ、肛門をほじくり返す勢いでむさぼってくる。おお、恥かしいけどめっちゃ気持ちいい!
驚いたのはアナル攻撃の武器が、いつのまにか舌から鼻の頭にチェンジしていたことだ。肛門に鼻を突き刺したまま、頭を獅子舞のように左右に振り乱している。こんな技、見たことない!
「ああん、すっごい! すっごい臭い! 興奮する〜〜。どう?そっちも気持ちいい?」
「はい」
「そうでしょ。私もすごい興奮してるの。あ〜臭い、すっごく臭いよ〜〜」

…あまり臭い臭いを連発されるといい気はしないが、気持ちいいのは本当だ。
「はい、じゃあそろそろ入れちゃおうね〜」
おもむろに立ち上がったかまってちゃんが、騎乗位の姿勢で腰を沈めてきた。この体位はしっかり勃起していないと挿入が困難だが、すでにチンコはギチギチに屹立している。スルッと入った。
「ああん、チンポ入った! ねえ、チンポ入ってる? 私のマンコにチンポが入ってるの見える?」
「ええ、見えます」
「ああん、ヤダ、言わないで!イヤらしいいいっ!」
いや、アンタが聞いたんでしょうに。それにしてもすばらしい騎乗位だ。ベリーダンスの応用なんだろうが、腰の動きが8の字になったり、超高速で前後したりと実に多彩。しかもそれだけ激しい動作でも、まったく圧迫感がなく、むしろ心地がいいというのもポイントが高い。いはやは、舌を巻くほどのテクニシャンである。最後は乳首を舐められながらの正常位で発射にいたり、かまってちゃんの豪華なセックスショーは幕を閉じた。脱力しながら服に着替えていると、そばで「あっ」と彼女が声を上げた。
「いけない、私、まだお金もらってないわ」
そうだそうだ。部屋に入った途端、プレイが始まったもんだから渡しそびれてしまった。
「はい、イチニーだったよね。どうぞ」
「ありがとう」
 扇状に広げた3枚の紙幣を、かまってちゃんはニヤニヤと眺めている。
「そのお金でなんか買うんですか?」
「ううん、特に決めてない」
彼女の場合、ワリキリはあくまで性欲を満たすのが主な目的であり、生活に困ってのことではないという。
「でもまあ、せっかく臨時ボーナスが入ったことだし、今晩はいい肉を買ってきて、すき焼きでも作ろうかな」
「それいいじゃないですか」
「いいでしょ。息子の好物だし、絶対に喜ぶよ」
この話、息子くんにもぜひ教えてやりたいものだ。今日、好物のすき焼きにありつけたのは、キミと彼女のセックスにお母さんがムラムラした結果なんだよ。
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