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下ネタがやたらエスカレートしてきた看護婦

『こんばんは。誰かよかったらメールしない?』食い付いてきたのは、36才の看護婦である。
『よかったら話そ!』名前はユミ。プロフに写メは載せてない。しかしまあ、イケメンってのはあんな単純な文章でも、こうして食いつかれるんだな。
『メールありがとう。ユミさんはどこに住んでるの?』『私は府中』
『そうなんだ。ぼくも昔、そっち方面には住んでたよ』
『セントウ君は周りからは何て呼ばれてるの? センちゃんでいい?』
グイグイ来ますな、ユミさん。その日はひとまず、自己紹介程度のチャットでおしまいになったが、次の日からは熱いメッセージがどんどん届いた。
『センちゃん、おはよう。今日もお仕事頑張ってね』
『センちゃん、何時頃寝るの?一緒に寝ようよ』『おやすみ。チュゥ〜〜』
日増しに彼女の目がハートになっているようだ。4日後には、風呂場で撮った自分の足の写メまで送ってきた。
『お風呂中。センちゃんも一緒に入る?てか、何ならソープごっこでもする?』
三十女って年下イケメン相手にはこんな感じになるんですな。
『じゃあ、フィリピン人設定のソープごっこね。オニーサン、イイ人ネ。スペシャルサービス、スルヨ。って何言わすの!(笑)』
舞い上がってますなぁ。そんなこんなで、やりとりすること1週間ほど。
『センちゃってお酒とか飲めるんだっけ?今度飲みに行かない?』
ここまで来ればもう大丈夫だろう。飲みに行きますとも!日曜日の夕方、府中で会おうと約束後、ユミがLINEでやりとりしようと提案してきた。
『センちゃんのラインIDを教えてくれない?』『もちろん』
LINEの『新しい友達』欄に、ユミという名前が表示された。アイコンはマスクを着けた女の写メだ。なるほど、この女がユミか…。マスクを着けているのでよくわからないが、そこそこ可愛い。彼女からLINEが届いた。
『…センちゃん、このアイコンの写真って誰なの?』
ヤバっ! うっかりしてた! オレのラインには自分の本物の顔写真を載せてたんだ! 
『はははっ。それは、会社のオモシロイ先輩なんだよね。社内でグループ作ってやりとりしてるんで、まあそのギャグというか。気にしないでよ』
苦しいにもほどがある。ところが彼女からはこんな返事がきたではないか。
『よかった。これがセンちゃんなんじゃないかと思っちゃったよ(^_^)。ユミ、前にサイトで会った人にニセモノの写メ使われたことあったから…。センちゃんもそういうのかと思っちゃって。疑ってゴメンなさい』
いろんな意味でビックリだ。何だかちょと罪悪感も沸いてくる。いくら鈍感な彼女でも、2回目となるとさすがにブチ切れないかな?アポ当日、夕方。新宿から電車で40分、府中へ。道中、ユミにメールすると、待ち合わせ場所には駅近くの神社を指定された。正月の初詣に行ってなかったからお参りしたいんだと。17時半に府中に到着。マスクをつけ、教えられた神社へ。境内は閑散としており、参拝客はパラパラだ。ユミにLINEする。
『神社に着いたよ。ぼくは帽子をかぶってるけど、ユミさんはどこかな?』
一人の女がスマホを片手に歩いてきた。あの目元は…ユミだ!マスクの写メから想像したルックスよりはちょい劣るか。ま、贅沢は言えない。こっちは劣りまくりなんだし。近寄って声をかける。
「…どうも、仙頭です」「えっ? あっちかと思った」
彼女は一瞬微妙な表情をし、そばにいた参拝客の若いニーちゃんを指差したが、そのまま笑顔で歩き出した。「ユミさん、寒いのに待たせちゃってゴメンね。早く行こっ」
「うん。『日本橋亭』ってお店の飲み放題予約してあるんだけど。場所どこだったっかな。センちゃんスマホで調べてくれない」
体をくっつけて親しげにオレのスマホをのぞき込んでくる。この反応…?ドン感な人っぽいので、まさか、マスクのせいで気づいてないとか?居酒屋の個室席に向かい合って座った。彼女がドリンクを注文し、ビールが2つ運ばれてくる。さすがに素顔を見せたら何か言われるだろうか。緊張しつつ、マスクを外した。「はい乾杯」「かんぱーい」表情一つかえずジョッキをコツンと当ててくる彼女。ほんとになし崩しになっちゃってんだけど。ユミはオレの顔については一切触れず、仕事やマンガの話、恋バナなど、とりとめのない会話をし続けた。期待していた展開だが、正直、ここまで何も突っ込まれないとは思わなかった。
「入院して看護婦さんに体を拭いてもらうのが夢なんだけど。アソコとかも」
「はははっ。でも、ユミも患者さんの拭いてあげたりするよ」
さすがソープごっこをするだけあり、すんなり下ネタにも乗ってくるし、1時間にジョッキ5杯を空けてしまうほど酒のペースも異常に早い。普通に楽しんでる感じだ。目の前に、あのアイコンの男がいけしゃあしゃあと飲んでいるのに、どういう心境なのだろう。酒が進むにつれ、下ネタがやたらエスカレートしてきた。
「ユミ、チンコ拭くの上手なんで、患者さんがよく勃起するんだよね」
「ユミさん確かに上手そう。ソープごっこなんて言ってたし」
「でもユミ、舐めるほうが得意なんだよね。唾液が多いっていわれるんだよね」
 やけっぱちになってるんだろうか。これ、ヤレる展開じゃん。
「私、はっきりしてるんで、抱いて欲しいときは抱いてっていうよ」
夜20時。2時間の飲み放題コースの時間が終わったところでさくっと店を出た。すでに彼女は顔が真っ赤になっている。では締めと参りましょう。居酒屋を出たところで、さっと手をつないでみる。瞬間、さっと手を離された。「はい、センちゃん、もう帰りますよー」
そのままスタスタ駅の方へ歩いて行く彼女は、改札の前で手を大きく振った。

「じゃあバイバイ。またメールするね」
なんじゃこりゃ!帰りの電車でぼーっとしているときに、ユミからLINEがきた。わっ、長だ…。『ラインのアイコンの写メ、先輩じゃなくて、センちゃんやろ。そんなんウソついて会ってもマイナスになるだけだから止めなさい! !普通に嘘つかれてたのは正直悲しかったよ。もし、あのまま嘘つかれてなかったら好意もあった。でも最後の最後まで話してくれなかった事は正直嫌でした。もし、またサイトで誰かと会うとしたら、ありのままの、センちゃんを見せてあげて!』
おっしゃるとおりとしか言いようがない。ユミさん、ごめんなさい。

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