シャブを買うために援交しまくり売人連中にも輪カンされた挙げ句に妊娠した女子学生

城嶋氏（仮名）は、シャブの味を覚え、以来数年間ハマった挙げ句に逮捕され、つい７カ月前に出所してきたばかりだ。

「ツレが売人やってたんですよ。で、１日１万円くれるっていうから仕事を手伝ったのが始まりっすね。それまでシンナー経験しかなかったんすけど、いやぁ一発で虜になりましたね」

覚せい剤の摂取方法は主に２つ

水に溶かして直接注射するやり方（通称、ポンプや道具、マイジェクターという）と、火で炎って煙を吸う方法（通称、アプリ）だ。

「当時は僕らも若いから、アプリは根性無しのやることだと思ってました。で、初っ端からポンプです。僕らの間じゃ《テルモさん》（※注射器メーカー名）って呼んでましたけどれ。一番最初に打ったときは、血管の中を小さな獣みたいなのが駆けめぐった感じかなあ。

他のツレは『寒い』だの「熱い」だの言ってましたけど、「訳がわからない、どうでもよくなってきた」って意見だけは全員一致しました」

やがて１日１万のバイト代はシャブですべて溶け始め、それでも金が足りなくなると、高校を辞め、本格的な売人業に足を踏み入れた。

１００～１６０万で仕入れたブッを５００個のパケに分け、１つ１万２千円で売る。これで利益はざっと４００万。が、自身のシャブ代に回せば、金はほとんど残らなかった。

「この頃は、注射痕が目立たないように親指の爪の間に打ってました。あまり自分で喰いすぎると、元締めに晩まれそうだったから」

完全なジャンキーと化した彼は、売人業とシャブ以外はヤル気を失くし、食事さえもノドを通らなくなる。もっとも、シャブのせいで目だけはギラギラと冴え渡り、５日程度なら寝ずに夜の街に立っていられたという。

「何のために売人やってるんだろうと考えたこともありますよ。で、ダチに聞くと『日本を幸せにするために俺は頑張る！」とか真顔で言うんです。相当ヤバイと思いましたね」

他人のことは冷静に見られても、自身が止３めようという決意までには至らない。どころか、やがて城嶋氏は同じ年頃にも、シャブを売るようになっていく。地元では「痩せられる薬」として、一部の女子生徒の間で噂になるほどだった。

「勉強のために買っていく受験生の女の子も来ました。さすがに躊躇したんですけど、ツレがパンパン回しちゃって。１人、漬け物（中毒者）にされた学生がいて、その娘、シャブを買うために援交しまくってました。しまいには売人連中にも輪カンされた挙げ句に妊娠して、子宮を全部摘出したんですよね。吐きそうな話ですんません」

ちなみにその女子学生、堕胎手術後もシャブをやり続けた結果、脳に障害をきたし、現在は施設に入っているという。

当たり前だが、こと覚せい剤に関して、イイ話などない。

覚悟を持って聞いていても、城嶋氏の体験談は凄絶だった。

「で、その女子学生に初めてシャブを売ったダチも、しばらくしてから「背中に羽根が生えた錯覚」に襲われて、ビルの屋上から飛び降りたんです。もちろん即死ですよ。葬式で顔を見たら、完全に鬼の形相してました。顔面の筋肉が収縮して、元に戻らないみたいですね」

そこまでの恐怖を自身の目で確認しても、彼は覚せい剤を止めなかった。いや、止められなかった。

それから約２年後。元締めの事務所に足を運んだとき、城嶋氏は新たな恐怖に直面する。

「中に廃人みたいな髪の毛も歯も抜け落ちて、体中に唾箪が起こってる。どう見ても老人なんですけど、年齢を聞いたら30才って…。さすがに腰が抜けました。８年も常用してたって話です」

屍同然のジャンキーの姿を見て、彼は覚悟する。もはや嬬踏しているヒマはない。今こそ、シャブを断ち切ろう。

が、手元のシャブを捨てるのは忍びない。

仲間にでもくれてやろうと車のハンドルを握ったところで、城嶋氏の運勢が大きく揺れる。

検問に引っかかり、挙動不審を見抜かれた上に緊急逮捕。懲役１年８ヶ月の実刑を食らったのだ。行先は医療刑務所だった。

「結果的に、バクられて本当によかった。ムショには、タバコすらありませんからね。もちろん禁断症状は地獄でした。常に頭にモャがかかる感じで、幻覚と幻聴が波のように押し寄せてくる。僕の場合は、鎌を持った死神が何千何万人と来て、本当に気が狂いそうでした。