
まだ独身なので、築25年の古びたアパートで一人暮らしをしている。
昨年の秋、そのアパートの隣の部屋に、子連れのシングルマザーが引っ越してきた。
挨拶に来たときにしゃべったところ、息子は小2とのことで、まだ20代にも見えるママさんの方は、清楚な雰囲気でおしとやかさを醸し出している。
整った顔立ちで、胸の谷間も目立つ、いわゆるイイ女だ。
以来、外廊下で顔を合わせる度に挨拶をかわした。もちろん下心があってのことだ。ボロアパートに引っ越してくるシングルマザーなんてワケアリに決まってる。うまく口説けば肉体関係も夢ではない。
「こんにちは。もう慣れましたか? 困ったことがあったら言ってくださいね」
「ありがとうございます」
こんな他愛のない会話の間も、ゆるい胸元から見える谷間を覗き込んでは、いつかナマ乳を拝んでやると意気込む俺だった。親子が越してきて半月ほど経ったころ、土日のどちらかの夕方に、隣の部屋からミョーな物音が聞こえてきた。
人をペチペチ叩くような音と、女性のアッアッという小さめのアエギ声だ。
(男でも連れ込んでるのか?)
色気のあるシンママなのだから、男ぐらいいたっておかしくはないが、ホテルじゃなく新居に連れ込むとはなかなかやるじゃないか。うーー、チクショー!
自分の女じゃないのに悔しくてならない。この音、きっとあのママさんがバックのときにケツを叩かれて、歓喜の声を上げているのだ。そうに決まってる。ああ…。
以降、その悩ましい物音は、週に二度ほどの頻度で聞こえてきた。たまに夜の時間帯もあり、子供はどうしてるのか気にもなったが、ジジババにでも預けてるんだろう。
それにしても、あのママさんがねえ……。
アパートの廊下ですれ違うときとのギャップで、ついつい下半身が元気になってくる。
そのころになると俺は、挨拶をするたびに彼女のケツを凝視するようになっていた。前までは胸が気になってたけど、このケツを叩き放題ってのも悪くないな。まったく、ラッキーな男がいたもんだ。ある夕方、また例の音が聞こえてきた。
ずっと秘かにオカズにさせてもらってきたが、もう音だけでは我慢できない。バックで突かれてるママさんを見たい!好奇心とスケベ心に逆らえず、俺は狭いベランダに出て、こっそり敷居のフェンスを乗り越えて隣の部屋を覗き込んでみた。
そこには驚愕の光景が広がっていた。
蝶をかたどった派手なアイマスクを付け、ボンテージを着た女性がいたのだ。
シンママさんだ。
男の姿はない。代わりに、天井から吊り下げられたロープに、息子が吊るされていた。
SMで使う、口に入れるボールをくわえさせられて。
俺は頭が真っ白になり、すぐに部屋に戻った。
カベ越しにはあいかわらずペシペシ音と、乾いたアエギ声が聞こえてくる。
いったいこれは何なのか?
冷静になって考える。
結論はひとつだ。彼女は息子を虐待しながら、オナニーしているのでは? そんな性癖、聞いたことはないが、音と光景を合わせるとそうとしか考えられない。
いったいどうすべきなのか。役所や警察に連絡すべきか。それとも、弱みを突いてネンゴロになる作戦もありか?
結局そのどちらもできず、それから喘ぎ声が聞こえるたび、俺は壁を軽くたたいて注意するしかなかった。
彼女ら親子が引っ越していったのは、それからすぐのことだ。
いったいあの2人は何だったんだろう。
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