
世間がコロナ一色になる前、友人からの宗教勧誘のおかげで、なかなか穴場のナンパスポットを見つけました。
僕のような冴えない男でも十分に戦えたので、この場を借りて紹介させてください。
きっかけは一通のラインでした。
<久しぶり! 今度メシでも一緒に食いにいかない?>
地元の小学からの男友達で、実に十数年ぶりの連絡です。お互い社会人になってからは疎遠になっていたので、人づてに聞いて回り、僕のラインをゲットしたんだとか。
独身でヒマを持て余していた僕は、もちろん即答でOK。日時を決めた後、友人はすぐにこんな提案をしてきました。
<○○駅の改札前に集合でも大丈夫?>
ぜんぜんオッケーだけど、そのへん美味いメシ屋とかあるのかな?
当日。改札前で旧友と落ち合い、駅近くのカフェへ。
久々の再会を祝して、思い出話に花を咲かせていたところで、彼が切り出します。
「あのさ、ちょっと寄りたいところがあるんだけど、ついてきてもらってもいい?」
いったいどこへ? 会計を済ませて近所をてくてく歩いたところで、彼の足はピタッと止まります。
「ここなんだけどさ、よかったら一緒にどう?」
指さす先には、かなり立派な建物が。てかこれ、どう見ても宗教施設なんだけど。
館内には体育館ほどの広さの大部屋があり、みな懸命な顔をしてぶつぶつと何か唱えています。
「さあ、一緒にやってみようよ!」
「お、おう…」
気乗りしないまま、紙に書かれた呪文を唱えてみましたが、10分も経たないうちに飽きてきました。トイレに行くフリをして席を外し、そのまま館内をうろついていたところ、たどり着いたのが休憩スペースなる広場です。
うわ、なんだここ! めっちゃ広いじゃん!
丸いテーブルがたくさん並べられていて、大勢の人たちで賑わっています。まるでイオンのフードコートに迷いこんだかのような感覚です。
自販機でジュースを買い、一席に腰を下ろすことに。辺りを見渡せば、意外にも一人で来ている可愛い女性も多いではありませんか。
彼女たちはスマホをぽちぽちといじったり、本を読んだりして時間を潰し、再びお祈りに向かっているようです。ふーむ、なにか大きなお悩みでも抱えているんでしょうか。
休憩スペースで彼女たちを眺めていると、ふと、妙な考えが頭に浮かびました。この状況って、ナンパするにはかなり美味しいんじゃないの?
その後、入信もしていないのに、何度もひとりきりで建物を訪れました。
入り口では、所属する支部名を記入する紙を渡されますが、
「引っ越したばかりで忘れてしまった」
とテキトーに言い訳すれば、余裕で通過できます。
館内に忍び込めば、向かうはお祈りルームではなく、休憩スペースです。好みの女を見つけ、近寄ってこの一言です。
「あの、私の悩みを聞いてもらえませんか?」
外でこんな風に声をかけたら不審者確定ですが、ここならそんな心配は一切ありません。
おそらく信者の悩みは自分の悩み的な精神を持っているんでしょう。テキトーにでっちあげたウソ話でも、けっこうな確率で、うんうんと耳を傾けてくれるのです。
こうして会話を重ねていくうちに、反応の良さげな子には、次なる一手を打ちます。
「もしよければ、あなたのお悩みも聞かせてもらえませんか?」
わざわざこんな建物にまでお祈りしに来るんですから、やはり何かしらの悩みを抱えているんでしょう。
「実は…」
なんてボソボソと自分語りを始めてくれたら、ひたすら相槌を打って聞き役に徹してやるのです。
ここまで来れば、後はメシのアポに繋げるのみ。ただ、「同じ支部の尊敬できる人を紹介しましょうか?」なんてわけのわからんことを言い出すパターンも多いので、注意が必要です。
このナンパ方法、コロナで施設が休館するまでは、結果は順調でした。悪くないでしょ?
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