
数年前から繁華街を中心に、シーシャバーが流行っている。
別名「水タバコ」なんて呼ばれ方もしていて、プカプカの煙がインスタ映えすると話題になり、若者の間で人気を集めているのだ。
そんな一大ブームの中、最近、シーシャバーで、「アルコールシーシャ」なるものが登場した。水タバコにウイスキーやテキーラを混ぜたもので、これがなかなかの酩酊感を味わるのだ。
俺も、たびたびアルコールシーシャにはお世話になっている。一人で吸いに行くわけではない。目的はもちろん女を口説き落とすためだ。
我らヤリモク男にとって一番厄介なのは、酒が飲めない女に他ならない。
こっちはワンナイトに持ち込みたいというのに、ウーロン茶など飲まれても1ミリも意味はないのだ。
そこで活躍するのが、アルコールシーシャになる。水タバコのフレーバーの香りで、アルコール臭さはあまり感じない。酒が苦手な女でもスパスパ吸ってくれる。
下戸のくせに顔を真っ赤にさせて笑い出すもんだから、こちらとしても大変食いつきやすい状況になるのだ。
こんな調子で女遊びに精を出していた3月の下旬、久々に大学時代の友人と会うことになった。
昔と変わらず、会話の内容は女一色だ。ここぞとばかりにシーシャの話を切り出したところで、友人はドヤ顔で口を開いた。
「そんなのもう知ってるよ。俺は最近、電子シーシャに酒を混ぜてるぜ」
ん?
電子シーシャ?
なにそれ?
「要は紙巻タバコが電子タバコになったみたいなもんだよ」
一般的な水タバコは、炭でリキッドを気化させるのだが、こちらは電気で加熱するという。
アマゾンで1万円ほどで買えるらしく、自宅でシーシャを吸いたいマニアに受けているんだとか。
「でもさ、シーシャに酒を混ぜるっていってもテキーラくらいだろ? そんなの家で一人で吸って楽しいか?」
友人の話にクギを刺すが、ケロッとしている。片手をパタパタと振って、余裕な素振りまで見せてきた。
「違う違う、そんな甘っちょろいもんじゃないよ。俺が混ぜているのはスピリタスね」
え?
スピリタス?
それって確かアルコール度数が96パーセントとかで、ヤリサーの事件で問題視された酒じゃなかったっけ…。あんなの混ぜたら引火でもしそうだけど、大丈夫なのかな?
友人は自信満々に答えてきた。
「大丈夫、大丈夫。電子シーシャは炭とか使わないから、引火なんてしないって」
なるほど、普通のシーシャと違って火を使わないから、燃える危険性もないってわけか。
…でもこいつ、スピリタスなんて混ぜて一体なにをしてるんだろ?
そんな疑問がふと頭をよぎったところで、友人はしたり顔でテーブルに身を乗せてきた。
「実はな、俺これでめっちゃ女とヤレてるんだわ。こいつを吸えばすぐにベロベロになってくれるんだよ」
宅飲みでグダる女に対して、必ずこのスピリタス入りの電子シーシャを吸わせているという。
もちろん酒を混ぜていることは一切告げず、「一緒にシーシャでも吸おうよ」てな具合に誘い出してるんだとか。女も自宅にシーシャがあるのを珍しがって、スパスパ吸ってくれるらしい。
「そうなれば後はヨユーよ。すぐにぶっ潰れてくれるから、必ずセックスに持ち込めるってわけ」
うわ、それって後々問題になるのでは…?
「まぁヤレればなんでもいいじゃん。マジでオススメだから、お前も買ってみろよ」
もちろん俺はきっぱり断った。
友人がこんな犯罪者に成り下がったなんて、心底ガッカリだ。
これを読んでいる女性の皆さま、くれぐれもご注意を!
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