
金を払うプロ相手ではなく、欲求不満の女性相手に自分の腕を試したかったのでしょう。残念
ながら一堂だ恋だのメールナンパは、自分の性に合いません。
とは言うものの、世に真っ当な出張ホスト業者など存在しないことは歴然としています。
ならば、いっそのこと自分で立ち上げたらどうか。私にすれば、ごく自然な流れでした。
自分の取り柄は体力と実行力だけ。むろん、どんな女性でもお相手するつもりでしたが、いざというきモノが役に立たなければ話になりません。
そこで、まずは、いつでもどこでも勃起できるよう、官能小説で想像力を養ってみたり、ズリネタなしの夢想オナニーに耽るなどして訓練。
同時に、身体を引き締めるため、ランニングや筋トレにも本気で打ち込みました。
こうして、自己満足ながら、心と体の準備を整え終えた陀年春、私はいよいよ実行に移します。自らを《セックスセラピスト》と称し、手製のチラシをマンションや団地に配布したのです。
【貴女を癒したい…。普段は出来ないこと…、言えないこと…。家族も友人も彼氏も同僚も、誰も知らない本当の貴女…。心の奥に秘められた欲望を満たしたい・・・】
いかにもべタな文面ですが、これはあえて狙ったものです。料金は1時間5千円、2時間1万円。また具体的な希望は、会ってから【願望カルテ】に記入してもらうことにしました。
これで毎週のように違う女性をイカせることができる
本気でそう思っていたのですから、大バカ者です
1万枚のチラシを車の荷台に載せ、最初に向かったのは団地です。
理由は単純。駐車場にベンツやBMW、セルシオなどの高級車が数多く停まっていたからです。
この手の団地は小金持ちの自営業者が多いと、以前から噂は耳にしておりました。ならば、昼下がりの奥様たちもヒマを持て余し、悶々としているに違いりません。
さっそく、エレベーターで最上階まで昇り、一軒一軒を回ることにしました。
ピンポーン,
「どなたですか?」
「ワタクシ、出張工ステの岩城と申します」
「はぁ?」
「実は、奥様の時間をエスコートする…」
「そんなんいらんわ」
2軒目も3軒目も…100軒目も、同じような反応でした。インターホン越しに怒鳴られるだけで、玄関に姿すら現してくれません。
翌日からは、チラシに1千円の割引券を添付したのですが、状況に変化なし。その後2カ月、私の携帯が鳴ったのはイタズラ電話だけでした。
何か打開策はないものか。試行錯誤のすえ、ひらめいた手が『モニタ募集」です。美容室の新人が使う実験台などと同じく、無料で性感マッサージを施せば、リピーターになる可能性も高いとにらんだのです。
モニタ募集のチラシ配布から2週間。突然、携帯に非通知コールが鳴り響きました。
「・・・もしもし」
消え入りそうな女性の声でした。これまで何百回と喰らったイタズラとはまるで反応が違います。
「お、お電話ありがとうございます。出張ホストでございます」
「あの、チラシ見たんやけど、 私、こういったこと初めてで。 モニタ募集って何なん?」
「無料で体験していただいてもらうコースのことです。ただ、その代わりに、率直な感想をお聞かせ願っております」
「そうかあ。そういうことなら、 少しだけ頼んでみよかなあ…」
「ありがとうございますー」
OLさんだらけの職場で遊び相手にも困っているといっ話です。
初の相手としては、願ってもない上客です。
3日後のタ方6時、待ち合わせの広場に足を運ぶと、自販機の前に黒いトレンチコートのOLがいました。
システムを説明した後ラブホへ。土壇場で逃げられないか心配しましたが、彼女に戸惑いはなかったようです。
部屋に入り、まずは事前に用意しておいた願望シートに性癖を記入してもらいました。
【性感帯…クリトリス強めに舐めてほしい】
スケべな欲望を恥ずかしそうに告白する女を前に、私の鼓動は鳴つていきます。
むろん、いきなり抱きつくわけにもいきません。
一緒にシャワーへ入り、口ーションでマッサージ。
ベッドでは、ビデオで研究したテクを駆使し、幾度も潮を吹かせました。
「コレー・コレがほしい」
最後は、挿入を求められ、計3発、白い液を腹の上に放出しました。
すっかり気をよくした私ですが、その後、2 カ月はイタ電しか鳴りませんでした。
チラシ配布が3万枚を超えた辺りから、2週間に1-2度コールが鳴り始め、少なくとも月1で実技に漕ぎ付けるようになりました。
成功の秘訣はよくわかりません。ただただ、無心にチラシを配った結果でしよう。もちろん中にはリビーターもおり、その大半は30代の主婦です
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