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 また目指すピン芸の方向性について悩んでいた11月下旬。R─1 の公式ツイッターを見て、ハっとした。『R─1グランプリ2022 始動』 ついに、エントリー受付開始である。 読めば、一回戦のスケジュールは、12月末から1月上旬にかけての「東京9日程」「大阪6日程」。エントリーは、申し込み用紙に出場希望の日程を2つ記入して郵送というかたちである。 なお、今年度の大会は、一回戦を含む全てのステージが、ネット配信されるらしい。 自分のお笑いの能力、個の力を鍛錬すべく、ピンの活動に移行してから約2カ月。大舞台へ向けてのチャレンジがいよいよ待ったなしだ。焦らなければ。まずはとにかく、エントリーを行うことに。出場の希望日程は「1月9日」「1月10日」を選び、申し込み用紙を埋める。 郵送まで終わり、オレはノートを開いた。 さぁ、肝心のネタ作りだ。 もうのんびり悩んでいる暇はない。方向性はフリップ芸でいくとして、どんな裏モノ系の話を題材にすれば? 面白おかしいバカ話自体は売るほどある。しかし、やはり心配なのは、テレビ向けの賞レースであるR─1のコンプラだ。演芸作家の先生には、ちょっと下品な内容でも調整すれば大丈夫みたいなことを言われたが、例えば売春のエピソードはどうなんだろう? 設定を風俗とかに変えれば大丈夫かしら? ひとまず、思いつくままに裏モノ系の話をノートに書き出してみる。フリップでその内容を表現するならどんな感じになるだろうと、絵を描いてみたりしながら。
 そこでふと、実際に画用紙を使ってフリップを作るときのことを考えた。 絵はなるだけ丁寧に描いたほうがいいし、色も塗ったほういい。そのほうが伝わりやすいだろうし。 ただ、そうやってキッチリ完成させた後で、あれこれ修正するのは骨が折れる。下書きの時点で一度知り合いに見てもらったほうがいいはずだ。話がスムーズか、下品過ぎてないかなどを確認するために。 となると、先にもうその予定を組んでおくか。 シェアハウスを運営している友達の顔が頭に浮かぶ。電話をかけ、相談をもちかけた。「なるほど。フリップ芸をうちの住人に披露したいわけね。ぜんぜんいいよ。今ちょうど、お笑いの養成所へ通ってる若い男の子が2 人いたりもするし」
 そりゃあ好都合だ。ではネタ作りに戻りましょう。 数日後、裏モノ系の話が決まる。そして見せ方の構成も固まった。 ネタの尺は、R─1の1回戦に合わせ2分ちょい。タイトルは、『世にも奇妙な巨乳女の話』である。「面白かったです」「見入っちゃいました」 下書きチェックのため、フリップを抱え、友達のシェアハウスへと向かった。 通された居間には、丸顔と面長の2人の青年がいた。友達が2人を紹介してくれる。「今日は彼らが見てくれるってことなんで」 彼らが芸人の卵のニーさんたちらしい。少なからずお笑いを知ってる方々だし、何かいいアドバイスをもらえたりするかもね。「仙頭です。よろしくお願いします」 さっそく準備に取りかかり、大荷物を広げた。
 下書き段階のフリップは、画用紙のサイズが26枚。まずは並びを確認する。 続いて、フリップ芸でお馴染みのスタンドを立たせた。今まで知らなかったけど、これ、絵画用品で『イーゼル』って呼ぶんですね。…ってあれ? グラグラするんだけど。そっか、この金具をここに留めなくちゃいけないのね。 よしこれでオッケー。用意ができたところで、イーゼルの脇に立ち、背筋を伸ばした。「お待たせしました。えー、現役の雑誌記者芸人、セントゥー、改めてよろしくお願いします」
 2人がこちらに向き直った。 では始めましょう。語りつつ、画用紙の束をめくっていく。どうでしょうか、ちゃんと話、通ってますかね?  彼らの頬は緩んでいる。笑い声まではないが、楽しそうに見てくれているようには感じる。 ほどなく、最後のフリップまでたどり着いた。「ありがとうございます」と頭を下げると、拍手が来た。「面白かったです」「見入っちゃいました」 よっしゃ! 自信がなかったらしい。少なからずお笑いを知ってる方々だし、何かいいアドバイスをもらえたりするかもね。「仙頭です。よろしくお願いします」
 さっそく準備に取りかかり、大うけじゃないが、めちゃくちゃうれしい。「ありがとうございます。とりあえず、内容は全部伝わったと考えていいかな?」「はい」 面長の子がうなずき、しかし丸顔の子が言う。「ただ、ちょっと細かいことを言っていいですかね?」 もちろん言ってくれ。あれこれ意見を聞きに来たわけだし。「もしかしてアレかな、下品過ぎるとか?」「いや、そこは気にならなかったんですけど。いくつか、絵をもう少し大きく描いたほうがいいかなとは思いました」「というと?」「ライブとかで客席からだと、今のサイズじゃ小さいかなと。養成所の講師とかも、フリップは大きければ大きいほどいいって言ってたりしますし」
 貴重なアドバイスだ。ぜひ取り入れましょう。「なるほど。サイズ大きくしますわ。で、直して早々にライブにも出てみようかな」
 何の気なくそんなことを言うと、面長の子が口を開いた。「ライブは、どういうのに出ようと思ってるんですか?」「お金を払えば誰でも出れるやつがあるっしょ? 漫才でもピンでも何でも」「せっかくなんで、ピン芸人だけのライブに出てみたらどうっすか?」 スマホの画面がこちらに向けられた。お笑いイベント業者のツイッターで、『12/11(土) なかのピンネタバトル63/会場・中野/出演者募集』とある。「これとか、いいんじゃないですか? ピン芸人だけのライブだし、たしかこれ、客の投票で順位がつくやつだし」 養成所に通ってるだけあり、いろいろ知ってますなぁ。ふーん、こんなライブがあるんだ。面白そうじゃないの。今の自分のレベルをチェックできそうだし。 そんなわけで、シェアハウスから帰宅したオレは、すぐさま『なかのピンネタバトル63』に申し込んだ。 さて、絵のサイズをアップし、色も塗ろう。たぶん全員R─1に出そうだな
12月11日、『なかのピンネタバトル63』の当日。集合時間の18時ちょうどに、会場の演劇スタジオに入った。 まだライブは開場前だ。客席で出演者受付が行われており、先にやって来た連中が、ステージの始め方や音楽の有無などを伝えている。 オレはどうしようかな? 〝キッカケ〟は〝板付〟でいくか。あと、めくり終わったフリップを置くテーブルを貸してもらおう。 受付を終えたときだった。どこからか、R─1という単語が混ざった会話が聞こえてきた。ここにいる連中、たぶん全員R─1に出そうだな。今日のこのライブ、大舞台への試金石かも。
 まもなくスタッフがステージの前に立ち、説明を始めた。「では、みなさん、よろしくお願いします。今日のスケジュールなんですが」 ライブは、『バトル』と『レギュラー』の2部構成らしい。『バトル』の内容は、おおよそシェアハウスで聞いたとおり。客に投票用紙を配り、面白いと思った出演者の名前に丸を付けてもらい(人数の制限は無い)、誰に何票入ったかを集計。ただ、結果は本日発表されるのではなく、2日後に、出演者一人一人に、メールで届くらしい。こちらに出演するピン芸人数は、オレを含め18人だとか。 一方、『レギュラー』は、主催側のお抱えのピン芸人が4人出演し、普通にネタをやるコーナーのようだ。「ではこれから、バトルのほうの芸人さんのお名前を出演順に呼んでいきます」出演順か。会場の暖まり具合的にはなるべく後ろのほうがいいんんだが…。2番目に、「セントゥーさん」「…はい」早いって。これはちょっと不利かも。スタッフの説明の後は、開場時間の19時まで解散になった。客席でネタの確認っぽいことを始める人間もけっこういる。オレもそうすることに。と、一人のニーさんがフリップ芸の練習を始めた。んん? 何だあのフリップのサイズ? デカい。オレの2倍以上はあるだろうか。フリップは大きければ大きいほどいいんだっけ? 妙に胸騒ぎがした。
客席はシーンとしたままだ19時、ライブが開場した。2番手であるオレは、フリップとイーゼルを持ち、すぐにステージの袖にスタンバイする。スタッフがキッカケを確認してきた。「板付きですよね? テーブルはこちらで運びますんで」そりゃありがたい。なるべくバタバタしたくないし。ほどなく、1番手がネタを終え、戻ってきた。照明が落ち、出囃子がなり始めると同時に、スタッフが机を抱え、舞台へと出ていく。オレも後に続いた。暗い客席が目に飛び込んでくる。客の入りは12~ 13 人くらいか。気になるのは、みなさんの暖まり具合だが。スタッフがテーブルを置いて引っ込んでいき、会場に「セントゥー」という呼び込みが響く。オレは舞台の真ん中にイーゼルを立てた。次の瞬間だった。イーゼルの金具が外れた。おいおい、何だよ? えーと、これの取り付けは? しかし、手元が暗くて見えず、上手くハマらない。強引にガチャガチャやってみるのだが、どうにも入ってくれない。出囃子が鳴り続けている。袖からの視線を感じた。客席のほうからも。やばい。待たせすぎである。強烈な焦りが襲ってきた。どうしよう? 袖に向かって「使わずにいきます!」と声を張りあげた。返す刀のようなテンポで、照明が点いた。右手でフリップを握り、体の横に構える。「…どうも、セントゥーです」とにかくしゃべり出したのだが、いきなりミスが。「わたし、世にも奇妙な…。えーと、まぁその」冒頭のセリフをがっつり飛ばしてしまったではないか。参ったなこりゃ。強引に仕切り直し、ネタへと入った。しかし、笑いは特に起こらない。しょっぱなのバタバタのせいか、イーゼルを放置しているという絵面のせいか、ネタ自体が弱いのか、はたまたその全部だろうか。客席はシーンとしたままだ。最後のフリップまでたどり着き、がっくりと舞台から下りたオレは、楽屋に引っ込んだあとも、まだソワソワが収まらなかった。どのくらい順番が進んだろう、突然、ステージのほうから大きな笑い声が。袖からのぞいてみると、舞台に立っているのは、巨大なフリップのニーさんだった。いやー、不安、的中ってか。★ ライブの2日後、投票結果のメールが届いた。〈投票人数10人〉2票セントゥー…2票か。1票のやつが2人いるが、ほぼ最下位みたいなもんだ。期待はしていなかったが、こうしてきっちり数字を突きつけられると、やはりショックである。ただ、この結果、どうなんだろう? いや、ヤリ切ったうえでの結果なら受け入れるしかない。今回のネタはボツだ。が、もしイーゼルのトラブルが無かったら? サイズアップの修正の際にフリップ自体も大きくしていたら? どうしてもタラレバを考えてしまう。
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