
このところ、過去にテレクラで知り合った女たちから、立て続けに再会希望の営業電話がかかってきている。中にはすでに着信拒否をしているのに、別の番号からかけてきた女もいたほどだ。それでまた会ってくれる可能性があると思ったのだろうか。
電話が増えた原因の想像はつく。
テレクラ自体が減り、新規の男性顧客を捕まえることが難しくなっていることはもちろん、コロナ渦でアルバイトなどの収入が減っている影響もあるのかもしれない。
実際「仕事をクビになってお金に困っている」と電話で話す女もいた。
同情できなくもないが、もちろん会うことはない。誰がわざわざ金を払って、ハズレとわかっているおばちゃんと再会するか。
会うなら、まだ顔を見ていない新規のテレクラ女に行くわ! そんなわけで今月は日暮里のテレクラに行ってまいります。
珍しく、まともな感覚をもっている個室ブースに入ると、すぐに電話が鳴った。
「こんにちは。はじめまして。よろしくおねがいします」
受話器を取ると、耳障りのいい丁寧な声が聞こえてきた。電話の声ひとつでもいつものテレクラ女とは違い、まともな社会経験がある人間だと感じる。
「どうも。こんにちは。ワリキリで会ってくれる女性希望なんですけど、大丈夫ですか?」
「はい、私もそのつもりでした」
「よかったです。こちら41才ですが、お姉さんはおいくつですか?」
「42才です」
「そうですか。同世代ですね。身長とか体型はどういった感じですか?」
「やっぱり中年なのでちょいポチャ体型ですね。太めの女性は苦手ではありませんか?」
「ええ。全然大丈夫ですよ」
毎度のことながら、デブ好きではないのに「大丈夫」と答えるのも辛いものがある。委員長としては、格付け対象の女と会うためにしょうがないことではあるが。
「ワリキリでおいくら希望ですか?」
「1万円お願いできればと思いますけど」
「オッケーですよ。いまはどちらにいますか?」
「日暮里駅の近くです」
「じゃあこのあと会ってみますか」
「わかりました。でもちょっと確認しておきたいことがいくつかあるのですけど、よろしいでしょうか?」
早々に会うことになりそうだったが、急に神妙なトーンでストップがかかった。はい、なんでしょう?
「縛りとか痛いのとかSM行為、しっことかウンチ系のプレイはNGですけど大丈夫ですか?」
なんだか風俗の注意事項案内みたいだ。慎重派なのだろうか。
「はい、もちろん大丈夫ですよ。そんなことはしませんし、全然興味ないです」
「あと、必ずコンドームをしていただきたいのですけど大丈夫ですか?」
「ええ。もちろんそのつもりですよ」
「よかったです。安心しました」
曰く、コンドームをつけたがらない男はもちろん、少しでも食い下がってくる男とは会わないことにしているんだとか。テレクラ嬢にしては珍しく、まともな感覚をもっている。結構ちゃんとした人っぽいぞ。
約束のマクドナルド前に向かうと、聞いたとおりの黒いコートを着た女が一人立っていた。
マスクをしているものの、思ったより若く見える。テレクラで42才と聞けば50才前後が多いが、
30代後半と言われても信じられるくらいだ。
「こんにちは。さきほどのお姉さんですね?」
「そうです。こんなおばさんですけど大丈夫ですか?」
「かわいらしい方でよかったです」
まんざら嘘ではなかった。顔は美人というほどではないが目元や髪は整っており、かわいい系だ。服はどことなく高そうだし、全体的におしゃれな印象を受ける。会話もちゃんとできるし、気が利きそうな印象。テレクラではそこそこ当たりに近い部類じゃなかろうか。
「オシャレですよね」
「昔はアパレルで働いていましたし服は好きですね。でも、こんなに太ってしまって似合わないですね」
「そんなに太ってもないじゃないですか」
「脱いだらビヤ樽みたいですよ」
謙遜しているがデブには見えない。コートを着ているのではっきりとはわからないが、申告通りのちょいポチャという印象だ。
「若いころは結構痩せていたのですけど、結婚してから徐々に太ってしまいました」
「あ、ご結婚されているんですね。お子さんもいるんですか?」
「ええ。いますよ。一番上はもう成人していますけど」
ということは逆算するとかなり若いころに出産しているのでは?
「あっ、ごめんなさい。正直に言うと、歳を少しサバ読みしていました。本当は47です」
「そうなんですか!」
サバ読みしていた年齢より若く見えたのに、実年齢はさらに上だったとは意外すぎる。
「前に男の方に注意されたことがあったんです」
なんでも、以前テレクラで会った熟女好きの男に「40代の人妻っぽくない」と断られたことがあったんだとか。
男には「テレクラでは実年齢ではなく、見える年齢を伝えるのがマナー」
との持論を力説されたらしい。
以来、5才サバ読みをしているそうな。
「童顔なのであまり指摘されないのですよね。別に隠すつもりもないのですけど」
普段のテレクラ女と違い、納得のできる理由だったので、むしろ評価はあがったくらいだ。
「日暮里に来るとエッチな気分になるのですよね」
ホテルに入ると、周りの目がなくなったからか彼女はセックスの話を始めた。
「なぜですか?」
「お裁縫が趣味なので、時々来るのですけど」
繊維の問屋街がある日暮里に三月に一度ほど来るらしい。そして、毎度のようにテレクラに電話をし、セックスをする。得たお小遣いで気に入った布地や糸を買い、裁縫に精をだすらしい。それが主婦である彼女の唯一の息抜きなのだという。旦那とはセックスレスなのだろうか?
「10年以上してないです。夫とは仲は良いのですけど、もう家族のようになってしまって男性として見られないです」
セックスレスの男友達からよく聞くフレーズだ。女性でも同じ感覚の人が少なからずいるのだろう。
「でも、性欲は40才過ぎてからのほうが強くなっている気がします」
普段はというと、家族がいない昼の時間にオナニーをするのが日課らしい。どうやら今日も性欲を発散する目的で来ているのは間違いなさそうだ。
過去のテレクラ女のすべてが金目的。だから彼女に対しては、行動やリアクションなど節々で「いつもと違う」と感じるのだろう。
そのお楽しみのセックスに対し、俺も気持ちに応えてあげたいところではあった。しかし、一緒に風呂に入るべく、お互い裸になったところで気がついた。思った以上にデブだということを。
「結構太いでしょう? 恥ずかしいです」
「いやいや、大丈夫ですよ」
曖昧に返事をするが、正直俺の方も期待していただけに動揺してしまった。彼女の言う通り脱いだらビヤ樽ボディだったのだ。背中はやけにデカいし、腹もしっかり出ている。乳は垂れて見た目も悪い。
「電気を暗くしておきますね」
「はぁ」
明るい部屋でセックスをしたい派の俺だが、今日ばかりは大人しく受け入れておいた。
しかし、風呂場はしっかりと明るい。身体を洗う彼女の後ろから至近距離で大きな背中を見ると、乾燥肌なのかかきむしった爪痕が目立ち、血がにじんでいる部分もある。期待していただけに残念と言わざるをえない。
さらに、風呂上がりのメガネをかけて髪が乱れた姿をみると、会った当初の印象とはまるで違っていた。完全に生活感満載のデブ母ちゃんじゃないか。裸を見る直前は、ほんのりチンコに血が集まっていたのに、いまではエロさを微塵も感じないぞ。
「私は正直キスが大好きなのですよね」
ベッドに入ると、彼女はピッタリ身体をくっつけてきた。
「キスをするのはお好きですか?」
「嫌いじゃないですね」
「私は正直キスが大好きなのですよね」
テレクラ女の多くはキスをしようとしない。プレイ前に「キスはNG」と言ってくる女も少なくないし、女の方から唇を求めてくることはまずない。俺の方もハズレ嬢ばかりのテレクラでキスしたいと思うことはまずないので、キスなど長らくしていなかった。
しかし、彼女は積極的にキスをしたいタイプらしい。少々面倒ではあるが、頑張るよりなさそうだ。
「激しい感じのディープキスが好きなんですか?」
「優しくて甘いのも好きですけど、流れで激しいキスも求めてしまうかもしれません。大丈夫ですか?」
「はい、おまかせしますよ」
そう言うと、俺の耳たぶあたりにキスを始めた。そのままゆっくりと首元やあごに移動してくる。
「ヒゲが痛くないですか?」
「気にならないですよ。そんなことよりキスに集中しましょう。顔をこちらに向けてください」
仰向けだった身体を真横に向けると、両手で顔をつかんで唇を合わせてきた。
「もっと舌を出してください」
口と口のキスが始まると、最初こそチロチロと唇を舐めていたが、やっぱり徐々に激しくなってきた。舌ベロを執拗に舐め回してきたかと思えば、歯茎の奥まで味わおうとしてくる。唾液も吸い取られているようだし、キス好きの変態に犯されている気がしてくる。
鼻の周りも舐められているせいで、乾いた唾液の臭いが感じられる。悪臭というほどではないが、気持ちのいいものではない。
いい加減に飽き飽きしてきて、おっぱいを揉んでセックスに移行しようとするものの、すぐに手を取られてディープキスを続けられる。
「まだですよ。もう少しキスしていたいのですよね」
彼女なりの焦らしなのだろうか。30分近くキス責めが続いたのだから、いよいよ疲れ果ててしまうぞ。
「舐め合いっこしてもらっていいですか?」
俺もさすがに「もう勘弁してくれ」と口にしそうになったところで、キス魔さんの舌が顔面から首や胸へと移っていった。
流れがあるらしい。さすがに長過ぎたせいで唇まわりがヒリヒリする。やっとかという気持ちでいっぱいだ。
それでもフェラが始まると、さすがに上手だと言わざるを得ない舌さばきだった。全体を優しく舐めあげたかと思えば、カリ首や尿道口を重点的に責めてきたり、根本までくわえながら舌ベロを自在に駆使して裏スジを刺激したりしてくる。男の喜ぶポイントをしっかりとおさえた一級品である。
「もしかしてフーゾクで働いていたことあるんですか?」
「経験はないです。でもフーゾクをやっている友達から色々教えてもらいましたね」
「そうなんですか。プロレベルでフェラ超気持ちいいです」
「よかったです。じゃあ、一緒に舐め合いっこしてもらっていいですか?」
シックスナインをご所望されているらしい。太い身体を見るとあまり気が進まないが、やるしかなさそうだ。
「ん、んーん」
肉肉しいお股をかき分けてクリトリスを舐めてやると、敏感に感じている様子。幸い臭くはないので、太ももを枕にしてゆっくり舐めてやると時折満足そうな声が聞こえてくる。しかし、フェラも上手なのでもたもたしていると射精してしまいそうだ。
「そろそろ入れますか」
「はい。お願いします。さっき会ったばかりなのに、おちんちん受け入れちゃうのですね、私」
自分で語ってトロンとしたアヘ顔を見せる。もう少しマシな身体だったら俺も一緒に興奮できそうなものだが、こちらとしては「なにを自分のスケベ具合に酔ってるんだ?」とツッコミをいれてしまいたくなる。
コンドームを装着し正常位で挿入してやると、キス魔さんは顔をクシャクシャにして気持ちよさそうにしている。しかし、その顔が気色悪く見えてしょうがない。至近距離で見れば、シミやシワなど47才らしい部分も見えてくる。
「感じる〜。感じる〜」
負のイメージが強まってくると、喘ぎ声も不快になってくる。
さっさと射精してしまおうと腰を激しく動かすが、なかなかイケない。
「キスしてください〜」
「あ、もうイキそう」
キス魔さんは唇を突き出しているが、聞こえないフリをしてスパートをかけ、無事発射できた。
シャワーを浴び終えると当たり前かのように二回戦に誘われた。丁重にお断りすると、今度は電話番号を聞かれるではないか。また厄介な営業電話が増えては困るので、ウソの番号のメモを渡して逃げるように帰路についた。結局いつものテレクラ女と変わらんじゃないか。
- 関連記事
カテゴリ
タグ