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元モテナイ君の、聞くも涙の半生を紹介しよう。
初恋の相手に罵声を浴びせられ
東京都調布市に公務員の長男として生まれた藤田は、地味としか言いようのない少年期を過ごしてきた。
スポーツが得意なわけじゃない。笑いが取れるキャラもない。
まさに没個性の小中生活を送り、地元の高校に入学。そこで、少し遅い初恋を経験する。
「名前も忘れてしまいましたが、色白で華者なボディに巨乳の娘でした。僕が近所の裏山なら、相手はエベレストぐらいのランクですよね」
藤田は《高嶺の花》の気を引くため、エレキギターを買い求めた
音楽をヤレば女にモテる。単純な発想である。
が、バンドを組むエネルギーもなければ、仲間もいない。
そんなダメ高校生に、絶好のチャンスが訪れる。

「1年の夏の学校行事で、泊まりがけの遠足があったんです。夜は男女でコンビを組んで肝試しをやるんですが、偶然、彼女と一緒になりましてね」
天にも昇る気持ちとは裏腹に、緊張で喉がカラカラになった。
膝は大きく震え、案の定話すことすらできない。おまけに肝試しの道順を忘れ、暗の中で右往左往とする有様だ。そんな様子を見て、彼女は冷酷なことばを浴びせかける。
『マジでお子様でしょうがないよね。道がわかんなければ人に聞けばいい。それもできないわけ?』
初恋相手との初めての会話が的な罵声。
藤田は心に傷をたまま、残り2年半の高校を送り、1浪の後、濁協大に入る
「バレンタインなんて無縁でした。それだけに、大学では絶対に遊んでやろうと思ってました」
最初が肝心とばかりに、オリエンテーションで遊び人を演じたところ、幸運が舞い降りた。
同級生の紹介で同じ大学の娘と付き合うことになったのだ。
「かなりムリしてディスコに連れて行き、必死にオトしました。でも、最初のHは全然楽しくなかった。童貞の事実を隠すのに必死でしたから」
筆下ろしを終え、藤田は人が変わったように彼女に尊大な態度を示すようになった。男にはありがちな行動。だが、その結果は惨めなものだ。
「3カ月ぐらい付き合って、あっさりフラれました、もうショックで…」
当然、他の女性にアタックする元気もない。溜息をつきながら、ただ悶々と時間をやり過ごすだけの毎日。そこに悲劇は訪れる。
「若ハゲです。信じられない速さで頭部が荒野化していきました」
男にとって、究極のコンプレックスとも言える
ハゲ若干21才にして、不毛の女神に愚りつかれるとは、まさしく不運としか言いようがない。

合コンの最中、ハゲ頭にハエが止まったんです
「本当に悲惨でした。風呂に入るたびに落ち込み、大学で友だちに指摘されて、さらにヘコむ。自信のかけらも無くなりまし直それでも、仲間内では面白キャラを演じていたので、一応、合コンには誘われる。が、会場ではロクに口もきけない。どれだけ場が盛り上がろうと自分の身体から邪魔者オーラが出ているのではと、時には3時間、身体が硬直することもあった。
「あるとき、何もしゃべってないのに、目の前の女の子がクスクス笑い始めましてね。何事かと思ったら、ハゲた部分にハエが止まってたんです。こんな惨めな話、ないでしょ」
セックスはおろかデートにすら漕ぎ付けない自分。
なのに、仲間にそれが知られるのがイヤで、2、3回のH経験を100回ぐらいに膨らませて語っていた。
「単なる妄想狂です。まったく、救いようがなかった」
ある意味、高校時代より卑屈になった藤田は、就職活動を控えた大学4年時、一つの覚悟を決める。勤め先を、メーカーでも公務員でもなく、商品先物取引の会社に定めたのだ。
仕事も相当ハードに違いない。
「だからこそ、あえて選んだんです。厳しい営業でトークを身につければ、一人でも生きていけそうな気がしたんですよね」
果たして、仕事は想像以上にキツかった。しかし、苦労は報われる。
入社2年目。常にトップ3割の成績をキープしていた藤田は、新人の研修係に抜擢される。ダマシに近い商売とはいえ、過去にこれほど評価された経験はない。
「素直にうれしかったし、自信にもなった。けど、仕事とナンパトークは根本的に違うから、女性コンプレックスは一向に解消されませんでした。社会人になってからは、合コンの話も断ってたし」
そのころ、藤田は溜まった精液を、もっぱら横浜のソープ街で処理していた。

先物営業は3年で見切りをつけ、東証一部の機械メーカーに転職したのは26才のときだ。
セールストークで女を食えないなら、肩書きで勝負しようって魂胆だった。
ボーナスを叩いてロレックスを買い、外車に乗った。モテるためのマニュアル本も何十冊と読み漁った。研究、また研究の毎日である。
「で、30才のとき、ようやくデートに漕ぎつけた相手が、八王子のソープ嬢でした」
デートとは名ばかり、実際は万ほどの金を払い、ラブホでヤラせてもらっただけ。しかも、一発終えた後は大枚を取り戻すべく、彼女の姿を何十枚もカメラに収めるのが関の山だった。
「当時、カメコ(カメラ小僧)だったんです。生身の女に相手にされないもんだから、いろんな撮影会に参加しましたよ。あわよくばモデルと付き合えたら、なんてことを考えながらね」
ますます妄想を膨らませる一方で、藤田は現実的な手段も講じていた。日本仲人連盟や全日本仲人連合会を始め、調布市や東京都、府中市の相談所に入会し、見合いに取り組んだのだ。もはやデブでもブスでも関係ない。自分を愛してくれるなら、どんな女性でもー。
藁をもすがる思いだった。が、現実は厳しい。
写真の段階でことごとく断られてしまうのだ。
「たまに面談までいっても、露骨に嫌な顔をされましてね。これ、当時の私です(30才)。ハゲが目立たないよう、わざと下のアングルから撮ってるんですけど、焼け石に水ですね」
このまま一生独身で終わるのか。悩みに悩んだ末、34才の藤田がたどり着いた結論はカツラだった。バレたら、そのときはそのときー。
ある意味、開き直りの行為は吉と出る。フサフサ写真にスリ替えただけで、見合いの回数がグッと増加したのだ。確かに印象はかなり違う(34才)。
「ちょっとだけ自信が出ましてね。見合いの後に、食事に誘えるようにもなりました。むろん、セックスまではイケませんけど」
それでも当時の藤田には大進歩だ。次第に心にも余裕が生まれ、今度は自分が気に入らない相手をパスするようになった。
以前、初めて彼女とセックスした後の態度とまんま同じである。
「賛沢ばかり言って手に負えなかったんでしょうね。あるとき、結婚相談所のオバサンが『お見合いパーティ』を勧めてきたんです」
結婚相手を求める約40名の男女が一堂に会し、フリータイムから告白タイムを経てカップルへ。
本誌でも馴染み深いこの出会いスペースに、藤田は意気揚揚と臨む。が、待っていたのは、過酷な現実だった。
「キレイな人がいても、恐くて声をかけられないんです。見合いだったら相手に逃げられないからいいけど、パーティは平気でイヤな顔をされるでしょ。情けないけど、最初のころは、しょっちゆうトイレに引きこもってました」
勇気を出して、お茶に誘い、応じてくれた相手もいる。
が、会話は10分も持たなかった。
その後もパーティに足を運ぶうち、ある男の派手な行動が、イヤが応でも目に止まるようになった。「元Jリーガーという触れ込みで、参加者の女を食いまぐつてたんです。ヤリたい放題ヤッてたんですよ」
Jリーガーの肩書きが真っ赤なウソであることは、まもなくわかった。
にもかかわらず、いつも女を笑わせ、気を引き、自分のモノにしてしまう。
いったいヤツのトークにはどんな秘密が隠されているのか。
聞き耳を立てると、なんてことはない。キレイな女には素敵だとホメちぎり、ランクが落ちる相手には、つまらないダジャレで笑いを取ってるだけ。ただ、その様は、藤田が見てもわかる、底抜けの明るさに包まれていた。
「重要なのは、相手に与える印象なんだなって。それまでの僕は、女の子と顔を合わせたら、自分の会社や年齢、趣味などを伝えるのに精一杯でしたから」
目から鱗の思いで、以後パーティに足を運ぶたび、トーク術を盗み見、見ようみまねで実践する
銀座、夜は新宿で2回。パーティをハシゴするのも珍しくなかった。
毎週のように女の子の反応を研究していたら、何を話せばいいかわかってきたんです。となると、どうしても外で試したくなる。だって、路上の方が、断然可愛い娘が多いじゃないですか

藤田によれば、女はタイプ別に声のかけ方があり、それさえ間違えなければ、足を止めることは可能だという。最も大事なのはその瞬間。最初の7秒に成功と失敗がかかっているという。
とにかくナンパばかりして36才から46才までの10年間で体験人数が約300人。単純計算、1人3万以上の出費である。
「でも、今は自分の好みのコしかヤリませんから。それを考えれば決して高い投資だったとは言えないかもしれないですよ」
過去に、写真だけで見合いを断わられ続けた男とは思えない自信である。

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