勤めていたホストクラブで店長とトラブり、店を飛び出したオレ。
つまらぬ意地で収入源を失ってしまったが、幸い、口座には今まで必死の思いで貯めた力ネが300万もウナっている。
しばらくはテキトーに遊んでりゃいいだろう。
なんて考えていた自分がバ力だった。連日、スロツトで信じられないほどの大敗。とうとう残金が10万を切ってしまったのだ。ガビーン。まさに自業自得の極みだが、なんの、オレにはホスト時代に培ったとっておきの小遣い稼ぎ術がある。必要なのは携帯電話だけ。
ー力月間で130万も荒稼ぎした、必殺の裏ワザを教えて進ぜよう。
まずは出会い系に入り、次のようなメッセージを掲載する。
〈月100万以上稼げる仕事紹介します。興味あるコ、すぐに連絡ちょーだい〉
オンナが月100万稼げる仕事、といえば風俗。そう、早い話がこの出会い系を使って、スカウト活動をするのだ。
経験のある方ならおわかりかと思うが、路上での勧誘は、100人に声をかけ1人モノになれば上出来と言われるほど成功率が低い。
逆に、毎月10人を店に送り込めれば、それだけでー流と呼ばれる厳しい世界なのだ。
その点、出会い系を使えば、先ほどのメッセージをー日に5回掲載するだけで、15人前後から返信が届くのである。理由は言うまでもない。力ネのためならあっさり股を開く援交女が出会い系にはわんさかいるからだ。
で、反応のあった連中に風俗店勤めの話を切り出すのだが、経験上、2割くらいがソッコーで〈ぜひやりたい〉と答えてくる。オンナを確保できたら、次は受け入れ先の店探し。
といっても難しいことはなにもない。
専門の求人誌や情報誌を見て、デリヘルやソープに電話をかけまくるだけだ。
「あの、僕フリーのスカウトマンで、オンナのコを紹介したいんですけど」
皆さんは思うかもしれないこんな単純なことで、相手が話を聞いてくれるのかと。
が、心配こ無用。
近ころデリヘル業者が爆発的に増加、常にオンナのコの数が不足している。加えて仕事柄、店をバックレるコも後を絶たないので、必ず8割以上の業者が食いついてくるのだ。
商談成立なら、女のコを店に連れて行き、スカウトバック（オンナのコの紹介金）をもらうまで。金額は彼女たちのレベルによって2万～15万と差があるものの、オレの場合は平均でー人4、5万になった。ちなみにギャラの支払いには、即金でもらえるスカウトバックの他に、毎月、紹介した女のコの給料から10％のマージンをいただく方法もある。女がバックレなければ、ー人につき毎月4万～10万が永久に懐に入るから実にオイシイ。
心の弱い援交女を力モにする小遣い稼ぎは、スカウト以外にもうーつある。
やはり出会い系を使うのだが、今度は、力ネを引っ張るための力モを捕まえるのだ。
ただし、この方法はイケメンであることが前提なので予めこ了承いただきたい。
まず、掲示板で援交相手を募集しているオンナにこんな内容のメールを送信。
〈この前遊んだケンジだけど覚えてる？連絡待ってるね。0901××××ー…〉
重要なのは〈遊んだ〉といーうことば。理由は後でわかるが、ここではとりあえず相手に『あ、以前客になった人か。なら安心」と思わすことができればそれでいい。
援交女というヤツは、いろんな男とヤリまくっているのでいちいち名前など覚えていない。
結果、6割くらいの確率で電話がかかってくるので、何とか会う約束を取り付ける。
当然、会った時点で力ネのやり取りになるが、そこはとにかく強引に相手をねじ伏せるしかない。「力ネ払うするなんて一言も言ってねーし。てか前は普通にヤラしてくれたじゃん」
これでOK。と言うと、んなワケあるかいとツッコミが飛んできそうだが、援交女には、心の弱いコが多く、意外と何とかなるものだ。もっともこの辺りは、ホスト時代に学んだ会話テクとオレのイケメンルックスがかなりモノを言うのだけれど。
で、2、3回セックスをかまし（もちろんタダマン）、彼氏になってしまえば、後はお決まりのパターンである。
「やべー。ヤクザの車にオカマほっちまたんだ」
これで10万。
「借金取りに追われてるんだ。助けてくれよ」
これでまた10万。といつ風に、相手がこっそり援交で貯めた力ネをいただいていくのである。時々「なんで彼女の私が力ネ払わなきゃいけないの？」と反抗してくるバ力には、「やかましいーオレが困ってんのに見殺しにする気か？じゃいいよ、とっとと別れてやっから」
逆切れを一発かましてやればいい。大抵は言うことを聞くもんだ。
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