
古今東西、人生におげるトラブルのタネといえば、「カネ」と「オンナ」。豆商売に従事するオレたちなら、なおのこと無用の『惨事』は避けたいものだ。
しかし、今も昔も、性地・ハチ公では、ヒョッ子たちの「非行」が後を絶たない。
先日も、ダメダメスカウト・反町(19才)が、フヤケ顔でオレの長髪をなめてきた。
「ちーっすー昨日、嫁の良子(21才)から5万円ほど引っ張っちまいましたよ。1回イカせるごとにカネくれるんス。ええ、どうつスか?でへへ」
「・・オマエさん、『新太郎伝説』って、知ってるか」
「はい?」
普段はお気楽な「ハメ話」に花を咲かせる連中でも、ひとたび新太郎氏の話を聞けば、背筋が凍り付いてしまう。
今回は、スカウトたちの間では戒め文旬として、代々の語り草となっている「大惨事」をお話しよう。
当時、ヒョッ子スカウトであったオレは、ハチ公前をハイスピードで走り回る1人のスカウトに視線を注いでいた。オレンジのカラーパンツに黒のTシャツ。ゴローズやアリゾナのリングが艶かしい、口ンゲの柳葉敏郎似の男。後に「伝説」となるその人である。
「お?オマェ、イイ具合に焼けてるねえ。一緒にサロン行かねえ?オレ、週8日も行ってっから、もう玉袋の裏までコゲ玉よ。でも、白袋(白いキンマタの意)のほうがオナゴにはモテっから、オマエは布切れでも被せてマシーン入れやー」
「ウースー・」
このころの彼は、スカウトマン+数人を抱える六本木キャバのトツプキャッチ。
駆け出しの身にしてみれば、偉大な先輩に「お言葉」をいただき、ただただ感激するしかなかった。
ただ、オレが彼を慕ってたのは、決して「スカウトとしての腕」だけが理由ではなかったように思っっ何といつか、この人、実に面倒見が良いのである。
「オイ、トークが行き詰まったら、自分の股間をオンナに触らせてみろーいいか・(オレにグニャグニャと股間を触らせながら)ほれ・ほれーこの気持ち、わがるかなあ、エ口ーくなるだろ?」
「…な、なるほどーわかりやした」
「イチモッが痛いって?性病かどうか、オレが診てやるーほれ、脱いでみろ?さっさと脱ぎながら付いてこいやー人前で脱げないヤツは大物になんかなれんぞ」
「…オ、オス・で、で、では、脱がせていただきます」
これで、月間20マンを軽々とクリアし、国宝(=アイドル級の上玉)を6~7人上げてしまうのだから敵わない
完全ノンケのオレでも、その「色気」にはウットリさせられたもんだ。
ある真夏日のこと、ハチ公前で親友のルンペン・麗子ちゃん(当時42才)と「日焼け」を楽しんでいたところ、興奮顔で駆け寄ってきた。
「なあ、オイ。聞いてくれゃ。昨日『美香子(当時23才)に軽くベンツを買わせちまったぜ。はい、2千万ね」
「2千万?」
驚くオレに、続ける。美香子とは、3カ月前にスカウトしたキャバ暦5年のベッピンさんで、すでに男と女の関係なのだが、かんぺき自分にゾッコンなのだ、と。
「最初は金を出しシブってたんだけど、セックスで溺れさせるうち、だんだん財布のヒモが緩くなつてきてさも30万のスーツに120万の口レックス。箱根に温泉旅行に行ったときは、ゲンナマで50万『お布施』させたし。携帯料金や家賃も払ってもらってるよ」
そしてつい先日、円山町のラブホの薄暗い部屋内で、腕枕をしていたオンナの耳元で、こう嘱いたという。オレのことが好きか?オレもオマェが好きだ。車でも買って、一緒に海辺を走ろうぜ。ベンツじゃなきゃ、ナメられちまうだろ?
「で、あっさりよ。デキるスカウトつてのはなあ、太いところをがっちり捕まえるもんだぜ。オマエも早いとこ一人前になれや」
正直、カッコイイと思った。自分もいつかなりたい。あのころの彼はとにかくキラキラと輝いていたものだっところが、その2カ月後、すっかり肥えて2重アゴになったが、みなの前でこんな「演説」をブチ巻けるのである
「美香子?ついー週間前に終わったね。『カネがねえなら、消えろーオレはどんなブランドよりも一品けえ代物なんだ一って蹴り飛ばしてやったよ」
「えー」
「しよせんはキャバ嬢だしな、6千万でカネが尽きちゃった(苦笑)。でも、大丈夫。ソープ嬢の千佳)つてコがいるからよ」
信じられなかった。大金を抜いた女からは、アフターフォ口ーしながら、徐々にフエイドアウトしでいくのがスカウトの常識。なのに…。
「なーに、大丈夫だって。ヤツはプライドも高けえんだ。追っては来ねえさ追ってきても『いい子いい子』してセックスしてから仲直り、みたいな(笑)」
★4日後、駅売りのタ刊の社会面に、小さな記事が載った
『深夜ー時、無職の男性刺される。署は、現行犯で飲食店勤務、美香子(24)を現行犯逮捕。女性関係のもつれと見られ、事情聴取を・・彼と親交の深かったピンキーさんによれば、力ジノで数百万をスッた直後、美香子に襲われたらしい。例のソープ嬢との交際を、知り合いの探偵を通じて知り、半狂乱に陥った末の犯行だったそうだ。
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