
有希恵が通っていたのは、教育で知られる私立の有名女子校だった。校則が厳しく、毎日の服装チェックはもちろん、コンビニの出入りさえ禁止されていた。親の期待と学校のルール。
重圧を感じながらも、彼女は勉強に勤しむ。他のクラスメートと同様、外見だけは真面目な、堅物で通っていた。自分に女性としての魅力がないことを意識し始めたのは、中2年ぐらいからだ
女子校ゆえ、校内での出会いはないが、通学電車で痴カンに遭ったという話ぐらいは聞こえてくる
しかし、彼女に触ってくる男はー人もいなかった。
「正直、寂しかったですよ。仲のいい4人グループがいたんだけど、私を除く3人は、みんな痴カンされた話をして盛り上がってる。なんで私は、って感じですよね。触ってくれてoKだったのに」
工スカレータ式に上がるころには、クラスの中にも初体験を済ませたコが現れ始めた。渋谷でナンパされた、友だちのお兄さんと云々
キスどころか、異性とまともに話したことさえない彼女には、遠い世界の話でしかない。私がセックスできる日なんて来るんだろ~つか…。不安はオナニーでしか消すことができなかった。
卒業後、有希恵は現役で某有名私大の文学部に入学する。偏差値で言えば、数ポイントは高い女子大にも合格したが、共学を選んだ。出会いを期待していたのが本音だった。
「でも、出会いはなかったですねえ。映画系のサークルに入って、ファミレスでも働いてみたけど、誰も声をかけてこない…。飲み会とかで親しげに話すようになっても、最終的に口説かれるなんて一度もなかったなあ」
いや、一度だけある。クラスコンパの2次会の帰り、家が同じ方角だった男に「ちょっと休んでいかない?」と誘われた。渋谷のラブホ街はすぐそこだった。けど、やんわり断った。身長160センチに満たない小太りのメガネ君。どうしても、そんな気になれない。
「そしたらソイツ、なんて言ったと思います。死ねブスーですよ。情けなさと悔しさで、泣きそうになりましたよ」
夏が過ぎ、秋になり、冬を越えても、有希恵にその機会はやって来ない。難しいことを言わず、メガネ君とヤッてれば良かった、とも思うこともあった。とにかく処女でいることが重荷で仕方ない。もはや、抱いてくれる男なら誰でもいい・・。
大学2年の夏、焦っていた彼女に転機が訪れる。友人に教えられ、マッチングを始めたのがきっかけだった。システムもわからぬうち、チャットルームに入ったところ、いきなり声がかかった。
え?誰?思う間もなく、次々と窓が開く。
『東京からだよー』『29才のエンジニアです。話しませんか?』
『元気?ひさしぶりじゃん』
気がつけば、30分もしないうち8人の男かり話しかけられていた
「信じられなかったですねえ。顔か見えない世界とはいえ、こんなにモテたの初めてだったし。うん、正直、すごくうれしかった」
間もなく、彼女は映画の話で盛り上がったー人の男性と、誘われるまま外で会う。すでに携帯番号とメールアドレスは相手に伝えていた。
「不安とか期待とか、あんまりなかったかな。それよりどんな人なんだろって興味っていうか。そしたら、信じられないぐらいのハンサムで。慶応に行ってるんだって、学生証も見せてくれました」
新宿の居酒屋で飲み、その後、当然のようにホテルに行った。血は思ったほど出なかった。できれば、また会いたいと思った。か、相手から連絡は来ない
我慢できず、メールしても返事は戻ってこない。単なる遊び
わかっていても、少し悲しかった。
「でもそんなのは一瞬のことで、それからはもうー週間にー人のペースで会いました。そう、誘ってくれる人、誰彼かまわず」
たがが外れたというより、それまでモテなかった自分に復讐したかったと、彼女はいう。
携帯会社の社員、自称編集者、大学生などなど。下は21才から上は38才まで。みな会えば、必ずホテルに誘ってきて、よほどのことがなければ素直に付いていく。
とりあえずお茶だけしてエッチは後日、などといっ面倒なことは言わなかった。ある日、28才の会社員に独身寮に誘われ、付いていった。セックスが終わりお茶を飲んでいると、同僚が訪ねてきて、まもなく部屋の住人が席を外した。モーションをかけてくる同僚。
素直に応じた。と、次に別の同僚が訪ねてきて、またその男とセックス。すべて最初の男が仕組んでいた。
「都合のいい女だってことはわかってるんだけど、その場の雰囲気を壊すのが嫌なんですよ、私相手がその気で来てるのに、断ったら悪いなあって思っちゃう」
キミのような女性をOK女と呼ぶんだと言うと、有希恵は少し怒ったような顔になった。
30人、40人と、その場限りのセックスを重ねていった彼女だか、当然のように心は虚しくなっていく。体だけじゃなく、気持ちで愛してくれる相手が欲しい。
心が渇望し始めた途端力レシができた。これまたメッセンジャーで知り合った同じ歳の大学生。会ったその日にセックスした後、何度も交際を申し込まれ、OKしたら、いいヤツだった。遊園地、映画、ドライブと、普通のデートが楽しくて仕方ない。もちろん、他の男と会うことはなかった。
「でも、途中から、なんか物足りなくなって。要はエッチが下手なんですよ。回数ばっかり多くて、私を気持ちよくさせようって気がまるでない。普段はぜんぜん楽しいんだけど・・」
有希恵は3カ月封印していたメッセで再び遊び出す。以前と違い明らかに刺激を求めている自分がいた。36才の自称レコード会社社員に出会ったのは夏の終わりのころだった。いつものようにホテルの部屋で体を任せると、今まで経験したことのないような快感が体を襲った。
「舌、指、腰、全部パーフェクトだった(笑)。潮吹かされて、何回イッたかわかんない。すごい満足感でした」
もしや肉体の快楽こそが自分の求めていたものだったのでは?それを確かめるためにも、会う相手を吟味するようになった。チャットの段階で、どんなセックスをするのか詳細に聞きだし、技巧がありそうな男 年齢、容姿は一切関係ない
「みんな自信あるよって言うんだけど、3分の2はハッタリ。そういう人は早く終わってくんないかなーって思いますよね。で、残り3分のーの7割がまあOKかなって感じで、あとの3割が巧いーってとこでしょうか(笑)」
現在、有希恵には厳選した5人のセフレがいる。
26才の広告マンから、46才の自営業者まで、いずれ劣らぬテクニシャンだと、彼女は笑う。
46才とは、先日スワップパーティに参加し、そこに来ていたフランス人男性とも関係したという。外人は初めての経験だった。
「就職して忙しくなるし、とりあえず、男は今のセフレとかをキープしておけばいいかなって思ってます。いなくなったら、またメッセで探せばいいんだし」
出会い系で、人生が変わり、自分の正体を知った有希恵。彼女自身、自分がどこまで刺激を求める女なのかわかっていないという。ちなみに、同じ歳の力レシとは現在も続いてる。
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