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いくら出会い系サイト花盛りとはいえ、男女が知り合うきっかけの定番は合コンだろう。
だって楽しいもん。最初に顔を合わせるときのドキドキ感、テ—ブルに付いての自己紹介、卜—クタイム、席替え。終了間際のトイレで交わす「どれイクよ?」の作戦会議に、お持ち帰りをめぐる熾烈な攻防戦……。
ところがいざ自分で開催しようとすると、これがなかなか面倒くさい。
スケジユ—ルの調整やら店の予約やら。
第一、女の子にコネがないことには声をかけようもない。
そんな男が多いのか、最近よく見かけるのが合コン斡旋業者だ。
システムはどこもほぼ同じで、まずは幹事の人間が、グループ人数やプロフィールを記入してメンバー登録無料。
さらに希望する相手グループの年齢や人数、希望日などを書き込むと、女性会員の元に配信され晴れて合コン開催となる運びだ。
もちろんその逆に、男側が女性の書き込みから気に入ったものを選び申し込んでもいい。セッティングが成立すれば、男性は成立料を人数分、業者に払う。この金には飲食代が含まれており、会場は業者側が決めてくれるらしい。普通の合コンでもこれぐらいの出費は当たり前。そう考えるとずいぶんリーズナブルである。
ただ俺にはどうにも想像がつかんのだ。知り合いが一人もいないグループを相手に、千円の自腹を切ってまで合コンしたがる女ってのが。
女にしてみれば、合コンってのは誰々ちゃんの知り合いだから、という接点があってこそ安心できるのだろうし、金だって使わなくて済む場合のほうが多いはず。それをわざわざ…。サクラか?いや、男の払う額が飲食代込み千円ぽっちじゃ業者も女もウマミがなさ過ぎだ。
ならば、やっぱり来るのは素人?うーん。とりあえずはネットで見つけた合コンサイトに、片っ端から登録してみることにした。プロフィールはこうだ。
『デザインやってるちょいクリエイティブの男性です。みんなウンチク野郎だから、クルマ、映画、お笑いまで、何でも括题。イヤミにはならない程度に笑飽きさせませんよ。楽しく愉快にお酒飲めるグループを探してま〜す』
まあ、バカ丸出しだが、わざとお調子者っぽくしたほうがよかろう。
で、これが反応あるもんなんですねぇ。
翌日にはいきなりグループから申し込みが。

『外資系メー力ー事務職、3人希望。学生時代の友人で、他の人は海外ドラマをこよなく愛す編集プロダクション勤務、猫と読番とクルマの運転が好きなです。どうぞよろしく』
『女子大時代の友人同士です。素敵な出会いを求めています。アウトドアなどに興味があるので、ドライブなどが好きな方、是非ご一緒させてください!』
『大手メー力ー勤務3人希望。みな会社の同僚ですが、職場は女性ばかりで出会いがありません。仕事は充実していますが、恋愛も仕事も頑張りたいのです。行動しなければ変わらないと思い登録しました。明るい性格でユーモアもアリ。お会いして損はさせません』

素早いリアクションは助かるが、どれもこれも30代のばかり。
ま、こっちも30代だからしようがないか。どのグループにすっかね。
といっても顔写真がないので判断材料もなし。
とりあえず大手メー力ーの3人組にしとくか。セッティング希望のメールを出すと、翌日のメ—ルが届いた。場所は麻布のダイニングである。
「あの、サイト名の予約で来たんですけど」
店員に告げると「奥の席にもう来てらっしやいますよ」とのこと。恐る恐る奥の個室の扉を開けると、そこには3人の女が座っていた。
「こんばんわ〜」「…ど、どうも」
ここでもし思わず飛びつきたくなるような絶世の美女やセクシーなギャルが座っていたら、懸念されたサクラ疑惑がムクムクと頭をもたげてきたのかもしれない。
が、そこにはあまりにも生々しい現実が横たわっていた。
なんだか日曜昼のテレビ番組みたいなメンツだ。昼メシ時に財布だけ持って歩いているような、中途半端なイタメシ屋ではいでそうな、も言おうか。
「じゃあとりあえず飲み物頼んじゃいますか。ハイ、じゃあビ—ル!」
「は〜ぃ」
拍子抜けしてしまった俺はひとまず幹事の役割を全うすることに。ドリンクが出揃ったところでカンパイ。んで、女性陣の自己紹介へ。
「えっと、貴理子といいます。埼玉の草加から来ました」貴理子
「同じ会社の直美です。千葉の市川に住んでます」直美
「くるよです。2人と同じ会社です。家は松戸の方です」くるよ。
3人とも同じ会社の同僚で、30代彼氏なし実らしのザパラサイトトリオ。正直、キツィつす。トリオとの会話は実に当たり障りのない内容に終始した。
プロフィールどおり職場は40才以上のオジサンばかりで恋愛の対象にはまったくならないこと、かといって得意先の会社にも気になる男がいないこと…。
今さらながらサクラを疑っていたのがアホらしくなる。いっそのことサクラの方がもっと駆け引きを楽しめるんじゃないか。話を続けるうちに各々のキャラが何となく浮き彫りになってきた。
幹事のは仕切り役にふさわしく、しやべり好き。
レースのインナーから、「オンナ」を演出したいとの意気込みもあるようだ。おっとりはしているものの、いちばん男から声がかかりやすい夕イプ。
場慣れしているのか、こちらのジョ—クにも反応がいいし、「やだあ」と隣にいた俺の肩を突いたりしてボディコンタクトも卒なくこなす。
そして正直、好きな男のタイプや、カレシいない歴、似てると言われたことのある有名人といったお約束の質問ですらスキップしたくなるほどのブスキャラである。
他の人ならまだ付き合う対象として見れなくもないが、この人に関してはどうしてもそういう感情を持つことができない。
「こういうインターネットのサイトで合コンやるの、初めて?」
そう問うと、ためらいがちにが答えた。
「2回目なんです」
「へえ、前はどうだったの?」
「1回目はホントもう0点って感じだったんですよぉ。医療関係っていうんで、てっきりそっち系のメーカーかと思ったら、お医者サンが混じってたりして。ねえ?」
くるよが受ける。
「そうそう、私たちフツーのサラリーマンの方とかがいいから、なんか話違うじゃんって感じ。お医者さんってなんかエラソ—じやない?」
そして。「あとはなんか、みんな背が小っちゃかったのよのねぇ」
偉そぅに。自分たちが行き遅れの代であることを忘れたのか。
一緒に飲んでくれるだけでも感謝しなさい。それにしても、何の期待も抱けない合コンである。
美人じゃないし会もツマらん。彼女らは揃って男の好みがうるさいことをアピ—ルしてくるのだが、それは本音ではなく、この歳になっても1人身でいることへの弁解に聞こえてしまぅ。
もちろんすぐヤラせそうな雰囲気なんてさらさらないし、うっかり手を出そうものならすぐ婚姻届に判を押させられそうだ気がつけは時間は夜11時過ぎ。
そろそろ終了の時間だ。むろん二次会に流れる気などない。
「今日はどぅも。じゃあこのへんで」
俺たちは、店を出るや彼女らと反対方向に歩き出した。あのジプシーたちは次なる運命の出会いを求めて参加費を投資し続けるんだろうな。
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