
『カウンセリングスタッフ大募集!時給3千円』
何のカウンセリングなのかは明記されてはいないけど、時給3千円って、どういうこと?キャバクラ並じやん。ちょっと聞いてみよっと。
「あの、広告を見て電話したんですけど仕事内容ってどんな感じなんでしょうか」
「どうもありがとうございます。インタ—ネットをご覧になったのですね。簡単に言いますと、ウチは結婚相談所なんですよ」
スタッフと名乗る男は丁寧な口調で説明を始める。
「カウンセリングスタッフというのは、登録済みの男性会員さんに女性会員さんをマッチングしてあげたり、恋愛に関する悩みを聞いてあげたり、というのがお仕事になっております」
勤務日は週1〜5まで自由に選べ、勤務時間も応相談。
おまけに給料は完全日払い制だという。へ〜、いいじやんいいじやん。
「どうなさいます。面接を受けられますか」
「はい、お願いします!」
明日の午後7時が空いてるという。私はすぐに予約を入れた。
局部タッチで時給9800円新宿駅南口から徒歩10分。小さな雑居ビルの2 階にある事務所を訪ねると、電話の声の男性が応対に出てきた。
歳のころ20代半ば。なかなかのイケメンである。室内を見渡したところ、彼以外に人がいる様子はない。何か変だけど、まいっか。
席に座ると、すぐに面接が始まった。出勤日数は週何日が希望か、日曜日の勤務は可能か。特に変わった様子もなく淡々と進む。
「ところで加藤さん。電話ではお話してなかったのですが、カウンセラーの主業務には男性会員の相談に乗ってあげることとは別に、もう1つ大事な仕事がありまして」
「はあ、何でしよう?」
男は言った。男性会員は女性に不慣れな方が大半。そこで実際のデー卜で困らぬよう、カウンセラーが丁寧に作法を指導しなければならない。
「まあ具体的なことはこのチエツクシー卜を見ていただければわかるんですが」
男が差し出す一枚の紙。どれどれ。
『手をつなぐ抱く= 時給6千800円』
『キス(男性会員の) 局部にふれる=9800円』
な、なんなのコレ!?キス、局部に触れる、って、
…え!よく見るとフェラや挿入の項目まであるじやん。時給2万ってマジ〜?
「もちろん、できる範囲でいいので無理する必要はありませんよ。どうします?」
なんか私、すごくヤバい卜コロへ来ちゃったみたい…。
男は私の手の中に思いっきり射精した。
正直、腰を抜かさんばかりのショックだったが、それでも最終的に私はそのバーチャル恋愛コースの仕事も引き受ける。言うまでもない高給に目が眩んだのだ。
もちろん、フェラや挿入なんてのはまっぴらだが、キスやおチンチンへのタッチ程度なら、やってやれないことはない。多分。改めて、先ほど手渡されたチェックシー卜をマジマジ眺めていると、男がロを開いた。
「さっそくチェックを始めましょうか」
「は?」
聞けばこのバーチャル恋愛、どこまでできるか自己申告するだけではダメらしい。いざ現場で「やっぱり無理です」てなことにならぬよう、実際に男性スタッフを相手に確認を行うという。
げ一。いよいよ風俗みたいになってきたなあ。ま、けどこのスタッフさん、男前だし別にいいんだけど。ひとまずパ—テションに仕切られたスペ—スに移動。
「じやまず、手をつなぐ肩を抱くから」
はいはい。ギュ—。こんな感じでどうですか?
「あ、いい感じ。大丈夫そうですね。では次に『キス局部を直接触れる』に行きましょうか」
照れくさそうにズボンとパンツをズリ下ろす男。う、やだコイツ、もうカチンカチンじゃん…。
恐る恐るオチンチンを握り、シュッシュとしごく。と、男の鼻息がだんだん荒くなって、「ああっ」何の断りもなく、男は私の手にありったけの精子をぶちまけた。おえ〜。
「あの、私、ここまでしかできません。フェラとかはやっぱり…」
「あ、わかりました。大丈夫ですよ。これで面接は終了です、お疲れ様でした」
捕欠採用だから当分仕事はない3日後、男から面接の結果がメールで届いた。
今回、応募多数のため残念ながら加藤さんには補欠採用させていただくことになりました。当分は正式採用の方に仕事を依頼することになりましたので、悪しからずご了承ください
ちょ、ちょっと待ってよ。精子まで出せておいて補欠だ?当分仕事がないだぁ?すぐさま男に返信メ—ルを送付。
面接の結果が納得できないこと、詳しく事情を説明してほしいことを要求した。が、一向に返事はない。電話をかけても、呼び出し音だけで、誰も出る気配がない。
私の中である疑惑が沸き上がってきた。いま思えば、おかしな点はいくつかあった。まず男の話によれば、あそこには男女スタッフが他にもいるはずなのに、彼以外誰もいなかった。しかもその間、男性会員が一人として来社していない。
つまり、あの男、応募女性からエッチな行為をやってもらうためだけにあんな募集をかけたんじやないのか。いま私はどう白黒つけようか思案の最中だ。
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