
ぼったくりエステでキャッチをしていたオレが、公園付近の喫茶店に飛び込むと「町内会」の連中がダくっていた。
町内会とは、ブクロ界隈のキャッチ、ホスト、ヒモなどによる仲良しグループのこと。居酒屋やゲーセンに集まっては、女がらみの美味しいネタがないかと議論を戦わせる仲間である。
その日も、例のごとくクダらぬ下ネタを連発、ぼちぽち仕事に戻りますかと腰を浮かしかけたとき、どこからともなくその計画は持ち上がった。
「この夏、みんなでナンパッアーにでも行ってみねえ」
ナンパッアー。その名のとおり、全国のナンバの名所を周りながら、土地土地の女をハメ倒そうという企画である。
大型ワゴンで移動し、そこを宿舎兼ラブホがわりに使つちまえば、金も大してかからない。いいね〜。採用!
出発し、最初の目的地・江ノ島に辿りついた。
いわずもがな、江ノ島は関東近郊でも有数のナンパスポット。まずは近隣の海を攻めて、肩(股間)を慣らそうってわけだ。
「江ノ島いつ来たの?これから車でどっか行かねえ」
しょせんこのあたりにいるのは都会の女。ナンバのスタンスは変わらない。
都合3日間の滞在で15人を食った後、千葉の白浜海岸に移動し、そこでも4日間で20人を食いまくり。ぐふふ。そもそもが都内でも屈指の激戦区・ブクロのナンバ師なのだ。カルイカルイ。
さあ肩慣らしが終わればいよいよ本格的ツアーの開始だ。最初は名古屋にでも行ってみましょかね。スカウトの間では、ゴージャスな神戸系よりもエレガントな名古屋系は
「ナンバを受け付けない」人種として有名。我ら愚息を濡らすに十分な相手だ。
向かったのは地元でもムリ目の女が多いと評判のクラブ。
フロアにはギャル系はおらず、地味なオネエ系ばかりだ。これは手強そうだみや。
「おじようさん、クラブ遊びなんかしてちゃダメでしょ・ウチらのはめワゴンでご自宅までお送りしますよ。今ならもれなく楽しいバッチコールもついてまずぜ」
「何ですかあ…、店員の人よびますよぉ…」
このシブーい反応がオレたちのプライドに火をつけた。
バカにされてタマるか。
初日は撃沈の憂き目に遭ったものの、次の晩、再び先のクラブを訪れたオレたちは、容赦なくAVスカウトの猛威をふるった。
「こんにちわ。実は私、スカウトの者なんですが、こちらでタレントの発掘をしてましてね。いやあ、あなた実におきれいだ。どうです。東京でデビューしてみるお気持ちはありませんかね」
「そんなあ」
ちよいと都会への憧れをくすぐっただけなのに、すぐにハマリやがるのだから地方都市は面白い。結局、名古屋は5日で10人をやっつけることとあいなった。
そして次なる大阪では、ミナミの引っかけ橋で勝負を挑んだ。ここは東京でいえば渋谷・八チ公前のようなところ。道場破りの心境だ。
大阪人は東京に対抗意識を持ってると聞く。とりあえず自虐的なギャグで攻めてみつか。
「こんちわ、東京のホストの者ですけど。いまこっちにナンパの勉強にきてるんですよ。ちょっと教えてくれません」
「なんなん、アンダら。どっか行ってえな」
大阪のハードルは予想以上に高かった。何人声をかけようが、まるっきり相手にされない。よほど江戸っ子がお嫌いなようだ。
しかもそれ以上にキッいのが地元のホスト連中である。
堂々とナンバしてるヨソ者が許せないのか、ヤクザばりのニラミを利かせてくるのだ。
正直、身動きできましえん。大阪の戦、完敗なり。以来、オレたちは毎夏、ナンパツアーヘでかけるようになった。
北海道に始まり、新潟、仙台、干葉、埼玉、宇都宮、京都、九州まで。中でも思い出深いのは宇都宮だ。
理由はわからんが、とにかくギャルの尻が軽い軽い。わずか1週間で20人は食える街なんて、今でも例がない。
一方で、最悪なのは、他県ナンバーを目ざとく見つけてはボコボコにしてくる地域。
九十九里海岸がまさにそうだった。コンビニ前でブサイクな鉄板ギャル2人組をゲット。
こっそりワゴンに連れ込んだところ、なぜか相手は接合を拒絶。
そこでやむなくリリースし、5人の仲間とあらためてナンバに励んでいると、背後から野太い声が突き刺さった。
「オイ、オメエら!この女を民宿に連れ込んだんだって?」
振り返れば、さっきのギャル2人の傍らに、全身刺青の巨漢3人組が仁王立ち。ヤバイ…。
「何とぼけてんじゃえ!」
オレの顔面に男の拳がメリ込んだ瞬間、仲間は遥かかなたに逃げさった。
運悪く捕まったキャッチの川上とオレだけが、ダンプカーに乗せられ、山奥へ。
「脱げ!脱いで正座しろシ、オイ!」
「は、はい…。ヒクヒク」
言われるがままに萎み切ったチンポを出し、石の上に正座するボクたち。
背後からパトカーが現れなければ、どうなってたことやら
☆ま、懲りずに今夏もはめワゴンは動いてますんで、全国の女性のみなさん、ぜひともよろしく。
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