
阪神優勝。それは確かに目出度いこっちゃけど、とんと野球には興味がない。
興味は、優勝に浮かれるおねーちゃんたちだった。
盛り上がりついでに、居酒屋でも行けへん?
大学のツレと、にわか阪神ファンの0L2人連れをひっかけ、その晩、きっちりいただいた
思い出すだに楽勝やった。夢よもう一度。ついに、虎キチ娘に夜のホームランをかっ飛ばすときが来たのだ。
甲子園 駅で下車()改札をくぐると向こうに、スタジアムのてっぺんが見えてきた。メガホンを首からぶらさげるガキんちょ。夜店のオバちゃん。球場までの道ノリは恐いほどの熱気だ。普段は野球に興味のないオレも、 応援用のハッピと帽子を身につければ、自然、高揚感に呑まれていく。
ええどー、このテンションで女に声かけまくったるわ。
男女比は8対2といったところか。 本日(広島戦)は満員で4万人の観衆。つまり、8千人が女ってわけだ。 確かに若いオネーチャンもおるにはおる。が、その大半が男連れではどうしようもない。
どうにも、苦戦を強いられそうやのう。
2時間。虎キチ女を求めてスタンド内をくまなく歩き続けたが、マトモな会話が成立したのは1人だけだ。ちなみに、その通路に立っていたモギリのコは、オレの目的を知るや、腹を抱えて笑いだした。 「アンタ、そらアカンて。球場に女のコだけで来るなんて、ほんまもんの虎キチだけや」
「ええ、そーなん?そら、失敗やったなあ・けど、紀子ちゃんに会えたし今日はラッキーや」
「あっ、ウチもアカンよ。バリバリの虎キチやから」
「……」
その日、阪神は広島相手に完勝。一方のオレは三振21のノー ヒットノーラン。
完膚無きまで叩きのめされ、球場を後にした。
翌日、再び甲子園球場。今日はライトスタンドに陣を張った。 日本のプ口野球は何と言っても外野が熱い。金髪、茶髪のヤンキー応援団から、アル中オヤジまで。ならば、ナンパもイケるんちゃうか。阪神友の会に属する友人に助言されての行動だ
ゲートを目指し歩いていたとき、通路から試合をジッと見つめる優香似 のOL風を発見した。いかにもヒマそうな様子。しかも見たところ1人だ。ラッキー
「今日も強いなあー」
「んうんー・今年こそ優勝・なんちって」
よっしゃ、ノリはええぞ。
「友だちでも待ってんのん?」
「待ってるっていうか、取り残された。へへ」
彼女は千鶴と名乗った。
ウオオオオオ球場内に地響きのような歓声が鳴り渡った。敗戦ムードだったが、逆転ツーランでひっくり返った。
「やったで」 オレの手を握りながら小躍りする彼女。今や
「ほな、2人で祝勝会しようや」
「そやね。ウチもお腹空いたし。オゴってくれる?」
「当たり前やー」
ったく今までの苦労は何?
酒好きの千鶴と同じペースで、焼酎を飲んだのがいけなかったのか、マジで胸が苦しい。
「なあー大丈夫?アカンかったらどっかで休む?」
「え?」
「朝の6時までに家に帰れたらええし、まあ、こんなパターンもありやしなあ」
スーッと吐き気が引けていった。こんなスマートにホテルに行けるなんて、夢みたいやないか。しかし、コトは簡単に運ばない
ラブホの部屋に入ったはいいが、すでに完全にデキあがっていた千鶴が、力ラオケのマイクを握って離さないのだ。しかも、曲は応援歌ばかり大合唱だ。キミ、コテコテの虎キチやんけ。
仕方なくオレは歌った。ただただ彼女に気に入られるため、応援歌詞カード片手に熱唱した。千鶴ちゃん、気持ちわかってるやろ?
「ん、あついー。あっ、見たら、 アカンよ」
唐突に、千鶴が服を脱ぎ始めた。 鼻から抜けたような甘ったるい声。 自分、オレを誘ってんの? 「ええやろ」
思わず彼女を後ろから抱きしめた。
「もう、酔うてんねやから…あかんって」
「チュだけして」
「チュウだけやでー」
そう言いながら、Gパンの上を慣れた手付きで触る千鶴。おまえ、ホンマはめちゃめちゃシタかったんやろー果たして、彼女は想像を超えるドスケべだった。乳首舐めに玉舐め、 アナル舐め。往年の 江夏を思わせる剛腕ぶりに、オレのバットは空を切るしかなかった。
思わぬ収穫に気を良くし、翌週30日は、虎キチが集う店として有名な居酒屋に足を運んだ。球場に行かずとも、ここなら酔った女を口説けるはず、と考えた。
ワンピ姿の2人組だ
大慌てで2人のもとに近づき、互いの頭をメガホンで叩きあう。
「ここ座ってもええか。オレの席、オッサンに占領されてもーたわ」
「かめへんよ」
くふふ。ホッぺを真っ赤にして、 スキだらけやの。
2人は美容師の専門学校生で、茶髪のリュックが陽子、紫キャミがあかりと名乗った。ここに来るのは今日で2回目らしい。どうやら本モノの虎キチらしい。オトすには阪神の勝利が最低条件だ。
敗戦ムードに包まれるが、その日も奇跡は起きた。2点ビハインドで迎えた9回表、なんと阪神は土壇場でもぎ取ったのだ。
ろっこーう、おろしに、さあそおおと
そーと陽子とあかりと肩を抱きながら、六甲おろしを合唱した。イケる。今夜もイケそうや
9回の阪神の長い攻撃が終わった途端、会場のみんなが席を立った。 勝利の瞬間を味わうため今のうちにトイレに、ってことらしい。 オレは、あかりと一緒にフロアに設置されたトイレへ。が、すでに遅く、女子トイレは長蛇の列。
瞬間、ナイスアイデアが浮かんだ。
「ほな、そこの階段下りてデパートのトイレに行こうや」
「えっ、平気かなあ?」
「かめへん、かめへん」
あかりの右手をつかみ、口ープをまたいで1階へ。薄暗い階段に足下がおぼつかないのか、彼女がオレの腕にギュッとしがみついてくる。物音のまったくない夜のデパート。ドキドキドキドキ。踊り場までたどり着いたとき、手を強く握った。と、彼女が胸を押し付けてくる。
そのまま抱き寄せキス。唇を吸うと、向こうから舌をからめてきた。ヤバもう我慢でけへん。
男子トイレの個室にソッコーでイチモツを
漏れる息がフロアに響く
- 関連記事
カテゴリ
タグ