安宿には日本人女性も
ボクが3年間に及ぶカナダ留学から帰したのが昨年12月。
いい歳こいて実家暮らしもナンだと考えていたところ、『T』という外人向けのフリーペーパーでこんな広告を見つけた。〈ドミトリー入居者求む〉ドミトリーとは、就労目的の滞在者やバックパッカーが利用する激安下宿のことだ。
海外ではボピュラーな宿泊施設だか、日本にもあるとは知らなかった。ここなら家賃も安いかもしれない。さっそく問い合わせを入れると、共同部屋(一部屋を数名で使う)が月3万、6畳のー人部屋が月6万で、敷金礼金は不要だという。
特に割安感はないか、敷金礼金がいらないならプライバシーを優先しよう。ー週間後、ボクは身のまわりの荷物をまとめてー人部屋に移り住んだ。引っ越して驚いたのは、40人ほどの住人うち、半数近くが日本人だったことだ。
留学前に英語に慣れておくことか目的らしい。なるほど、そんな使い方もあるのか。見慣れぬ日本人の女の子がー階の共同スペースでタバコを吸っていたのは、すっかり周りの空気にも馴染んだある日のこと。
「こんばんは」
「あ、どうも」
聞けば彼女、3日前にここへ引っ越してきたらしい。目的はやはり留学の前のウォーミングアップとのこと。当然、部屋も相部屋である。
「ルームメイトは?」
「うーん。なんかあんまりソリが合わなくて」
「それじゃあ、部屋にいるのもキツイよなあ」
「うん、まあね」
「なんだったら、ボクの部屋で酒でコも呑まない」
「え、ほんと」
と、ここまでくればもうおわかりだろう。
実はこのドミトリー、居ながらにしてナンパし放題なのだ。
実際、あっけないほど簡単だった。そもそもか留学希望者、ちょっと英語でもしゃべってやりゃすぐに話に乗ってくる。
特に周りととけ込んでいない新人のコなど、喜んで部屋に付いてきた。
そんなことをしてウワサにならないのかと思うかもしれないが、女自ら
「昨日中野さんとね…」なんて決してバラしはしない。口の軽そうな相手でも、
「みんなに尻軽だって思われたらイヤでしょ」
とでも念押ししておけば大丈夫だ。
相当なブスでなければ誰でもいけたが、住んで半年、ー年なんて女(友達かできて居着いてしまう者も多い)には死んでも手を出さなかった。うっかり彼女気取りでもされた日にゃおちおちナンパもできない。こうして食った女は半年間で計15人。その中にはバックパッ力ーの外人もいる。
彼女らがノリノリでヤラせてくれたのはお国柄というヤツだろうか。みなさんも淋しいー人暮らしを送るより、ドミトリーで共同生活をしてみませんか。もっとも、英語がしゃべれなくちゃ話にならんけどね。
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