社会人になってからでもサークルには入れるらしい。
純粋に遊びだけを目的としたグループだ。社会人サークルに良い出会いはあるのだろうか?婚活・恋活につながるのだろうか?実際に入ってみました。
サークルと聞けば、大学生のチャラチャラした男女集団を思い浮かべる。
夏はテニス、冬はスノボ。でもって関東なら河口湖あたりに合宿に行って、やれ付き合っただの、やれヤリ捨てただのとった話題でワイワイ盛り上がるわけだ。
と、小馬鹿にしたような書き方をしてみたが、実は相当にうらやましい。正直オレだってそういう青春を送りたかった。大学には行かず(行けず)、専門学校の授業とバイトのみの日々は思い起こすだに暗い。オレも学生みたいに馬鹿やりたかったよ。今さら後悔しても遅……くなかった。
社会人になってからでもサークルには入れるらしい。みなさんは「社会人サークル」というものをご存知だろうか。
宗教や習い事の集まりではない、純粋に遊びだけを目的としたグループだ。
インターネットで検索してみてほしい。出るわ、出るわ。
日本全国、100以上もの社会人サークルが存在することがわかるだろう。普段は接点のない人間同士が飲み会をしたり、バーベキューをしたり、どれも大変楽しそうだ。ここで考えてみたい。
イイ大人がサークルに入会する理由って何だろう。
発表会や大会のため共に切嵯琢磨する集団ではなく、ただバーベキューや旅行を目的に集まるのは、何のためだろう。んなもん、恋人探しに決まつとるじゃないか。絶対そうに決まってる。そんなガツガツしたみっともない姿も、サークルという言葉のおかげでオブラートにくるまれてるだけなのだ。なぜ今までこんなオイシイことに気づかなかったんだろう。大学のサークルよりもずっと目的がハッキリした、色恋だけを目当てに集まる集団があったなんて。オレも入会してやる。
男に飢えた女どもを片っ端から食ってやる。
とりあえずタウン情報誌に載ってるサークルは除外だな。併行してお見合いパーティなんぞも開かれており、なんかウサン臭い。やっぱ探すならジモティやネットだ。
なるべくアットホームでサクラなんていそうにないサークルは……
あったあった、ありました!東京近郊で、飲み会、旅行、バーベキューと三拍子そろった活動を定期的にやっていて、過去のアルバム写真もいかにも素人っぽいノリ。しかもここで知り合って結婚したカップルまで何組もいるようだ。
アツいっすね。さっそく、その週開催予定の飲み会へ参加希望のメールを送ってみたところ、参加資格も面接も何もなく、当日直接会場へ来てくれとの返事が。どうやら来る者拒まずの精神のようだ。様子見に徹するもよし、いきなりサクッとお持ち帰りするもよし。
う〜、楽しみだな。ひょっとして男の友達ができたりして。そんなん、いらんいらん。飲み会の会場になったのは、チェーン系居酒屋だった。
参加人数は15人。女7人、男8人だ。
男が極端に多くなりがちかと思っていたが、この比率は上等である。7人の女の中では5人がブス&デブ。残り2人はそこそこカワイイ。地味めのキャバクラやスナックにいるちょっとカワイイ女の子の水準をイメージしてもらいたい。
一方の男性陣は、はっきり言ってイケメンは1人もいない。みんな偏差値30から40あたりのルックス。服装もどこか野暮つたい。勝てそうだ。
「どうも、初参加なんで、よろしくです」
仕切り役の幹事に挨拶をし、周囲の男女にも軽くペコリと頭を下げる。
「気にしないでいいよ、楽しくやりましょう!」
ぐらいの歓迎をされるのかと思いきや、みんなちょこっと会釈をする程度だ。おとなしいのかね。
「それでは恒例の飲み会を始めます。カンパーイ!」
ビールを飲みながら話すうち、どうやら初参加はオレともう1人の男だけだとわかった。他は誰かしら知り合いがいるようだ。
ちなみにその男、最初っからテーブルの隅のほうで黙ってるだけ。馴染みたいけど馴染めない、そんな表情だ。いくら初参加でもソレじゃいかんな。積極的に絡んでいかなきゃ。
「そうなんですか。バーベキュー楽しそうだなぁ」
オレは大げさにサークルへの関心の高さを表現し、明るい性格をアピールした。さらには、わざと男性陣と絡むことで下心を包み隠す。これぐらいの小技は必要不可欠だ。
どうやら、他の男たちは揃いも揃ってしゃべりが上手くないようだ。
どこかおっとりとしていて、のろい。
ま、社会人サークルに入ろうなんて連中、こんなもんか。ちょっとやる気が出てきたところで、今日いちばんのカワイイ女の子の隣に移動する。ユキミ。22才。サークルのホームペ-ジには、彼女の写真がやたらと載っていたから、看板娘ってところか。
「飲み会って、いつもこれくらい集まるの?」
「今日は少ないほうですよ。新宿や渋谷で集まるときは、もっと女の子が増えるかな」
てことは、今日の飲み会で焦ってゲットしなくても、別の飲み会で勝負すりやいいわけだな。いい情報をありがとう。
「ユキミちゃんの女友達は来てる?」
「今日はいない。友達が参加するのは、あさっての釣りのほうみたい。私も行くから一緒に釣りませんか?」
釣りか。開放的な場での出会いも悪くないな。どうせヒマだし。
「釣りは得意だから(ウソ)まかしといてよ。針にエサとかつけれる?」
「キモいの嫌だから、私の代わりにエサつけてくださいよう」
語尾を甘ったるく伸ばす口調にオレの股間は激しくうずいた。この女さつそく持ち帰りOKですか?ユキミといい感じのところに、筋肉質のゴッい身体つきをした猿顔の男が話しかけてきた。彼女の趣味だという、ダイビングの話題を振ってきやがる。くそ、邪魔しやがって。
しかたない、ここはもう1人のカワイイ女の子を攻めるか。
「どうも、初めまして」
「あ、こんにちは」
都内のOLで名前はカオリ。22才だ。自分が巨乳なのをよくわかってるらしく、胸元を強調したキャミを着ている。
「サークルに知り合いは多いほうなの?」
「あんまりいない。今日はヒマだから飲み会に来ただけ」
彼女ぐらいのレベルなら、サークルなんかで男を探さなくてもいいだろうに。よっぽど出会いのない日常なのか。
「会社はオヤジばっかですよ。恋愛とか考えられないし」
そんなものなのか。今日はこれくらいにしておいて釣りの日に勝負をかけよう。
新宿駅に集合、今回も男女半々ぐらいだが、やはり狙うならユキミかカオリしかいなさそうだ。
全員で車に分乗し、千葉へ向かう途中、5人乗りの後部座席でオレは軽く仮眠を取った。あの2人がいない車内で張り切ってもしょうがない。
2時間後、海に到着。
とりあえず磯に座って、借りた釣竿を垂らす。つまんね-な。別に魚食いたくもね-し。さっさと本題に入りますか。え-とユキミは…いたいた。
何だか準備に戸惑ってるぞ。オレがシカケを作ってやるよ〜浮きとおもりを付け、エサのゴカイを針に刺す。
緑色をしたミミズのような虫は、キモチ悪いし変な匂いがする。女の気を引くのは大変だよ、ユキミ。
あれ?なんで前回ジャマをしまくった猿顔の男と楽しそうに話してんの?
オレが臭い思いをしながら、針にゴカイをつけるところ見てなかったの?
優しいオレのアピールは失敗?
しかも猿顔、竿を垂らし始めたオレたちの間に割って入り、いらぬお節介を焼き始めた。
「魚のいる深さまで、針が届いてねえよ。こんなんで釣れるわけないし」
そう言って猿顔がユキミのシカケをいじると、なんたること、小ぶりなアジがヒットしてしまった。いかん、負けだ。完敗だ。どうせ猿クンもユキミのこと気に入ってんだろう。仲良くやってくださいまし。もはやターゲットは、巨乳のカオリしかいない。
「カオリン、釣れてる?」
「ぜんぜ-ん」
「ちょっと体もつか」
「そだね」
この前の飲み会で、オレとカオリは互いを「カオリン」「タッチャン」と呼び合う仲になっていた。というか、このサークルでは、皆がニックネームで呼び合っている。ミユミユとかイッシーとか。「あいのり」の感覚。寒いっちゃ寒い。
次の軽井沢は一泊らしいのでそこで勝負をかけるしかない。
翌週、土曜。集合場所には初めて見る顔ばかりが揃っていた。
ユキミやカオリの姿はなく、猿顔も…げっ、あいつは来てるよ。ふと、メガネをかけた髪の長い女が目にとまった。すかさず話しかけると、名前はミクといい、25才のフリーターだそうだ。他の女はあいかわらずブス揃いだ。
今回のターゲットはこの子に決まりだな。猿、今度は負けない。幸い、彼女とワゴン車に同乗することができた。と思いきや、猿も一緒に乗り込んできやがる。お前はどこまでオレの邪魔をすれば気が済むんだ。
「ミクちゃんだつけ。初めて?」
最初に仕掛けてきたのは猿だった。
が、ミクは返事ひとつしない。おやおや、猿っぽい人は嫌いなのかな。ふふ。ではオレの番だ。
「軽井沢って行ったことある?」
「。。。」
無言。なんだこの女。どっかオカシイのか。
結局、彼女は風邪薬の錠剤のようなものを一粒飲んだきり、軽井沢に到着するまで一言も口をきかなかった。車に弱いのかもしれん。
3時間後、車は一戸建てを合宿所に改装したようなショボい建物に到着した。荷物を置いてからは、ゴルフ班とテニス班に分かれての行動だ。猿はゴルフに向かうらしい。当然オレはミクを誘ってテニスだ。
「ミクちゃん、テニスってやったことある?」
「したことないです」
「オレもなんだ。初めて同士、一緒にプレイしようよ」
「じゃあ、行こっかなあ」
テニス組の他のメンバーなどそっちのけで、オレはミクとポールを打ち合った。車での無愛想とは打って変わって、彼女ハシャいでます。悪くない、悪くないぞ。
テニス後は、みんなで食事作り、夜になってからは大広間でカラオケ大会が始まった。
何が楽しいのか、酔っ払った連中が雪国や氷雨を熱唱している。
さて、この隙にミクを誘い出しましょうかね。
「ねえ、花火しよつか」
こんなこともあろうかと、ドンキで購入した花火を持ち込んでいたのだ。合宿所を抜け出し、花火をしながら2人は初恋の話で盛り上がり、メアドを交換した。
もちろん猿の邪魔はない。と、ここで、予想もしない出来事が。唐突に、あまりに唐突にミクが大声で泣き出したのだ。
「あたし薬がやめらんないんです。飲んでないと気持ちが落ちちゃって、泣いたりキレたりするの」
えらいことになってきたぞ。大丈夫かコイツ。とりあえず錠剤をウーロン茶で飲ませ、抱きしめて背中をなでてやる。だんだん表情が明るくなってきた。薬が効いてきたのか。
さりげなく顔を近づけた。嫌がる様子はなく、そのままキス。
たっぷりと舌をからませる。もらったぜ。このままハメちまうか
その瞬間、背後に視線を感じた。振り向けば、サークルの幹事がオレをにらんでいる。
「どうしたの?」
「あ、いや…」
オレが強引にコトに及び、拒否ったミクが大泣きした
いつのまにかそんな話になっていた。なぜかミクもかばってくれず、周囲から性犯罪者のような目で 見られたオレはその後部屋に篭りっきりでテレビを見るしかなかった。帰りの車でも、なんだか護送される囚人のようだ。
ったく、こんなサークル辞めてやる。お前らだって女狙いのクセによ。
にしても解せないのは昨夜のミクの態度だ。レロチューまでしておいて、いきなり知らんぷりはないだろ。病気を悟られないために取り繕ったんだろうけど、本当のところはどうなのよ。 続きしたくないの?
そうか、やっぱ昨晩は、みんなの手前、恥ずかしがってただけなのね。
抗うつ剤よ、ありがとう。上機嫌のミクは、その夜、一度も泣くことなく酒を飲み、勢いにまかせてオレの部屋にやってきた。
社会人サークルでは、初参加の女にだけ狙いを定めるべし。常連でそこそこ可愛い子に挑んでも、必ず他の男のジャマが入る。
イベントに参加し、初心者にさっさと連絡先を聞いて、サークル外で会ってしまうのがいちばんの策だろう。これならあちこち渡り歩いて、1サークル1人ゲットぐらいならできそうだ。ただ、容姿のレベルは保障できません。