



ミナミのスナックで知り合った韓国人女性のミオンちゃん。端正な顔立ち、 透き通った白い肌、そして何より、背 が高くスリムな身体にスイカップとい う完ぺきなプロポーション。今までの ターゲットの中でルックスはナンバー ワンじゃないだろうか。 なんとしても彼女を落としたいと意 気込んでいるのだが、俺にとってよく ないジンクスがある。実は、外国人を 落とせたことがないのだ。 旅先で玄人の外国人とは人種問わず 何人かの経験はあるが、素人とな ると恥ずかしながらヤッたことが ない。(ヤルノートでも今まで2名の ターゲットに対して、どちらもキス止 まりで終わっている)。 このままではちょっと情けない。な んとしてもミオンちゃんを攻略して汚 名返上と行きたいところだ。 韓国に帰ったミオンちゃんとライン 文通でコミュニケーションを続けてい る。出会った数日後にはこんなメッセ ージが届いた。 『エンタメ、イベント関連の仕事を日 本でよくやりたいです。シンサクさん、 よく連絡しましょう』 日本語は話せるが読み書きができな いミオンちゃんとは、ラインの翻訳チ ャットを通してやり取りしているので、 ちょっと変な日本語になってしまうが、 どうやら彼女、日本での仕事を増やし ていきたいようだ。そんなに俺に役立 てる力はないと思うが、ここは多少の ハッタリも必要だろう。 『色々と人脈もあるので、気軽に相談 してね。俺ができることはなんでもす るよ』これがどう翻訳されているのかちょ っと怖くもあるが、『うれしいです。 シンサクさんと出会えてラッキーでし た』との返事が。よしよし、いい感じ だ。 月に1回程度の来日と言っているミ オンちゃんが次にいつ来るのかはわか らない。しばらくは彼女からの連絡を 待つしかないんだろうが、その間に俺 にできることはないだろうか。 あれこれ考えたが、結論はシンプル だった。韓国語を学ぼう。やっぱり女 性を落とす基本はコミュニケーション だ。アンニョンハセヨくらいしか知ら ない俺が少しだけでも韓国語を話せば 距離はグッと縮まるはずだ。 ミオンちゃんに韓国語を教えてもら うというのも考えたが、忙しいだろう し、できれば急に韓国語で話して驚か せたいしな。 ネットで検索してみたが、どこがい いのかよくわからなかったので、韓国 語を勉強していたという後輩女性に相 談した。 「河内さん、なんで韓国語なんで すか?」「まあ、ええやん」 「私が行ってたのはNっていうスクー ルなんですけど、個人経営でアットホ ームだし、比較的安いし、お薦めです よ」 彼女の紹介だと言えば入会金と初月 が無料になるらしい。じゃ、ここにし よ。さっそく会社帰りにNに行き、入 会手続きだ。 手続きを終え、スタッフの女性に「せ っかくなので、見学していきませんか」 と誘われた。 10 分後から初心者クラス のグループレッスンが始まるらしい。 いきなりで緊張するが参加してみよう か。 教室に入ると3人の受講生が待って いた。全員若い女性で、狭い部屋にい い香りが充満している。俺だけまった く場違いな感じだ。 「アンニョンハセヨ。それじゃ始めま すね」 講師の韓国人女性が入ってきてレッ スンが始まった。 「今日からレッスンを始められる河内 さんです。みんなで自己紹介しましょ うか」 みなさん暖かく迎えてくれた。女性 たちは、一人が大学生、二人は友達同 士の会社員だ。講師のKさんも 30 代く らいの女性だし、ハーレムやん。モチ ベーション高く、楽しく韓国語が学べ そうだ。頑張ってうまくなるぞ! 週1回程度通うレッスンが楽しみで 仕方ないが、この韓国語教室はあくま でも手段であることを忘れてはいけな い。目的はミオンちゃんを落とすこと なのだ。 2回目のレッスンが終わったころ、 ミオンちゃんからラインが届いた。 『良い午後です。私がマーケティング をするのを助けてください。2週間後 大阪に出張します。この案件なのです が、広報お願いします。大阪でお会いしましょう』 相変わらず変な翻訳だが、久しぶり の連絡、そしてもうじきミオンちゃん に会えるんや! ワクワクしながら、案件のリンクを 開けると、韓国美容エステイベントの 案内だった。ちょっとウサン臭い感じ だ。 『ご相談に来てくださる方を募集して います。ご相談だけでも無料プレゼン トを差し上げます。さらにカウンセリ ング特典も !! 』 うーん、怪しさ全開のイベントだ。 さすがにこれを知人に紹介するのはた めらわれる。とりあえず協力している ふりだけでもしておこう。 『知り合いの女性たちと共有しました。 反応あるかわかりませんが、うまくい くことを願ってます!』 『ありがとうございます。大阪で会え るのが楽しみです』 この怪しいイベントのことは置いと くとして、とにかくミオンちゃんに会 える。それだけでも楽しみで仕方がな い。今後も頻繁に会えるわけではない ので、今回でどこまで距離を縮められ るかが勝負だ。急仕込みの韓国語で彼 女の気持ちを掴みたい。 しかし、1週間ほど経って残念な知 らせが届いた。 『申し訳ありません。大阪に人員が集 まらずキャンセルするそうです。 東京に人数がたくさん集まってい くそうです。昨日ご連絡頂きました。 すみません…』 ショックすぎる……。 『わかりました。また大阪に来る時に 飲みましょう!』 と返すのがやっとだった。 ガッカリしたが、とりあえず韓国語 のレッスンは続けよう。娘ほどの歳の 受講者たちは同級生のように接してく れるし、講師の韓国人女性Kさんも、 ミオンちゃんの足元にも及ばないもの のそこそこ綺麗だし。 交流会と称した飲み会もあってKさ んとも仲良くなった。なかなか手が届 かない高嶺の花のミオンちゃんより、 身近のKさんでもいいかなぁ…。いか ん、いかん。ここはあきらめずに挑戦 し続けよう。 しかし、そんな俺の気持ちを打ち砕 くようなラインがミオンちゃんから届 いた。 『先月は彼氏の店がオープンしました。 行事がない、または海外出張がない場 合、お店で仕事をします。春、夏にお店が忙しくて仕事をしなければなりま せん。おそらく来年は日本に行く予定 です。 遊びに来てください』 彼氏 ?! 嘘やろ? 添付しているリンクを開くと、彼氏 がオープンしたという店の紹介動画が。 いきなりこれは辛すぎる。ラインの 翻訳チャットが『彼氏』と訳したが、 本当はただのボーイフレンドじゃない のかなどとなんとか一縷の望みを見つ けようとしたが、虚しいだけだ。 あぁ、このままミオンちゃんをあき らめるしかないのか…。
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