






女優志望の女は誰とでも寝る。 というのはいささか露骨で行き 過ぎた表現だが、俺はそうだと 思っている。 彼女たちは映画や舞台でスポ ットライトを浴び、観客たちに 自分を見てもらうことに喜びを 感じる生き物だ。 見られたい願望、すなわち求 められたい願望、イコール男の 誘いを断らない。そのはずだ。 いや、そうに違いない。そうで あってほしい。 てなわけで、そんな女優志望 者たちと出会える場所、演劇ワ ークショップに申し込み、参加 することにした。ワークショッ プとは、セリフ練習などをする 勉強の場のことだ。 男なんか二の次 みたいな顔つきだ 11 月某日、午後1時。演劇の メッカ下北沢。ワークショップ の会場は公民館の一室だった。 どういう人たちが参加するの か、事前にはわからない。そも そも女性の参加者はいるのか? いたとしても全員50 代とかだ ったらどうしようか? そんな 不安がよぎる。 時間ギリギリに入ると、既に 参加者が集まっていた。広々と した会議室のような場所に、パ イプ椅子が横一列に並び、 10 人 近くの男女が座っている。パッ と見、男女の比率は1対1、女 性の参加は5人ほどだ。 参加者たちの年齢はバラバラ で、若そうな人からどう見ても おばちゃんといえる人もいる。 橋本環奈のような美女がいるこ とを期待したが、残念ながらい ない。しかしかわいい子もいる にはいる。 余っていた椅子に座る。二つ 隣に 20 代らしきショートカット の女の子が座っていた。彼女と 仲良くなれたらいいが、果たし てうまくいくのか。 残念ながら和気あいあいとし た空気ではないし、女性は揃い も揃って、男なんか二の次みた いな顔つきだ。 全員が揃うと、指導者らしき人物が参加者たちの前に立った。 自己紹介とワークショップの説 明だ。 「みなさん、初めまして。森と いいます。今日は参加してくだ さってありがとうございます」 50 代ぐらいの普通のおじさん、 という感じだ。どの角度から見 ても煌びやかな世界の住人には 見えない。きっとこういう冴え ないおじさんでも、「私に役を ください!」と言い寄ってくる 女優志望の子がいるんだろう。 ワークショップの時間はみっ ちり3時間もある。さて、この 後どんなことをやらされるのだ ろうか。 「好きな映画監督は 小津です」 「では、まずは自己紹介から始 めてもらいます。ですが、普通 の自己紹介ではありません。こ こに立ってもらって、自分で用 意した自己紹介用のセリフを繰 り返し言ってもらいます。繰り 返すことで、セリフが湧き出て きます。その湧き出る感覚を身 につけてもらいます」 森氏はそう言い、参加者たち がうなずいている。よくわかっ ていないのは俺だけだろうか。 湧き出るって、何? さっそく一人目の自己紹介が 始まる。前に立ったのは 40 代ぐ らいの女性だ。彼女も女優志望 者なのだろうか。うーん、だと してもソソられないな。上下紺 色のジャージで、化粧っ気もな い。 彼女が手足をぶらぶらさせ て、「おっしゃ」と気合を入れ た。意気込みが強すぎる。 「工藤と言います。好きな映画 監督は小津です」 「はい、それを繰り返してみま しょう」 「工藤と言います。好きな映画 は小津です!」 「そう! もっと! もっと繰 り返して! 感情を表に出し て!」 40 代の工藤さんは同じセリフ を繰り返しながら室内を動き回 り始めた。「いいですよ! そう体の底か らセリフを吐き出して!」 工藤さんは飛び跳ねたり床に 転がったり叫んだり泣いたりし、それが延々と繰り返される。 「はい、お疲れ様でした」 女性はぐったりした様子で席 に戻っていく。 さすが役者とい うべきか、どの参 加者も感情を露わ にして叫んだり転 げまわったりして いる。感情が高ぶ って、本気で泣い ている人もいるじ ゃないか。 いよいよ自分の 順番が回ってきた。 心臓がバクバクだ。 「ええと、小島と いいます。好きな 食べ物はカレーで す」 「繰り返して。そ してもっと感情を 込めて!」 そう言われ、他 の人の見よう見ま ねでやってみる。 「小島です! 好 きな食べ物はカレーです !! 」 「もっと、もっと!」 参加者たちがマジマジと俺を 見ている中、部屋中を動き回り ながら叫ぶ。ああ、恥ずかしい。 デリヘル嬢に尻の穴を見られる 方がよっぽどマシだ。 「公演があって、 今からそっちの 稽古です」 自己紹介が終わったあと、本 格的な指導が始まるとかと思い きや、似たようなことを延々と やらされた。 泣いたり笑ったりしながら自 分の過去について話をする、森 氏が用意した短いセリフを覚え、 みんなの前で繰り返し披露する。 大変だな、役者って。 時間と気力だけが奪われてい くだけで、本来の目的であるナ ンパなんてとてもじゃないがで きっこない。 ワークショップ中はみんな真 剣な眼差しで人の演技を見つめ、 おしゃべりや参加者同士の交流なんてものが一切ないからだ。 こりゃ終わったあとの打ち上 げ(あるのかわからないが)に 期待するしかない。俳優志望者 たちは酒を飲みながら、演技や 俳優についてあーだこーだ話す ものだろう。きっとそういう交 流会があるに違いない。 3時間が経ったが、けっきょ く参加から終わりまで、参加者 たちとの交流は一切できなかっ た。 「はい、では皆さんお疲れ様で した。最後にアンケートがある ので、それを書いてから帰って くださいね」 「お疲れ様でした〜」 参加者たちがアンケートを書 き終え、ぞろぞろと帰っていく。 あれ、打ち上げの雰囲気なんて 皆無だぞ。 適当にアンケートを書き終え、 ショートカットの子を探す。た しか自己紹介ではミコトと言っ ていたっけな。どこだ? すると、ショートカットのミ コトちゃんは荷物を持って部屋 を出ていくところだった。急いで荷物をまとめ、後を追う。 「お疲れ様でした」 「あ、お疲れ様です」 ようやく話せて一安心だ。 「なんか疲れましたねえ。ミコ トさん、演技も大胆でかっこよ かったです」 並んで歩くとずいぶんと小柄 な子だとわかる。たしか年齢は 22 才だっけ? ほんわかした雰 囲気で、とてもかわいらしい。 「ありがとうございます。小島 さん、ですよね。すごくリアル な雰囲気がありましたよ」 まあ僕はリアルというか演技 なんてできませんから。 「普段はどういう活動されてる んですか?」 「私は舞台がメインなんですよ。 1月に公演があって、今からそ っちの稽古です」 稽古、という単語がいかにも 舞台役者っぽい。これからなの か。残念だ。 「そうなんですね。その舞台見 に行くんで、詳細教えてくださ い」 「え、来てくれるんですか?嬉しいです」 その場で連絡先を交換した。 共通のテーマがあるとスムーズ に話が進むな。 誰にでも股を 開くように思えない 会場近くの公園で話をするこ とになった。 陽が落ちかけて薄暗く、少し 肌寒い。彼女もあまり時間がな いようなので、ここで少しでも 距離を縮めたいものだ。 空いていたベンチに二人で腰 かける。 「お昼ご飯食べてなかったの で」 と言って、彼女はバッグ からラップに包まれたパンを取 り出した。自家製サンドイッチ だ。 「節約? 偉いですね」 「はい、バイトしながら舞台に 出てるので…」 たしかに会社員をしながら女 優を目指すなんて聞いたことが ないしな。バイトに稽古。そう いう生活をしていては彼氏を作る余裕もなさそうだ。 「いつから役者の活動してるん ですか?」 「高校卒業して、しばらくして からです。だからまだ2年ぐら いなんですけど、ちょっとずつ 舞台に出られるようになって」 話しながら、彼女はぺったん このサンドイッチをパクりと食 べる。 無地のセーターにスニーカー。 高級ブランドや六本木の寿司屋 とは無縁のこの感じ。純粋すぎ やしないか? そのまま 30 分ほど映画や日々 のことを話した。純粋でとても いい子だが、選ぶ相手を間違え たかもしれない。チャラい様子 がまったくなく、誰にでも股を 開くように思えないのだ。 「そろそろ行かなくちゃなの で」 そう言って、ミコトちゃんは 帰り支度を始めた。 駅まで並んで歩く。とりあえ ず次の予定を押さえておかなく ては。 「あの、明日は何か予定あります? よかったらごはん行きま せんか?」 「ごめんなさい、明日は夜まで バイトなんです。でも土曜日な ら、夕方から空いてます」 時間と場所を決め、その日は 別れた。 「家来る?」 「ちょっとだけ」 土曜日の 18 時。高田馬場の駅 前で待っていると、ミコトちゃ んが小走りで駆け寄ってきた。 「お待たせしました。今日も寒 いですねえ」 「寒いねえ。焼き肉でもい い?」 「もちろんです。焼き肉、夏に 食べて以来かも」 「そうなの? ちなみにお昼は 何食べたの?」 「おにぎりです」 フリーターは金がないのが常 だが、たまには贅沢にご飯を食 べたりしてほしいものだ。いつ しか彼女を見る目が親戚の叔父 さんになっている。いかんいかん。 店に入り飲み物と肉を注文す る。彼女はソフトドリンクだが、 まあ仕方ない。 「焼肉、久しぶりです。普段は 自炊ばっかりなので」 「やっぱり舞台活動してるとや り繰り大変?」「そうですねえ。稽古の時間を 確保しなきゃいけないですし、 公演が始まるとその期間はバイ ト入れられないので…あと、東 京は物価も高いから」 「実家はどこなの?」 「福井です」 「福井なんだ。両親は反対しなかった?」 「お母さんはしなかったですね。 やりたいことやればいいんじゃ ない? みたいな感じで。でも お父さんは堅い仕事に就いてほ しかったみたいで」 たしかにな。東京で役者活動 なんてして、娘に悪い虫が付かないか心配なんだろう。すみま せん、お父さん。 リラックスしてきたのか、ミ コトちゃんのの雰囲気も柔らか くなってきた。初めて会話した ときからずっと敬語だったが、 徐々にフランクな話しぶりにな ってきている。いい傾向だ。 たらふく食べて腹も満たされ た。さて、次はどうしよう。時 計を見るとまだ夜の8時前だ。 いい大人がここで解散にはなら ないだろう。 「あー、お腹いっぱいです。ご ちそうさまでした」 「いえいえ、このあとまだ時間 ある?」 「はい。明日は夕方から稽古で、 それまでは何もないので」 ムム? これは朝までいいよ、 という意味だろうか。この後ホ テルに連れ込もうとなんだって いいわよ、という意思表示だろ うか。なんて大胆な子! 近くにはホテルもあるし、自 宅も歩いて帰れる距離だ。ちょ っと散歩しようとか言って歩い てるうちにすぐ着いてしまう。そのまま家に上がってもらえば、 なんやかんやで全裸になってる はずだ。なぜなら彼女は女優志 望だから。 頭の中で不埒なシュミレート をしていると、ミコトちゃんが 言う。 「あ、小島さん。私自転車で来 てて。ちょっと取りに寄っても いいですか?」 「家、この辺なの?」 「はい。自転車で 15 分ぐらいで す」なんたる偶然。自転車だった ら終電の時間も気にしなくてい いし。尚のこと都合がいい。 自転車を押しながら、次の行 き先を求めて一緒に並んで歩い た。 ここまで一切のスキンシップ もない。恋愛話にも至っていな い。彼氏がいるかどうかも知ら ない。でもきっと大丈夫だろう。 女優志望だし。 「家来る?」と誘うと、 「ちょっとだけ」と、うなずいてくれた。今の は良いうなずき方だ。森氏も褒 めてくれるだろう。 ちんこを 入れる入れないの 話じゃない 部屋でしばらく談笑したのち、 手を握って引き寄せようとする と、ミコトちゃんはテンプレの ようにしっかりとガードを固く した。 断固拒否、というわけではな いが、「なんかそういうのはち ょっと」みたいな力加減で。 女優ならではの「いったんは 拒んでみます」演技なのか。そ れにしてはやけに上手だ。 こんがらがった紐をほどいて いく。焦るな、焦るなと自分に 言い聞かす。 すると、 15 分ほどでキスを許 してくれた。それどころか向こ うから舌を絡めてくる。息が 徐々に荒くなり、体に触れると ビクンと反応する。 「くすぐったい…」と言って笑うが、嫌がっている様子ではな い。 二人でベッドに倒れるように 転がり、そのまま服を脱がせる。 しかし、彼女は恥ずかしいのか なんなのか、ちょっとでも体に 触れると「くすぐったい」と言 って笑う。 その理由がわかったのはしば らく経ってからだ。服を一枚一 枚脱がせ、シャワーを浴びずに 体をまさぐり、クリを舐めなが ら指を入れると、体がこわばる のがわかった。これはもしや… 「ちょっと痛いかも…」 中指を一本入れただけで、ほ とんど動かしていない。ちんこ を入れる入れないの話じゃない ぞ、こりゃ。 「やめる?」と聞くと、ううん と首を横に振る。 しかしアレを入れるのは無理 だった。試みてみたものの、下 半身にガッチリ力が入り、先っ ちょを少し入れただけで相当痛 がる。 尻軽どころか、こりゃ処女じ ゃないか。「んー。 そうなるかも。 わかんない」 結局セックスはせず、そのま まベッドに横になった。この上 なく不完全燃焼だが、まあ仕方 がない。ちんちんを舐めたこと すらないっていうし。 「初めてだったの?」と訊くと、 そうではないとのこと。 「相手は彼氏?」 「ううん。バイト先の後輩。彼 女と別れたとかで家に誘われ て」 「へー。その人とは付き合った りしたの?」 「してないよ。そのあと連絡も 来なかったし、自分からも連絡 してない」 何人かの役者仲間とも付き合 ったりしたが、誰ともセックス には至らなかったという。 「するのが嫌いなの?」 「そういうわけじゃないけど。 たぶん私に魅力がないんだと思 う」そう言って笑う。俺は好きだ けどな。顔もかわいいし。そう 伝えると、彼女は素直に喜んだ。 ワークショップのときは、大 胆に自分を表現する彼女だった が、プライベートの彼女はコン プレックスの塊だったようだ。 率直に訊いてみた。 「演劇とか映像の女優を目指す 人ってさ、求められたい願望が あったりするの?」 「たぶん、あるんじゃないかな。 私はまだ歴が浅いけど、何度も オーディション落ちたりすると 気持ちが萎えるよ。ナーバスに もなるし。自分って必要とされ てないんだなーって気持ちにな るよ」 「そっか。そういうときって、 男性に求められたら応じちゃ う?」 「んー。そうなるかも。わかん ない」 その後、彼女を自宅まで送っ た。時刻は深夜の3時を過ぎて いた。 女優志望にもいろいろあるよ うで。
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