パチンコ屋の一般景品に高額で転売できるレアもの商品が

パチンコで玉を出したときにもらえる謎の板（特殊景品）は、地域によっては純金や純銀が使われているところがあり、中身の相場が変動することによって、買取所での価格より貴金属の買取店で買ってもらったほうが高くなることがある。　代表的な例では、東京都内では１ｇの金景品が９千円分の玉で交換できるのだが、この金景品は本物の金が使われており、現在は金相場が高騰している関係で貴金属業者に持っていったほうが千円ほど高く売れる。なので、交換所に持っていかないことで 10 ％勝ちを上乗せできたり、負けを 10 ％帳消しにできる。　純金や純銀の景品は都内だけでなく、東海地方や北関東に行くと見かけるので、バカ出ししたときは一度冷静になって景品を観察してみると、いいことがあるかもしれない。そして、パチ屋で玉を出したときは特殊景品だけでなく、もう一つ勝ちを上積みするチャンスがある。　それは現金と交換できない普通の景品、つまりお菓子とかおもちゃなどの一般景品の中にある。サザエさんでたまに出てくる、マスオさんが紙袋を抱えているアレだ。　ほとんどの人は、余り玉でタバコやライター、お菓子や飲み物をもらう程度で、そもそも一般景品に注目することはないだろう。　ただ、パチ屋は「出た玉を景品に交換するお店である」という建前がある以上、誰も取らないことが確定的であっても、ある程度は一般景品を置かないといけないようになっているようだ。　もちろん誰も興味を持たないので、基本的にはホコリを被ったまま長期間放置されることになる。　俺が初めて一般景品の穴に気付いたのは、旅行で行った伊豆のパチ屋（現在はもう潰れている）で、やけに古いトミカを見つけたときだ。確か千円分の玉で交換できた気がする。　ミニカーには全く興味がないので価値はわからなかったのだが、箱や文字の感じからして相当古いもののようだったので、もしかしたらレアモノかもしれないと思いヤフオクで検索してみると、なんと中古でも１万円、新品だと２〜３万円くらいの値段がつくプレミアものだった。もちろん、即交換したのは言うまでもない。パチンコは５千円くらい負けたが、これのおかげで勝って帰ることができた。このトミカがいつの商品だったのかはよくわからないが、１９８８年のＦ１選手権で使われた車のトミカなので、おそらく販売されたのは１９９０年ごろだろう。実に2〜 30 年の間、プレミアものの商品が誰からも興味を向けられず放置されていたことになる。しかもほぼ定価で。　パチ屋の景品が中古品であることはまずないので、考えようによっては、パチ屋以上に状態のいいレアモノが平気で放置されている場所は他にないだろう。しかも定価で売られているなんて、夢みたいな話だ。　そのあとも、絶版になったレアモノのおもちゃ「うまれて！ウーモ」を都内のパチ屋で見つけたこともある（これはＸでも自慢した）。　……というわけで、今回はパチ屋の一般景品に眠る宝を発掘していく。　さて、どう目星をつけていくか。まあ普通に考えて、レアモノっていうのはもう手に入らないからレアモノなわけで、古い商品であることが多い。なので、最近できたパチ屋にレアものがある可能性は低いだろう。　そして、大手チェーン店はけっこう頻繁にリニューアルをするので、その際に古い景品を捨ててしまうケースが多い気がする。実際、古くからあるマルハンなんかに行っても、箱が日焼けしたり色褪せている商品が置いてあることはほとんどないし。　また、店の規模はほとんど関係がないはずだ。郊外の大型店とかで台数が１０００台を超えているような大型店でも、景品自体の数が少ない店はけっこう多いので、店がデカければ景品が多くて狙い目ということはいえないと思う。　そうなると、東京 23 区なんかは昔ながらの中小店舗が潰れまくっているので、郊外の古い店舗を探すのが正解か。適当に下り電車に乗って、古い店があったら下車して探すことにしよう。　というわけで上野から常磐線に乗り、茨城方面へ。スマホで停車駅周辺を調べつつ、パチ屋があったら降りて探していくのだが……。都心部を過ぎると、駅前にパチンコ屋がない駅も多く、けっこうな勢いで東京から離れていく。駅から徒歩 10 分も歩くケースもあったりして、なかなか探すのはハードだ。　そしてわざわざ下車しても、たいした景品がないと本当にガックリくる。今風の小奇麗なパチ屋は一般景品が本当に少なく、誰も絶対に取らなそうなアクセサリーなんかが数点置いてあるだけの店もある。　しかしいくつか店を回ったところで、いい感じに歴史のある店を見つけた。これは期待できそうだ。ドキドキしながら景品コーナーを見て回る。置いてあったのは古いＤＶＤ。２０１０年に開催されたサッカー南アフリカＷ杯のドキュメンタリーやタイタニックなんかで、確かにレアなことはレアなんだろうけど、市場的な価値はほぼゼロ。　南アフリカＷ杯のＤＶＤはアマゾンだと２千円くらいの値段がついているものの、パチ屋の一般景品は基本的にメーカー希望小売価格分の球数が必要なので、１万円近い値段だった。こんなもん、誰も取らねえだろ。　その後もめげずに捜索を続けていくが、正直いらねえもんしかない。　中でも笑えたのはワンセグ機能のついたＤＶＤプレイヤーが１万円分の玉で出ていたことだ。ワンセグは２０１５年に終わってるから、単純に古くてショボいＤＶＤプレイヤーとしてしか使えない。ヤフオクだと３００円で落ちていたりして、なんだか悲しくなる。世界のどこかにはこれを欲しがるマニアがいるのかもしれないが、残念ながら巡り合えそうにない。　そしてもう一つ面白かったのが、一般景品のコーナーで立ち止まっていると、高確率で店員に声をかけられることだ。しかも「何か欲しいものがありましたか？」と聞かれるのではなく、「どうかしましたか？」という、非常に抽象的な質問をされる。　いや、あんたらが景品として出してるから見てるんだろうが。まあ、この反応も一般景品を気にする人がいないという証拠ではある。消防関連の検査員か何かだと思われているのだろうか。　上野を出てから３時間ほどで、ようやく面白そうなものを見つけた。サントリーが 10 年ほど前に出していた「無頼派」というウイスキーが一般景品の棚に置かれていたのだ。誰も取れなさそうな高所に置いてあるものの、一応交換玉数が出ているので景品なんだろう。　交換数は 46 枚（９２０円分）だが、ヤフオクなんかだと４千円くらいの値段がついている。味はあんまり評判がよくないので、恐らくコレクション需要だろう。　さっそくメダル 50 枚で交換を頼んだものの、なんと断られてしまった。店員曰く「賞味期限が確実に切れているので、トラブルになったら困る」とのことだ。こんなもん本気で飲むやついないだろ。「コレクション目的だから飲まないので譲ってくれ」「いや、それでもウチが責任を取ることになったら困る。保健所とか」「飲まないのに保健所もなにもないでしょ」「万が一があるから」「そもそも景品として出してるんだから、交換できないのはおかしい」「半分ディスプレイみたいなもんで、本当に欲しがる人がいると思わなかった」　と、なぜか強硬な態度を取られてあえなく撤退。だったら並べるんじゃねえよ !! 　ムカついたので通報しようと思ったが、これ以上世の中からパチ屋が減るのも困るのでやめておいた。　その後も、「完全に色褪せたポケット将棋や囲碁」「誰も欲しがらなそうなダサいＧショック」「全くプレミアがついていないアンパンマンのおもちゃ」など、古いけど価値がないものばかりを見せつけられて時間が過ぎる。　歩いては駅に戻るの繰り返しで、かなり疲れたんですけど。日も暮れてきたし、もうやめたい。そして気付けば、東京からキロ以上離れた土浦まで来てしまった。まっすぐ帰っても１時間かかるんだが。　とりあえず、疲れたから座って休みたい。ちょうど「緋弾のアリア」の天井に近い台を見つけたので、これを打ちながら休憩しよう。　景品とはまったく関係ないが、これが大当たり中の上乗せゾーンでベルを 10 連続で引いて一気に上乗せし、４千枚出た。７万以上勝ったし、疲れも吹き飛んだ。編集長には適当に別の企画を提案してごまかそう。もう９時過ぎてるし、交換して帰ろ。　カウンターへ向かうと、この店にもおもちゃコーナーがあった。トミカやキャラもののおもちゃはレアモノがなかったものの、棚の下段にレゴの「ニンジャゴー」シリーズが！　これはレゴをモチーフにした忍者のアニメが原作となっているシリーズで、国内では大人気とはいえないものの、海外やマニア人気は高い。２０１１年からやっているアニメなので商品数も多く、絶版になっているものも多い。　景品としてあった「ロイドのメカドラゴン」「ジェイのライトニングジェット」も両方絶版で、どちらも約８０００円分の玉で取れる。アマゾンでは２万円以上の値段がついているので、迷わずゲット！　将来の値上がりも考えると、取らない理由がない。帰りはグリーン車で帰ろっと。はからずも、７万勝ちがレゴのおかげで 10 万近い勝ちになって帰れることになった。こういうことがあるので、パチ屋に行った際は一般景品を見てから帰ることを強くオススメする。　ちなみに、古い一般景品の中には、ヤフオクやアマゾンでここ数年の流通が一切ないトランシーバーとか、よくわからないバブル時代のパーティーグッズのようなものが置いていることもある。目利きの効く人であれば面白いことになるだろう。

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