あっけなく橋を渡り終え、雄島に到着し た。入り口の鳥居をくぐると、山の傾斜に 沿って見上げるような石段が続いている。 登り切ったところで、島を１周する小道に 出た． 左へ向かうと神社があり、右は何もない。 反時計回りだから右に向かわねば。 これから数十分後か、数時間後か、とに かく島を１周してこの場に戻ってくれば、 異界には連れ去られなかったことになる。 右へ。木々で囲まれた土の道を、懐中電 灯で照らしながら一歩一歩あるく．日中な らばちょっとしたハイキング気分だろうが、 深夜のこの時間だとさすがにおっかない。 不思議なもので、歩き続けるとふと背後 に誰かがいるような気配を感じてしまう。過去に見聞きした怪談をどこかで意識しているのだろう。
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