香 川 は 教 育 熱 心 な 気 質 の た め、かような県民性となるそ うだ・ならば肩書きは東大法 学部出身でいこう。ただ唐突 に言うのはあまりにヤラシイ ので、頃合を計らなければ。 「Ｅ子ちゃんはやっぱうどん とか好きなの？」 「好きですね。地元ではよく食 べましたよ」 「いいよれ〜・俺も東京に来る 前はよく香川まで食べに行っ たよ」 「いつごろ東京にいらっしゃっ たんですか？」 ほい来た．山口の女は蹄地元ではあまり見かけな いナイーブな男が好きなのですと。確か に長州の男は打たれ強くて、繊細さの欠 片もなさそうである。 山口出身のＦ子もまた、どこかざっく りさっぱりした性格らしい。「どうも〜始めまして。飲んでますか？」 「いえ、今日の僕、寝癖ついてて恥ずかし くて、もう…」 「きゃはは、ウケる〜」 「もう、そんなこと言わないでください。打たれ弱いんで…」 「何〜そのキャラ・笑えるんですけど〜」 「そ、そんな、もう勘弁してください」 ナイーブってこういうことで合ってま すよね・只野仁の昼間の感じでいいんすよれ。 ふと通路をミニスカのホステスが通った。 「い、今のパンツ見えそうでした」 「きゃはは、弱気なのか強気なのかわかん ないんですけど〜」 確かに。今のはなかったな。最後は、滋賀男性と福井女性は相性がいいとのネット情報に乗つか ることにした。 もはや東京生活のほうが長 くなってしまったが、私の人格 が形成されたのは高校までを 過ごした滋賀県であることに 疑いの余地はない。琵琶湖の 水を飲んで私は大きくなった のだ。 「いや熱まあ、今日はたくさん の．を指名したけど疲れたよ。 Ｇ子ちゃんがいちばん落ち着 くね」 「そうですか。ありがとうござ います」 「うん……」あかん、シマんねＩことしやくってるわ。 でもこういうのでいいのかもな・相性は バッチリなんだから、会話なんかより雰 囲気で落ちるってものよ・ 午後Ⅱ時を回って他の客が帰り始め ると、本日指名した女性陣がテーブルに ずらりと勢ぞろいした。 どのキャラクターで立ち向かえばいい のか混乱した私は、隣にはホラ吹き、正 面は弱気で、斜めにはロマンチストと、ど こかネジのはずれたような客となって閉 店までの時間をつぶしたのだった。今回のホステスさん７人には鍔席を離 れる際、営業名刺をいただくと同時にメ アドを書いた名刺を手渡している。もし 作戦が成功し、私を気に入ってくれたな らば、連絡のひとつぐらいはあって然る べきである。 が、翌朝になってもケータイは鳴らない。 しびれを切らし、楽しかったのでまた会 いたい旨のメールを全員に送ることにした。 返信は左のとおりである。 返事のあった５人に、次はプライベー トで遊ぼうよと誘ってみたところ、芳し い反応はひとつも得られなかった。
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