ハプニングバー。何をする場所かは知れ渡っているが、実際に行ったことのある人は少ないかもしれない。
おそらくみんな、こう思って躊躇しているのでは。
『男一人でふらっと入店して、果たしてイイ思いができるのか?』
カップルならまだツレの女がいるだけに、周りから重宝されてあれこれ楽しめるだろうけど、イケメンでもなんでもない単独男がウハウハできるものなのか。
ハプバー初体験の俺が、いっちょ検証してこよう。
自分から話しかけないと何も始まらない
新宿歌舞伎町に、有名なハプニングバーがあると聞いてやってきた。
時刻は20時を少しだけ過ぎたころ。店のインターフォンを鳴らすと、キッチリとした身なりのボーイが出迎えてくれた。
「いろいろと初めてなんですけど」
そう伝えると、料金の説明や店の遊び方まで丁寧に説明をしてくれた。
初回だと、会員証作成などに金がかかりトータルで1万8700円。高い。これで楽しめなければバカみたいだ。
「では、一名様ご案内します」
鍵付きのコインロッカーに荷物を全て預け、席へと案内された。セックスではなく、飲んで歓談するスペースだ。
円形の大きなソファ席と、バーカウンターに分かれていて、俺はカウンター席へ。
見渡した感じ、客は自分を含めて10名ほど。そのうち女性は2人しかいない。私服姿の常連客らしき連中が、雑談に花を咲かせている。現状では完全アウェイだ。
席について30分ほど適当に酒を飲んでみたが、こんな初顔の一人客に話しかけてくれる人はいない。
これは自分から話しかけないと何も始まらないパターンだな。社交的にならねば。
カウンター席の向こうのほうに一人で酒を飲んでいる女性がいる。隣に男はいない。
まずはあの人に絡んでみようと隣の席へ。
「初めまして、お姉さん」
「あ、はい、初めまして」
正面から見るとハーフのような顔立ちをしている。
「少し気になったのでお話しませんか」
「え、いいですよ」
無視されなかったのでちょっとだけ安心した。
どうやらこの女性は今回初めてこの店に来たらしい。日本とアメリカのハーフなのだそうだ。
「今日は気になったので少し遊びに来ただけなんですよ」
と言うが、何が気になったのだろう。複数の男に責められたいとかそういう願望でもあるのかな。
周りを見渡すと、何人かの男が俺たちの方へ目線を向けていた。初モノ同士がどんなハプニングを起こすか期待してるのかも。
もちろん俺も期待大だ。
しかし40分ほど会話したところで、
「私はこれで」
と彼女は店を出て行ってしまった。本当に様子見だけだったみたいだ。
他人のセックスを30センチ先で見る
休憩がてら喫煙スペースで煙草を吸っていると、上半身裸の男に話しかけられた。
「お兄さんって普段何している人なの?」
「僕ですか? えーそうですね、記者をやってます」
「へえ記者って面白いですね。初めて会いましたよ」
半裸リーマンと話していたら、周りに人が集まって来た。記者という仕事がよかったのか、こんな依頼をする人が。
「もしよかったら、俺たちのセックス実況してくれない?」
どこの誰に実況するのかわからなかったが、セックスを見せてくれるなら喜んでさせてもらおう。
「面白おかしく実況してくれれば盛り上がるかも」
隣にいた、小柄でぽっちゃりとした巨乳もノリノリだ。
「頑張れよ記者、ついでにチンポでも舐めてもらえよ」
「新聞に載せて」
と色々なヤジが飛んでくる。頑張ります。
カップルがシャワーから出てくるのを待ち、一緒にプレイルームへ移動だ。プレイルームは、歓談エリアからは見えないようになっている。つまりこのカップルのセックスを見られるのは俺だけだ。 下着姿の2人が抱き合いながらキスを始めた。ちなみに俺は来たときのまんまの私服姿だ。
さて、これを観察しながら実況してくれと注文が入っているわけだが、状況からして、実況というのはこの2人に向けて行うらしい。
「お互いナメクジみたいに抱き合っているぞ。男が下着を脱がし始めた。女も負けじとパンツに手を入れる!」
こんな古舘伊知郎のプロレス中継みたいなのでいいのだろうか。何が面白いのかさっぱりわからないけれど続けてみよう。
前戯の時間はあまりなく、バックの体位で男がチンコを入れた。
「おっと、バックから挿入だ!」
そこで男から注文が。
「ねえ真田くん。もっと繋がっているところを近くで見て観察してよ」
「やだー恥ずかしい」
巨乳女が照れる。
なるほど、この2人はこうやって楽しんでるんだな。水を差すわけにはいかないのでもう少し頑張ろう。
「亀頭がマンコにめり込んでいる! 決め 45手は突き刺しか! マンコが泡立って来た! チンコでメレンゲを作っているのか?」
他人のセックスを30センチ先で見るのは初めての経験だし、こんな実況ももちろん初だ。
「そろそろイキそうなんだけど」
男が言うと、女は「最後はフェラね」とベロを出して精子をおねだりした。「おねだりのポーズでフィニッシュになるか! おっと、舌の上で射精した!」
2人は楽しそうだったが、俺はかなり疲れた。なんだったんだこれ。
「お前もこうなれるように頑張れよ」
バースペースへ戻ると ハゲた小太りのおっさんに声をかけられた。
「いいなあ。僕も見てみたかったよ」
いやいや、見れたのはいいけど実況が大変だったんだから。
このおっさん、よく観察してみると、男女の周りにふらふらと近づいて、おこぼれで会話に入れてもらおうとしているコバンザメタイプの人だった。おっさんなりに考えてるんだろうけど、その作戦、正しいのかどうか。
周りを見渡してみると他の客も多種多様な楽しみ方をしているようだ。常に尻を触ろうとしているおっさんや、パンツが見えるほどのミニスカで歩いている女、普通のバーのようにバーテンダーと話をしているだけの人もいる。
意外だったのが、俺と同じくらいの年齢の若い男もそれなりにいることだ。
俺の想像していたハプバーとは違い、血眼になってセックスをしようと努力している感じはしない。たまにプレイルームに入っていくカップルもいるが、頻度は低い。
みんな酒を飲みながら会話を楽しんでいて、普通のバーにも思えてくる。
カウンターで、常連っぽい女に話しかけられた。
「お兄さん実況したんだって? 面白いね。ちょっとこっちに来てよ」
さっきのカップルから話を聞いたのか。
こうやって輪が広がるのはありがたい。思い切って古舘伊知郎になってよかった。
ボックス席へ案内されると、勃起するのかも怪しそうなジジイにお出迎えされた。
「面白そうだから一緒にお酒でも飲もうかと思ってね」
ジジイはさっきの女を抱き寄せ、尻を揉みながらシャンパンを煽っている。
「ほら君も飲んで。これ2007年のドンペリ」
女がそういってグラスに酒を注ぐ。
「いただきます」
ひたすら、女の尻や胸を揉みながらシャンパンを飲むエロジジイ。どこからかチャイナ服を着たコスプレお姉さんも加わって、両手に花状態だ。俺は何を見せられているんだ……。
「この人ね、こうしてイチャイチャしているのを見せつけるのが好きなの。変態さんなの」
女が説明してくれる。
「お前もこうなれるように頑張れよ」
謎の励ましをいただいた。はい、頑張ります。って何を?
「彼氏が、誰かとセックスして来いって」
スマホは持ち込み禁止で、店内に時計もないので時間の感覚がなくなってきた。今、店に入って3時間くらいだろうか。
煙草休憩をしていると、2人の男性に声をかけられ雑談をすることになった。
ツーブロックの兄ちゃんが言う。
「あそこに青色のワンピースを着た女がいるでしょ? あの子さっきから真田君の方を見てたから話しかけに行ってみたらいいと思う」
もしかしてこれってハプニングのチャンスか? 行ってきます!
近くで見る青ワンピさんは、かなりの美女だった。
「初めましてお姉さん」
「ああ、どうも」
「今日はどうしてここに来たんですか」
「彼氏に言われて……」
え、彼氏に言われるってどういうこと?
「彼氏が変態で、ハプバーに行って誰かとセックスして来いって。それを後で聞きたがるんですよ」
そのために1人で来店したのだという。そんな男、彼氏って言えるのか。
「そういえば、ちょっと目線を感じたから話しかけたんだけど」
「そうなんですか。面白そうな人だと思ってちょっと見てたんですよ」
なにが面白そうなんだろ。もしかして急に来たモテ期ってやつなのか。
「忘れてたけど、私ミナミって言います。よろしく」
このミナミちゃん。26才でショートカットでスレンダーボディの、かなり可愛い感じの女だ。身長も高くモデルっぽい雰囲気だし。まさかこんな娘に興味を持たれるなんて、人生何があるのかわからないな。
「さっき記者って聞いて、私、新聞社受けて全部落ちたんですよ」
あー、そういう関心ね。
「だからこんなところで込み入った話をするわけじゃないんですけど、話してみたいなって」
「いいですよ」
新聞社のことはさっぱりわからないので、適当にそれっぽい話をしながら、少しずつボディタッチを増やしていく。
彼女も体を密着させてくる。いい感じじゃん。これはもうセックスするだけだ。
「部屋いきませんか?」
「はい、いいですよ」
プレイルームの利用はボーイに一言「部屋を使いたい」と言うだけでいい。
いざ部屋に入り、抱き合いながらディープキスを。ミナミちゃんはワンピースなので簡単に下着姿にできた。
パンツの中に手を入れると、もう濡れている。ゴムを付けて正常位で挿入だ。
ミナミちゃん、されるがままで、たまに吐息を漏らすだけだ。もう少し激しい女の方がいいんだけど。贅沢な悩みだ。
正常位も飽きてきたし、騎乗位をしてもらおう。モデル体型の白い肌が目の前に広がって絶景だ。15分くらいは経過しただろうか。そろそろ射精しそうだ。
「ミナミちゃん、俺そろそろ……」
「わかりました。一応、外でお願いします」
体位を正常位に戻して射精の準備だ。ゴムを付けているが、外でと言われたので最後は自らの手コキでフィニッシュだ。
一通りプレイが終わりシャワーを浴びて、2人でバースペースへ。
「俺とセックスしたのを彼氏に言うの?」「うん、聞かれるしね」
それはいいんだけど、全然気持ちよくなかったとか言われたら嫌だな。
「今日は久しぶりにハプバーでセックスできたよ」
「そうなの?」
「この店が悪いわけじゃないけど、見境なしにセックスしようとする人が多いのがちょっとイヤ」
なるほど、周りからは楽しい歓談に見えてるけど、実際の会話は結構ガツガツしてるのかもな。
「真田さん、今日はありがとうね。私ときどきここ来るから今度もよろしくね」
そう言うと、ミナミちゃんは帰り支度を始めた。たぶんだけど、もう日付けは次の日に変わってるだろう。終電ギリギリかな。
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初ハプバーにしては、まあまあ楽しめたほうなのでは?
積極的に話しかける勇気さえあれば、そしてあまりガツガツしなければ、ラッキーなハプニングは訪れると思います。
料金に見合うかどうかは少し疑問だけど。
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